スーパーで買い物中にスマフォでバーコードをスキャン⇒買い物合計が判って、関連クーポンが画面に提案される。
最近、小売業でのモバイル通信技術利用の話題を続けて取り上げていますが、iPhone/アンドロイド携帯やタブレット端末をいじるのは筆者の趣味。
日米携帯事情の違いを記事にするのは、筆者のおせっかいと、「日米間で移動する人たちが、(他のネットサイトで記述されている)間違った情報を信じない」為の啓蒙かつボランティア活動。
筆者の本来の興味は、ITの小売・流通分野 B-to-BとB-to-Cでの利用です。
これまでこの分野では話題が少なかったのですが、なんか一気に話題が増えてきたような気がします。、
今日の話題は、モバイルの食品スーパー・ショッピング・アプリ技術で最先端を行くModiv Media、Inc.(ボストン本社)が、店内レジを通してメーカーの商品マーケティング技術をスーパー各社に提供しているCatalina Marketing Corp. (フロリダ、タンパ近辺のSt. Petersburg本社)に買収されて、その手続きが完了したというニュースが昨日流れたので、
Catalina Acquires Modiv Media - 2012年5月1日
それを機に、Modiv Mediaのアプリで何が出来るのか、調べてみました。
Modiv Mediaホームページ
Catalina Marketing Corp.ホームページ (日本支社有り。)
なお、現状ではModiv Mediaのアプリは「Stop & Shop」ストアに限られていますが、Catalina Marketing Corp.は既に多くのスーパーの店内プロモーション/レジでの個別カスタマイズされたクーポン印刷で導入されている為、Modiv Mediaのアプリは今後他の食品スーパーでも近いうちに導入されてくるでしょう。
Modiv Mediaのアプリは、現在、iPhoneとアンドロイドの両方に提供されています。アプリ名は、「Stop & Shop SCAN IT!」と言います。
(以下、一部写真は、Modiv Media社のウェブサイトからの引用なので、写真のサイズが小さいことをご了承ください。)
1.消費者から見てこのアプリのメインの機能は、食品スーパーで買い物中に自分が買った商品のバーコードをiPhone/アンドロイド携帯のカメラでスキャンすると、その商品名・金額が携帯に記録され、買った商品名と個別価格、そして、合計金額が表示されます。
商品ごとに個別表示も出来て、
全商品のリストも見られます。
これで、買い物途中に合計幾ら買ったかが判るので、買い物客としては予算に対する実際の買い物金額がわかり、買いすぎたかどうかが判ります。
2.セルフ・レジとの連携で、チェックアウトが簡単に済む。
実際に筆者の近所でこのシステムが使える店が(まだ)無いので、システムの詳細はわかりませんが、スーパー内のセルフレジとこのアプリが連携し、チェックアウトが簡単に済むそうです。
まず、支払いカードはiPhone/アンドロイドのアプリに登録しておくのでしょう。
NFCが付いている携帯は、それも使えるようです。
問題は、お客さんが「ズル」をして、買った商品の中にいくつかスキャンしていなかったらどうなるの?・・・と言うことなんですが、一応、セルフレジの商品スキャンは普通どおりにして(つまり、商品の重さで「ズル」をしていないかどうかをチェックし)、支払いだけiPhone/アンドロイドからするんでしょうかね?
この辺り、「買った商品で、iPhone/アンドロイド・アプリでスキャンしなかった商品があったら、どうなるの?」を実体験してみたいです。
3.店内買い物途中に、店内(インストア)クーポンを画面に表示
最近のアメリカの食品スーパーでは、レジでチェックアウトすると、レジの横のクーポン印刷機が買い物客のその日に買った商品の内容や、それ以前の買い物履歴に従って提案されたクーポンが出てくるようになっています。
レジで印刷するクーポンは、その日の買い物には使えず、次回の買い物で使うことになります。
しかし、このModiv Media社のアプリはレジに行く前に、店内で買い物をしている最中にiPhone/アンドロイド携帯の画面にクーポンを表示できるところに特徴があります。
買い物客は、買った商品をショッピングバスケットやカートに入れるごとにバーコードをスキャンする ⇒ その商品に関連するクーポンを、その場ですぐに画面に表示する。
例えば、卵を買ったら、ベーコンのクーポン。
コーラを一ケース買ったら、「もう一ケース買ったら、$1.50割引きよ」クーポン。
そういった、関連商品⇒抱き合わせ販売商品のクーポンを、レジに行く前にiPhone/アンドロイド携帯の画面に表示することによって、メーカーさんとしては販売機会を逃さない。消費者としては、購入機会を逃さない。・・・そういった応用が可能になります。
メーカーやスーパーとしては、「買い物に来たときに、他の商品も買わせる」戦略が可能となり、売上げ増に繋がります。
4.実際に体験していないので、仕組み的には未知の部分もあるのですが、・・・
Facebookやメーカーサイトからクーポンを事前にiPhone/アンドロイドにダウンロードしておきて、買い物のときに利用することも可能だそうです。
もちろん、過去の買い物履歴の参照も可能でしょう。
今日の「買い物予定リスト」を買い物する前に作成して、買い物時に参照することも可能でしょう。
現在は「Stop & Shop」チェーンストアで限定で使用されているModiv Media社のアプリですが、全米主要スーパー(Kroger、Safeway、targetなど)にレジ・クーポン印刷機とそのシステムを納入しているCatalina Marketing Corp. がModiv Media社を買収したことによって、1~2年以内にこのシステムが他のスーパーでも使えるようになるのではないかと、期待しています。
追記:
下をクリックすると、2011年1月当時の「Stop & Shop」の店内買い物体験ビデオが見られます。(当時は、専用スキャナーが必要でした。)
Speedy, Personalized Grocery Checkout
以下、ビデオからフレームをいくつかキャプチャーした画像です。
「Stop & Shop」では、店内に入ったらバーコード・スキャナー・ステーションで会員カードをスキャンし、(買い物袋もここでピックアップできます。)
指定されたバーコード・スキャナーを取ります。
バーコード・スキャナーを取った時点で、会員カード番号に基づいた、過去の購買履歴を反映したパーソナライズされたクーポンがスクリーンに(複数アイテム分)ロードされています。
通路にも棚にバーコードがあり、それをスキャナーでスキャンすると、商品価格やクーポン割引があるかどうかがわかります。
買い物途中で商品のバーコードをスキャンしながら、買い物袋に自分で入れて行きます。
買い物が済んだら、セルフレジでスキャナーと同期すると、買い物リストがセルフレジに転送されます。
バーコード・スキャナーでスキャンしなかった商品は、セルフレジで追加スキャンすることも出来ます。
商品リストに間違いが無ければ、クレジットカード/デビットカードなどで支払いを済ませ、そのまま店を出ることが出来ます。
上のビデオは、2011年1月に初放映された、ファイナンシャル専門CATVチャンネルのCMBC特集番組、「Supermarkets Inc.: Inside A $500 Billion Money Machine」の中の一セグメントです。
Supermarkets Inc.: Inside A $500 Billion Money Machine