バイリンガルが、通訳が出来るとは限らない。(通訳者に必要な能力)




まあ、ここ2ヵ月くらいフラストレーションが溜まっていますので、それを軽減するために吐き出したいと思います。

最近はネットで現地の人を探して現地の観光案内や通訳を依頼できます。私もトラベロコで既に10件ほど依頼を受けていますので、その便利さはよくわかります。

しかし、現地の言葉(と日本語)がわかるバイリンガルだからと言って、通訳、時に企業同士の会議の通訳が出来るとは限りません。

以下によく聞く問題と、通訳者に必要な能力を書きたいと思います。
通訳を依頼する方もこの点を考慮して、後悔しないように通訳者を選んでください。
また、通訳サービスを宣伝する方も、バイリンガルだからと言って簡単に「通訳が出来る」という表現を使わないようにして欲しいものです。

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アメリカで法廷通訳者になるためのステップ・バイ・ステップ手順


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さて、先日、アメリカで医療通訳士として活動するステップ・バイ・ステップ手順を書きました。
アメリカで医療通訳士として活動するためのステップ・バイ・ステップ手順 – 2015年5月7日

まだ記憶が新しいうちに、アメリカで法廷通訳者になるためのステップ・バイ・ステップ手順も書きましょう。

その前に、裁判所での通訳者は誰が雇うのか、誤解している人が多いと思うので、簡単に説明します。

以前にも書いたように、
アメリカの通訳の資格(医療通訳、法廷通訳)と、無料通訳サービス – 2014年6月21日
アメリカでは「Title IV(1964年制定公民権法、第6条)」により、住民の公共サービスの受益の平等を確保するため、連邦政府の資金的な援助を受けている施設は、施設側がその費用で言語サービス(通訳)を提供することが要求されています。

裁判所での通訳も、例外ではありません。
したがって、裁判において「原告、被告、または、証人」として呼ばれた場合に通訳が必要な場合には、呼ばれた人(または代理人である弁護士)が裁判所(法廷)に事前に通訳を要請すれば、裁判所は当日、裁判所が法廷通訳者として認めた通訳者を、裁判所の費用で用意する義務があります。 (法廷通訳者として最適な通訳者が用意できない場合には、法廷手順に詳しい電話通訳者を用意する場合もあります。)

また、交通違反を含む軽度の違反や犯罪で法廷に呼ばれた場合、出頭日当日に州・郡・市裁判所に出向いて、検事や裁判官との会話の中で「当事者が英語をよく理解していない」と判断された場合、裁判(出頭)のやり直し(数週間~1ヵ月後)を言い渡されることがあります。この場合、当該裁判所は「やり直し裁判(出頭)」の日に、裁判所の費用で法廷通訳者を用意します。

つまり、法廷通訳者を雇うのは、裁判所です。裁判所に呼ばれた人は、裁判所に対して、裁判(出頭)当日に自分に通訳を付けて貰うよう、リクエストする権利があります。

裁判所に呼ばれた人が、自分で通訳を雇って、裁判所に一緒に行って貰うわけではありません。
また、裁判所の「法廷」内で自分の身内や知り合いが「通訳行為」を行うことは、認められていません。身内や知り合いでは、私見を伴わない、中立で公平な立場での通訳が行えないためです。(身内や知り合いや弁護士に相談するのは構いませんが、それは通訳行為ではありません。)

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【備忘録】世界のトップ15電話通訳会社(2008年現在の数字を基に)と、電話通訳者採用条件


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ちょっと古い情報ですが、世界のトップ15電話通訳会社(2008年現在)。
【Common Sense Advisory】Top 15 Telephone Interpreting Companies – 2008年7月24日
2014年版もあるのですが、会員限定なので筆者はアクセスできません。
【Common Sense Advisory】The Top 10 Telephone Interpreting Companies: 2014 – 2014年7月23日

「アメリカ(や、他の国)で通訳士を目指す場合には、こんな選択肢もあるよ」というお話。

電話通訳採用条件:
● 履歴書送付後、資格(医療通訳研修修了、など)査定、簡単なHIPAAテスト(医療通訳の場合)があり、その後電話でインタビューと、通訳(または言語能力)口頭試験があります。会社によってはコンピュータ(ウェブ)でのマルチプルチョイスの試験があります。
● 固定電話回線で、できるだけ通訳ラインとして専用に使える回線があることを要求されることがあります。

採用後の定期的な査定:
● 電話通訳の内容は録音され、定期的(平均3ヶ月に一回)にQC/QAチェッカーによって通訳品質チェック(評価・査定)が実施されます。その結果は自分にレポートされます。
(定期的に自分を査定されるのが嫌な人には、向きません。)

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【備忘録】アメリカの連邦政府系通訳資格リスト


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以下、備忘録としてアメリカの連邦政府系通訳資格リストをまとめます。

筆者は通訳を続けたとしても、せいぜいあと10年くらいしか出来ないだろうと思っているので、厳しい連邦政府の資格取得をトライするつもりは(NLSC以外は)無いですが、若い人でアメリカ国内でのプロ最高レベルの通訳を目指す人は、目標の一つにしてください。

なお、今後も新しくわかれば、追加していきます。

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アメリカで医療通訳士として活動するためのステップ・バイ・ステップ手順


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1ヶ月ほど前にアメリカでの医療通訳士に関してまとめてみました。
アメリカの医療通訳士の資格と、その仕事 – 2015年3月29日

今日は、アメリカで医療通訳士として活動するために必要な手順を、ステップ・バイ・ステップで書きます。

1.高卒以上の学歴があること

まあ、医療通訳士を目指す殆どの通訳者はこの条件を満たしていると思いますので、問題は無いと思います。
が、この条件は以下に書く資格を受けるための前提(必須)条件でもありますので、書いておきます。

2.英語を習得していることを証明できること

特に英語(英会話、通訳)の学校に別途行く必要は無く、例えば、「アメリカの大学や大学院などで(何の専攻でも良いから)学位を取得した」、なども「英語の授業に参加して、理解できている」ということで、英語の習得済みと認定されます。

3.英語と、自国語(またはその他の言語)での通訳能力が(既に)あること

以下に記す医療通訳研修コースは通訳能力をゼロから教えるものではないため、医療通訳士として更なる資格を取得して医療通訳の分野で活動するには、既に通訳能力があって、通訳として数年の経験があることが、望ましいです。

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(アメリカの)通訳料は、どのくらい?


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この記事を書くと、きっと通訳エージェントさんには嫌われること間違い無いですね。(笑)

「通訳料金が高い」と思っている方が多いようですが、一度、この件をよく考察してみましょう。
ちなみに、ここでは主にアメリカに住んでいる日本語通訳者を対象にして考察します。

■1.通訳者の仕事の量と、生活を考える

まず、そもそも、通訳者が一ヶ月にどのくらい通訳の仕事をするかを考えましょう。

通訳のような仕事は、通訳者と、それを利用する側(クライアント)の日程(スケジュール)が合わないと、成約になりません。

日本がバブルで、日本企業による訪米視察が頻繁にあった1990年代前半は、アメリカでの日本語通訳者ニーズも高く、1回の視察が10日から2週間あり、その間、通訳者も訪問団と一緒に訪問地を転々として一緒に行動していました。このころであれば、希望すれば月の半分は通訳の仕事で埋めることも可能、という状況でした。

当時(1990年代前半)、税込みで月5000ドルの収入を得ようと思えば、1ヶ月のうち半分(10日間)が通訳者の実稼働時間だとして、1日500ドルの実収入があれば、通訳者は生活できたことになります。

現在は、日本企業は通訳者を現地で探す傾向にあります。依頼する日本企業としては、通訳者のホテル代とか航空運賃を払いたくないんですよね。そんな実経費で節約しようと言う腹です。
通訳者の専門分野は、2の次です。

たとえば、「ここ(デンバー)へ来る前にダラスでIT企業を訪問したのだが、通訳の方が主婦のような方で、業界を良く知らなかった。あなたは、大丈夫でしょうか?」って心配そうに筆者に聞いてきます。それとか、ラスベガスの展示会で1~2日現地通訳を使った後、「やっぱり、ITの分野って、常時(毎年)その分野の最新の情報を追っていないと、通訳は難しいですね。」とか。

筆者はIT分野で30年近く現役で働いています(今は、「いました」と過去形かな?)し、IT関係の通訳をそれなりの数、毎年定期的にすれば、最先端の技術情報も回を重ねるごとに通訳を通して自然に得られます。
したがって、翌年や次回の通訳も、前年/前回の知識を生かした通訳が出来ます。

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「同時通訳も、こんな準備の仕方があるのか」と自分なりに納得した件。


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本来、筆者の通訳業はコンピュータ・通信関係が主で、昔から最先端の話題ばかりで、NDA(秘密保持契約)の必要な話が出てくることが多いです。

問題はどんな話が出てくるのか、依頼主のほうが前もって教えてくれない・・・というか、「教えなくても、(通訳ってみんな)出来るだろう」と思っている節がありましたて。そりゃあ自慢するわけではないけど、筆者はその分野で仕事していたから出来るんであって、普通の文系通訳では無理ですよ。
シリコンバレーには、著名IT企業のEBC(Executive Briefing Center)にお抱えで呼ばれる通訳さんも多く、そういう人たちは、同じ話題の内容を何度も繰り返して、EBCへ訪問してくる日本企業のお客さんに話しているから、自然に空でも通訳できるくらいになる・・・んじゃないかと、推測。

これを始めたころは筆者も通訳をするつもりで依頼を受けたのではなく、「えっ、自分が訪問してみたい企業に、行けるの?」と、喜んで引き受けました。バブルのころは日本企業の米国訪問は2週間位の期間、あっちこっちへ移動しながら訪問していましたね。そのうち10日、1週間と縮まりましたけどね・・・お蔭様でアメリカとカナダの主要都市と、主要ではない都市(たとえば、Walmartの本社のある、人口3万人ほどのBentonville、とか。)、まあ、50都市以上には訪問できました。
今は「現地調達」が殆どで、出張の機会はずいぶん減りましたね。

Anyway、筆者の通訳できる言語は英語と日本語とIT/通信言語でして、昔は「コンピュータの言葉って、別だよね。」と言われながら、頼まれていましたが。
今は、IT関連のマニュアル翻訳をする人が多いので、「自分はコンピュータの分野で、通訳が出来る」と思っている人も増えているようです。

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アメリカの通訳の資格(医療通訳、法廷通訳)と、無料通訳サービス


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通訳の場に借り出されて、良く誤解されることがあるので、標題の件を一度書いてみたいと思います。

まず、
● アメリカでは通訳を職務として行うのに、基本的には資格は不要です。 エスコート(案内)通訳や技術通訳や同時通訳にさえ、資格も検定試験も、ありません。本人の通訳能力次第です。

※ 通訳専門の養成コースを持つコミュニティーカレッジ、4年制大学、および、修士課程大学院はあります。しかし、それを履修していないと通訳業が出来ないわけではありません。
また、これらのコースは通訳歴が短かったり、これまで職業として通訳をしたことが無い人に、向いています。大学院の場合には、同時通訳や国際会議通訳など、もっと訓練したい人が進むべきコースです。

※ 一部に「通訳者の認定は、ATA(American Translators Association)が行う。」と書いている記事がありますが、これは間違いです。ATAの認定には通訳能力検定は無く、翻訳能力検定のみです。したがって、ATAの検定には口頭試験はありません。また、ATAの翻訳能力検定試験は、ATAという民間団体による翻訳「能力検定」試験であり、「資格」試験ではありません。

しかし、
● 「Title VI of the Civil Rights Act of 1964」(1964年制定公民権法、第6条)により、連邦政府の資金援助を受けている施設は、その施設が提供するサービスを、全ての人に対して、人種や言語の差別をせずに提供しないといけない。
ことになっています。特に、2000年8月11日に当時のBill Clinton大統領が大統領行政命令(Executive order)
【アメリカ司法省】EXECUTIVE ORDER 13166 : IMPROVING ACCESS TO SERVICES FOR PERSONS WITH LIMITED ENGLISH PROFICIENCY
を発令し、「連邦政府の援助を受けている全ての施設は、英語の理解力が欠如している(充分ではない)人に対しても、その施設のサービスを平等に使えるようにしなければならない。(それをしないと、連邦政府の資金援助やMedicaid/Medicareの支払いが断ち切られる。)」ことになりました。

ここで、以下の施設が特にこの「大統領行政命令(Executive order)」の対象になります。
● 病院 (特に、連邦政府の医療厚生プログラムのMedicare、Medicaid等対象の患者を少なくとも一部、受け付けている病院。通訳サービスは、通訳を必要とする全患者に提供する必要あり。)
● 裁判所 (特に、郡(County)裁判所、州裁判所)
● 学校(K-12年生の義務教育施設)・・・学校では、Teacher’s Conference(親が先生と個別面談する)の時に通訳をリクエストできるようにしている学校区があります。

なお、アメリカでは「病院」は主に「手術と、入院する医療施設」であり、お医者さんに診察に行く場合の所謂「Medical Office、Private Practice」は、連邦政府医療援助プログラム(Medicare、Medicaid)の患者を受け付けていない場合には、この「大統領行政命令(Executive order)」の対象になりません。

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同時通訳を正しく理解していただくために。


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今週の月・火曜日には海抜9600フィート(2900メートル)のスキーリゾートで、ある企業の世界ディストリビューター集会があり、同時通訳を頼まれたので、日曜日夜から火曜日夕方の終了までそこへ行っていました。

もちろん、5月下旬の今ではスキー場はすでにシーズン終了で、リフトの運行も終わっています。しかし、月曜日は午前中は小雪が降っていました。

また、筆者の住んでいる市は海抜5300フィート(1600メートル)ですが、それでもさすがに海抜2900メートルの地へ行くと、ちょっと小走りに急いで歩くと、すぐに息切れがしてしまいました。こんな高地に住民約4500人が住むリゾート都市があるのですが、そこに住んでいる人たちは本当にすごいと思います。

今日書こうと思う内容は日頃から思っていたことですが、通訳に関する理解、特に、同時通訳に関する一般の理解が非常に誤解があると思うので、一度書いてみたいと思います。

ちなみに、筆者は通訳としてのトレーニングは特別受けていません。
最初に通訳を頼まれたのは30年ぐらい前、大学院へ留学している時でした。日本の商社の現地法人から頼まれ、今注目のシェールオイルの件で日本から訪問者が来るので、「お願いします。」と頼まれたは良いけど、内容がまったく理解できず、困った記憶があります。
在学中は合わせて2、3度頼まれたことがありますが、幾ら貰ったのか、本当に通訳料を貰ったのかも、覚えていません。

本格的に頼まれたのは1989年からで、その時には筆者は自営でコンピュータ関連の仕事をしており、時間的に融通が利いたこともあり、「日本からコンピュータ関連の視察が来るので、(言葉だけではなく)IT関連の知識があるので、通訳して欲しい。」ということで頼まれました。その際に、自分の通訳としての能力や報酬を考える前に、「お、自分ひとりなら訪問することが無い様なアメリカの大企業に、訪問団と一緒に行けるゾ。」「アメリカ・カナダ各地を訪問できる。」と思って、そっちの目的のほうが魅力あって引き受けました。

当時は日本もバブル真っ最中で、一回の訪問が2週間。訪問地も3-4都市でした。

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