2016年1月8日はアメリカの4大キャリアが新規携帯契約者に「2年契約、端末代割引」を廃止した日。




ツイッターの反応も多く、永久記録のためにこのブログエントリーを残しておきたいと思います。

先般のリーク情報通り、最後に残ったAT&TとSprintも、本日2016年1月8日から、ポストペイド新規顧客に対しての2年契約(代わりに、端末代割引。iPhoneにいたっては$450割引)を廃止しました。
AT&TがT-Mobile US、Verizonに次いで、2年契約を2016年1月8日から廃止。4キャリアの今後の端末代支払い選択肢は? – 2016年1月2日
ついにSprintもポストペイド携帯で新規2年契約廃止、既存2年契約者は2年契約で端末割引アップグレード可。 – 2016年1月6日

アメリカでは従来、携帯電話のポストペイド2年契約束縛を加入者が誓約する代わりに、キャリアが端末代を割引して加入者に販売するのが「定番」でした。割引額はiPhoneで$450に及びます。

しかし、アメリカ連邦政府の反対によって2011年のAT&TのT-Mobile買収工作が失敗に終わり、その後に再起を掛けたT-Mobile USは「加入者の端末割引恩恵 = キャリアの端末代補助(負担、subsidize)」であり、キャリアにとって経済的に負担であることを掲げ、Uncarrier(型にはまらないキャリア)第一弾として
 - 2013年3月25日に端末代補助(割引)を廃止し、
その代わり
 - 2年契約を廃止し、契約期間の束縛を無くした。(つまり、いつでも解約できるものとした。)
 - 毎月の通信コストを、(端末代補助のときよりも)安くした。
 - 一括で端末代を払えない人のために、無利子24ヶ月分割払いの選択肢を提供した。
を開始しました。

その後、AT&TとVerizonは、それぞれ2013年7月16日と2013年7月18日に、従来の2年契約/端末割引と並行して、同様な無利子分割払いの支払いを選択できるようにしました。(AT&T NextとVerizon Edge分割払いプログラム。)分割払い方式の場合は端末代は定価で購入することが前提のため、2年契約端末割引に対する「不平等感」を無くす為、
 - 定価一括、または、定価購入で分割払い、の場合には、毎月の通信料を月$15割引する(2年間で$360割引)
というのが、両社のアプローチでした。更に、GSM通信方式のAT&Tでは
 - 端末持込の場合も、毎月の通信料を月$15割引する
サービスを提供していました。良く考えると、結局、「今まで2年契約で端末代を割り引いてもらった分、(キャリアの端末代補助額分、)通信料が高かったの?」と思わされてしまいますよね。

最後に、遅れたSprintも2013年9月20日から、従来の2年契約と並行して、契約期間束縛の無い分割払いプログラム、Sprint One Upを提供することになります。

なお、2年契約では、契約満期前に解約する場合には、最大$350の違約金が請求されるのが普通でした。(キャリアによっては契約期間1ヶ月ごとに$10違約金を減額することもありました。)

iPhoneを例にするとここまでの時点では、
 - 2年契約では端末代$450の割引、
 - 契約束縛無しの場合は、通信料金が$15×24ヵ月=$360割引
で、それでも2年契約の方が全体で$90安くなります。ただし、それでも最新のiPhoneモデルは(メモリーサイズにより)$200-500の初期出費に迫られます。

そして出てきたのが、キャリアが行う「旧端末のトレードイン(下取り)」。これがどんどんエスカレートしてきて、「どんな端末でも良いから、スマホ/iPhoneなら最低$100~$300バック」とか、「旧端末をトレードインしてMNPすれば、旧キャリアの解約料金(2年契約早期解約違約金、または、分割の場合には残債)を全額負担」とかのプロモーションを掛けることがありました。

たとえば筆者は2015年11月にVerizonとの2年契約が切れてiPhoneをアップグレードをする機会がありましたが、
 - 2年契約では端末代$450の割引
 - 契約束縛無しのプランに加入プランを変更し、分割払いでiPhoneを購入すると、iPhoneを定価から$100割引き、
と言うプロモーションを貰いました。この$100割引を適用すると($100は端末代の定価から引かれ、引かれた金額の24ヶ月分割払い。つまり、毎月の端末分割金額が$100/24=$4.17減る)、上に書いた通信料の「2年契約」と「束縛無し契約」の2年間の差額$90が消滅してしまいます。また、筆者はiPhone 6S 64GBモデルにアップグレードしたのですが、分割払いにすれば最初に$300を用意する必要もありません。
※ 更に、何でも良いから動く端末を下取りに出すと、追加で$200の割引が適用されたのですが、古い端末は夏にオークションでかなり処分しており、下取りに出したい端末が無かったので、その恩恵は受けませんでした。
そう考えると、分割払いのほうが楽だし、分割払い期間中に無利子であることを考慮すると、定価で一括で購入するよりもメリットがあります。

キャリアの立場からみると、確かに分割払いは加入者はいつでも残債を払い切る選択肢が有るものの、その権利を履行する加入者は低いでしょう。しかも、分割払い完了前にキャリアを変えたい場合、それまで使用していた端末を転入先のキャリアに下取りして貰えば、そのキャリアが旧キャリアの残債を払ってくれる、というなら、何も急いで残債を払う理由が見つかりません。
したがって、キャリアは加入者に分割を薦めることによって、暗黙的な2年契約を押し付けていることになります。

キャリアは、MNPのときに下取りで受け取った端末は中古端末の卸業者に転売し、加入者に約束した旧キャリアへの解約料を全額(または、ほぼ全額)回収できますので、大損はしません。

ということで、
 - 端末定価、一括購入
 - 端末定価、(無利子)分割購入
 - 2年契約の場合と比較して、通信費の割引き
 - 端末の下取り(トレードイン)で、対価を新規購入端末代、通信費の支払いクレジット、旧キャリアの解約費用や分割払い残債を負担
などのテクニックを屈指することにより、加入者にとって2年契約を継続するメリットが無くなり、各キャリアとも2年契約(端末代割引)を希望する加入者が減ってきているのが現実です。(各キャリアの四半期業績発表では、分割払い加入者の割合が発表されます。この記事を書いている時点ではすぐにアクセスできないので、この数字はあとで調べて分かったら、追記します。)

※ 色々なプロモーションが後手に回っているSprintですが、ひとつだけ、Sprintが他社よりも先に出したプロモーションがあります。それは、端末を「リース(借りる)」ことによって、
 - 毎月の端末代の支払いが分割払いよりも低くする
 - いつでも新しいモデルにアップグレードできる
という特徴を追加しました。2014年9月のiPhone 6/6 Plus発売からこのリーオプションが限定機種で提供されています。
※ 「リース」でも最後に端末を買取したい場合には、追加料金を払ってそのオプションも履行する権利もあります。しかし、それは権利であって強制ではありませんので、リース期間が過ぎたら端末を返却すればOKです。のちにT-Mobile USはこのリースオプションを提供開始しました。今のところVerizonとAT&Tはまだ、Sprintの「リース」プランを真似していません。

ここで、「2年契約で新規加入またはアップグレードする人が少ない」と判断したAT&Tは、料金体系簡素化の目的もあり、本日2016年1月8日より2年契約(端末代割引)を個人ポストペイド契約者に対して全面廃止。つまり、既存の2年契約加入者も、今後アップグレードする際にも2年契約の選択が無くなります。
Verizonが2年契約を配した直後の2015年8月の段階では「2015年末までには2年契約を廃止したい」とCEOが漏らしていながら、2015年12月後半の時点では「やっぱり、加入者は多くの選択肢を希望しているから、2年契約オプションも継続。」とあやふやな態度を示していたSprintでしたが、AT&Tの2年契約廃止情報が2015年12月30日にリークされてからSprintも腹を決め、新規契約者への2年契約(端末代割引)を同じく本日より廃止しました。

なお、VerizonとSprintは依然、既存の個人2年契約加入者には、将来のアップグレード時に2年契約(端末割引)の選択肢を継続して提供しています。でも、筆者の例を考えてみても、アップグレード時にキャリアが特別プロモーションを提供して、2年契約アップグレードよりも分割払い(同時に、プラン変更)を薦めてきて、そちらのプッシュに乗る加入者は増えてくるでしょうから、いずれはこの「最後の2年契約」も無くなると思います。

と言うわけで、・・・、今日からは「アメリカの携帯電話は、2年契約束縛ありだよ」と言う人には、「それは古い情報」と反論してやってください!

※ T-Mobile USとSprintは、与信(クレジットヒストリー)チェック無しオプションもあります。端末購入時に頭金を払わないといけませんが、その分、毎月の支払いは少なくて済みます。(端末代の支払い総額は、同じ。)保証金は約1か月分の料金相当なので、$100以下。アメリカの与信歴無しの留学生でも加入できますよ。
AT&TがT-Mobile US、Verizonに次いで、2年契約を2016年1月8日から廃止。4キャリアの今後の端末代支払い選択肢は? – 2016年1月2日
参照。

※ 4年制大学であれば、AT&T、Verizonなどが留学生用特別プログラムを提供しており、ソーシャルセキュリティー番号が無くてもポストペイド契約できる大学があります。チェックしましょう。

※ SprintはiPadなどのタブレット端末の個人2年契約は継続すると発表しています。AT&TとVerizonが個人2年契約をタブレットとモバイルルーターに継続して提供するかは、確認していません。T-Mobileはタブレットとモバイルルーターの2年契約は無いはずです。
また、法人契約では企業が会計上、端末代の定価での一括計上を好まない場合が有るので、VerizonとSprintは現在でも2年契約(端末代割引)は提供されています。T-Mobileは法人契約でも2年契約は無かったと思いますが、定かではありません。ただし、分割払いのオプションは法人契約にも提供されています。AT&Tは法人契約の経験が無いので、不明です。



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