Sprint(ソフトバンク)によるT-Mobile US買収経費は、(実現したら)500億ドル(5兆円)
なんでこのニュースは日本ですぐに報道されないんでしょうね。
そもそも、日本のニュースって、最初の「センセーショナルな初期報道」はリリースされても、そのあとのフォローアップが殆ど無いことが、最近多いですね。
昨夜のWall Street Journalの報道によれば、
【Wall Street Journal】Sprint Has Proposals From Banks on Financing Bid for T-Mobile – 2014年1月16日
もし、SprintがT-Mobile USを買収する提案が実現した場合に、Sprint(ソフトバンク)は二つの銀行から「その資金の融資を提供可能である」と提案されたそうです。
このニュースがリークしたのは、銀行としては、融資判断前の「Due Diligence」の調査が終了した、ということなんでしょう。
その金額は、T-Mobile USの主要株主であるドイツテレコムが所有しているのT-Mobile US株全額(全発行株の約67%)が、現在の市場時価で310億ドル、プラス、T-Mobile USの現在の負債を完済(リファイナンス)するための経費200億ドル。
つまり、Sprint(ソフトバンク)がT-Mobile USを買収すると、ソフトバンクの負債は5兆円増えます。
Sprintを買収したときの216億ドル(約1兆8000億円)よりも、はるかに高い金額になります。
ソフトバンクの現在の負債はSprintを買収した時点で増え、現在の負債額は9兆円とも10兆円とも言われています。
これにT-Mobile USの買収が、もし(あくまでも、「もし」ですが)、成功すれば、ソフトバンクの負債は15兆円になってしまいますね。
まあ、負債が増えても、資産が増えて、粗利が増えれば、経営は成り立つのでしょうけど。
なお、T-Mobile USの株価は買収可能性と、業績向上から、先月13日の「買収の噂」報道から28%上昇しています。
今後も好業績の発表と、実際に(もし)SprintがT-Mobile USの買収を発表すると、DISH社からの競合買収提案が発表され、T-Mobile USの株価は更に上昇する可能性もあり、(もし実現したら)最終買収経費は更に増える可能性もあります。
実際に買収提案が公式に発表された場合、FCC 連邦通信局や司法省(公正取引委員会)などの認可調査に9ヶ月程度は掛かると予想されており、更に、調査の結果、政府が買収(合併)に反対する可能性も大きいことが数多くのアナリストから指摘されています。
特に
● 昨年3月以降、T-Mobile USが消費者にメリットのある新しい通信プラン等を発表し、業界の体質を改善する旋風となっている。実際に加入者数も、4大キャリアで最も増えている。したがって、T-Mobile USを「潰す」ことになると、消費者に有利な環境が消失する。
● SprintとT-Mobileの二社が合併すると、この二社で所有する合計の周波数帯域が219MHzとなり、AT&TやVerizonよりもはるかに多くなるので、不公平競争状態になる。
【RCR Wireless】Sprint reportedly has two banks on board for T-Mobile takeover – 2014年1月17日
などの懸念が挙げられています。
しかし、昨夜のWall Street Journalのレポートでは、買収(合併)後の経営は、実質的にT-Mobile USがSprintを買収する形で進めることも、一つの案(「案」ですよ、今のところ・・・)という情報もあります。特に、先週CESでの発表会でのQ&AでSprintによる買収の可能性を質問されたT-Mobile USのCEO、John Legere氏が
「A deal with Sprint would provide significant scale and capability. But, the T-Mobile Uncarrier business, the people, the brand, the attitude is here to stay. … I think what we’re doing in any scenario we will prevail.」
(Sprintとの統合は、規模とキャパシティの増加を生み出す。しかし、T-MobileのUncarrier(従来の携帯キャリアらしくない)事業スタイル、社員、ブランド、姿勢は、将来も継続する。...どんな(買収、合併)状況になったとしても、我々(T-Mobile)のやっていることが、勝つであろう。)
と回答していたことから、統合後もT-Mobile経営スタイルが存続する可能性があることも、その後は噂されています。
また、ソフトバンク(Sprint)としては、(もし、買収提案が成功するとしたら・・・)2015年中ごろに予定されているアメリカ政府の電波使用権競売までに経営統合を図りたいみたいなので、FCC/司法省への説得材料としては、「このままではSprintまたはT-Mobile US単独では競売に参加する資金力が無く、AT&TとVerioznに更に差が付けられる。」というポイントを出そうとするんでしょうかね。
【付録】クレジット・スイスのアナリストによる2013年第4四半期業績予想
ポストペイド加入契約件数純増・純減
● Verizon 150万件純増
● T-Mobile US 86万9000件純増
● AT&T 62万5000件純増
● Sprint 15万件純減
【Firece Wireless】Analysts: Sprint to lose 150K subs in Q4, Verizon to add 1.5M – 2014年1月16日