【備忘録】アメリカの連邦政府系通訳資格リスト
以下、備忘録としてアメリカの連邦政府系通訳資格リストをまとめます。
筆者は通訳を続けたとしても、せいぜいあと10年くらいしか出来ないだろうと思っているので、厳しい連邦政府の資格取得をトライするつもりは(NLSC以外は)無いですが、若い人でアメリカ国内でのプロ最高レベルの通訳を目指す人は、目標の一つにしてください。
なお、今後も新しくわかれば、追加していきます。
■ 連邦裁判所認定法廷通訳者
連邦法廷通訳者は連邦法廷関連の裁判、または、証人喚問、などに派遣される通訳者です。連邦法廷通訳者には3つのレベルがあり、
● Certified interpreters
● Professionally qualified interpreter
● Language skilled interpreters
があります。
Certified interpretersはスペイン語、ナバホ(インディアン)語、ハイチ・クレオール語(Haitian Creole)の3言語のみで、資格を取得するためには口頭試験も合格する必要があります。日本語通訳者でこのレベルの通訳者は、存在しません。
Professionally qualified interpreterは、上記3言語以外の全ての言語で資格を与えられます。Department of State Seminar Interpreter(同時通訳)通訳テストに合格したのと同等の通訳スキルを要求されます。
日本語通訳者では連邦裁判所レベルで、取得出来る最も高いレベルです。
Language skilled interpretersは、Certified interpretersまたはProfessionally qualified interpreterの条件は満足しないが、連邦法廷で通訳として許可されるレベルの人。日本語通訳者でも取得出来ます。
なお、各通訳レベルの通訳料は、
● Certified interpreters (1日$412、半日$223、オーバータイム$58/時)
● Professionally qualified interpreter (1日$412、半日$223、オーバータイム$58/時)
● Language skilled interpreters (1日$198、半日$109、オーバータイム$34/時)
【United States Courts】FEDERAL COURT INTERPRETERS
■ アメリカ合衆国国務省(Department of State)認定通訳者
合衆国国務省(Department of State)のOffice of Language Servicesには、3つのレベルの通訳認定試験があります。
● Conference Interpreters
● Seminar Interpreters
● Liaison Interpreters
それぞれ、
● Conference Interpretersは、国際会議の同時通訳または逐次通訳を出来るレベル。ホワイトハウス、国務省の主要会議、その他の連邦機関のトップ国賓レベルの参加する会議、などで通訳します。同時通訳はブースで行うことが多いです。
● Seminar Interpretersは、非公式(インフォーマル)な場での同時通訳や逐次通訳が出来るレベル。国務省のInternational Visitor ProgramやBureau of Educational and Cultural Affairsのセミナーなどでの通訳を担当します。同時通訳は、モバイルのマイクとヘッドフォンを使って行うことが多いです。
● Liaison Interpretersは、逐次通訳が出来るレベル。
応募するとワシントンDCに招待され(旅費は自費払い)、インタビューと試験を受けます。
国務省Seminar Interpretersに認定されると、連邦裁判所認定法廷通訳者Professionally qualified interpreter資格に申し込み出来ます。
■ その他のアメリカ連邦省庁の通訳者
上記以外にも各連邦省庁で別途、通訳を募集していることがあります。ただし、省庁が個人的に通訳者を雇うわけではなく、省庁が通訳エージェントを通訳サービス業者として認定し、通訳サービス業者が資格のある個人を「下請け」として雇う場合も有ります。
例:Social Security Administration、Department of Homeland Security
募集は、連邦政府機関と契約を締結した各通訳エージェントが行います。
上記3種の連邦レベルの通訳者は、それぞれのレベルに応じた「連邦セキュリティーチェック(バックグラウンドチェック)」を通過しないといけません。
NLSC(National Language Service Corps)
応募にはアメリカ市民権を必要とし、特にアメリカ軍、FBI、警察機関、またはそれに関連した機関からの要請に応じて、通訳を派遣する連邦機関です。アメリカ国外からの同等機関の訓練や訪問、会議、などに雇われます。
■ 国連通訳者
国連(United Nations)に雇われ、国連の総会などで同時通訳する通訳者。
残念ですが、国連の公式言語は英語、アラビア語、中国語、フランス語、ロシア語、スペイン語、のみ。日本語は入っていません。したがって、国連本部に雇われる公式日本語通訳者ポジションというものは、存在しません。
また、基本的に国連公式言語6ヵ国語のうちの3ヵ国語を話すことが要求されます。当然、口頭試験があります。
国連で日本語通訳が必要な場合には、当該依頼部署から、一般のフリーランス通訳者に依頼されます。 よって、国連で日本語通訳したかったら特に資格は無いものの、依頼が来るようにハイレベルの国際会議同時通訳の経験を積み、日頃から質の高い通訳サービスを提供することです。
【United Nations】Language Carriers - Interpreters
――<●>――
関連すると思われる記事:
- アメリカで法廷通訳者になるためのステップ・バイ・ステップ手順
- 【備忘録】世界のトップ15電話通訳会社(2008年現在の数字を基に)と、電話通訳者採用条件
- アメリカで医療通訳士として活動するためのステップ・バイ・ステップ手順
- アメリカの医療通訳士の資格と、その仕事
- アメリカの通訳の資格(医療通訳、法廷通訳)と、無料通訳サービス
- バイリンガルが、通訳が出来るとは限らない。(通訳者に必要な能力)
- 【保存版】アメリカのステーキの種類、一覧
- アメリカ国内使用者のために、アメリカ版と日本版のiPhone 7/7 PlusのアメリカSIM互換性。
- iPad Pro 9.7インチのSIMトレイには、物理Apple SIMも使用できる。
- アメリカの銃所有世帯/銃所有者、割合調査