VeriFoneがモバイル決済端末、SAILを発表
日本ではようやくPayPalがソフトバンクと合弁でモバイル決済端末Paypal Hereを1年以内に導入すると2012年5月9日に発表しましたが、アメリカでは既にSquareが2010年ころから、Paypalは2012年4月から選択的に(まだ誰でも加入できるわけではない)、モバイル決済端末が使えています。
筆者も昨年(2011年)2月からSuareを使用し始めており、
iPhoneでクレジットカード決済-Square – 2011年2月1日
Paypal Hereも、Paypalアカウントがあることから、可能であればすぐにでも申し込みしたいと思っていますが、小口アカウントの筆者にはまだ加入資格はありません。
PaypalがiPhone/アンドロイド端末で使えるPaypal Hereクレジットカード決済システムを発表 – 2012年3月22日
アメリカで小売店舗の固定クレジットカード決済端末の大手メーカーは、VeriFoneと言う会社になります。
VeriFoneはアメリカのクレジットカード決済端末メーカー業界では、「既成勢力のジャイアンツ(巨人)」と考えて良いと思います。
そのVeriFoneが、2012年5月8日から10日までニューオリンズで開かれるCTIA Wireless 2012を前に、同社もSquare/Paypalに対抗してモバイルクレジットカード決済端末を導入することを発表しました。
VeriFone outs Sail mobile payment system, gives Square the evil eye – 2012年5月8日
Hands-on with SAIL, VeriFone’s Mobile Payment Card Reader – 2012年5月9日
VeriFone SAILの手数料は2.7%ですが、月に$10のメインテナンス料を支払うと、クレジットカード決済手数料は1.95%に下がります。したがって、毎月のクレジット決済金額の多い小売店は、月々のメインテナンス料を支払うことにより、総合的な手数料を安く出来ます。
VeriFoneの固定決済端末を導入している小売店は多い為、そのVeriFoneがモバイルのクレジットカード決済端末を導入することによって、この技術は一気にアメリカで普及すると推測されます。
例えば、既にVeriFoneの固定クレジットカード端末を利用しているレストランが、このモバイルクレジットカード端末SAILを併用することによって、飲食客の決済をお客さんのテーブルのそばで行うことが出来、カードをレジに持っていく必要が無くなりますから、客が抱く「レストランスタッフによるカードの不正利用」などの心配を払拭することができるようになります。
ホテルのチェックアウトでも、列が長く並んだときには、この端末でチェックアウトできます。
Squareが先駆的にもう1年半~2年も前から始めたモバイルクレジットカード決済ですが、VeriFoneの参入で、もっとこれが普及することになるでしょう。
ちなみに、もう、16年以上前にあるプロジェクトに関わって、その時に判って驚いたことですが・・・
日米のクレジットカード決済の違い(小売店から見た場合)・・・
アメリカ | 日本 | |
クレジットカード決済手数料 | 2.x~3% 毎月のボリュームや金額が多ければ、1.xから0.x%に手数料の割引を交渉できる。 |
5%が標準 量販店が手数料割引を交渉できるかどうか、筆者は知らない。 |
小売店の銀行口座へ入金するタイミング | 顧客がクレジットカードを使ってから48時間以内(週末・祝日は除く) | 月末締めで、翌月末入金。 (クレジットカード決済から30~60日後。) |
もちろん、アメリカの安定した大企業では「支払期限は請求書発行から30日/60日」という条件を顧客に出しているベンダーもありますが、規模の小さい小売業・個人事業や企業では、「支払いはその場で支払い」と言う契約が多い為、日本の「月末締めで、翌月末入金。」という取引習慣にはとてもついていけません。
ともかく、日本の商習慣では「月末(25日)締めの、翌月払い。」とか「月末(25日)締めの、翌々月払い。」というのがいまだにはびこっていると言うのは、世界的なリアルタイム・ビジネスの流れに沿っていないので、国外の企業との話がかみ合わない一つの原因だと思います。
Paypalが日本で既成勢力(銀行)に排他される大きなポイントは、そこにあります。
(しかし、「銀行振り込み」が普及してきて、オークションの支払いが振り込みにデフォルトしてきているのは、取引の種類によっては「(お金の流れも)リアルタイムなビジネス」を認めていることに、日本も成りつつあるんですが。)
そして、Paypal Hereの日本での導入で、海外の標準手数料である3%以下には出来なくて、日本の標準の5%にせざるを得なかったのは、残念です。
しかし、このような海外勢力の影響で、日本も「流通業分野で、お金の流れもリアルタイムに近い流れで改革される」ことになるのではないかと、その点を注目してこれから見て行きたいと思っています。