TracfoneがSimple Mobileを買収


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アメリカでTracfone、Net10、低所得者向け携帯サービスSafeLink(各州政府の収入基準に基づく資格がある。)、そしてWalmartと共同事業のStraightTalk、のブランドで低価格プリペイド携帯電話事業を運営しているメキシコ資本のAmérica Móvilは、2012年5月10日、T-Mobile USAのMVNOのSimple Mobile社を買収すると発表しました。
Mexico’s Slim seeks bigger slice of U.S. phone market – 2012 年5月10日
América Móvil’s TracFone acquires T-Mobile MVNO Simple Mobile – 2012 年5月10日
TracFone Snaps Up Simple Mobile – 2012 年5月10日

 

 

América Móvilは中南米を中心に携帯電話事業を行っている会社で、18カ国で2億4600万人の加入者を持ち、加入者数では世界で5番目の携帯電話事業者です。

アメリカ国内ではTracfoneを米国現地親会社として組織し、メキシコ人他中南米人への格安プリペイド携帯電話を提供するために設立されました。
現在ではアメリカ国内で2000万人の加入者数を持つプリペイド携帯電話会社に成長しています。

Tracfoneの特徴は、Verizon、AT&T、Sprint、T-Mobile USAの4大アメリカ携帯キャリアの全てと関係を持ち、契約地域やサービス、そして、携帯の機種によって、これらの4社のどれかの回線を使っている、と言うことです。

Tracfoneグループの格安フィーチャーフォンはAT&T、T-Mobile USA、またはVerizonの回線を使い、携帯本体とSIMが紐付きになっており、購入した携帯のSIMは他の携帯本体には使えないようになっています。(Verizon端末ではSIMはありません。)

Tracfoneグループはアメリカ国内のプリペイド携帯会社では最も遅くスマートフォンの販売を開始し、昨年秋にSprint回線を使ったアンドロイド携帯の発売を開始しました。
しかし、つい最近、Verizon回線を使用したアンドロイド携帯の販売開始情報も漏れています。

また、今年(2012年)2月からはNet10およびStraightTalkブランドで「SIMだけ」販売も開始しており、AT&T回線対応の標準SIMとマイクロSIM、および、T-Mobile回線対応の標準SIMを用意して、月$45(StraightTalk、消費税別)または$50(Net10、消費税別)で「通話も、テキストも、データも使い放題」プランを提供し、話題になっています。(このSIMは、携帯本体と「紐付き」になりません。)

このTracfoneグループが、T-Mobile USAのMVNOで「SIMだけ販売」のSimple Mobileを今になって買収する意図は、今年(2012年)末までにT-Mobile USAが周波数再編で3G通信を現行のAWS(上り1700MHz/下り2100MHz)に加えて新たに1900MHzでも開始することにより、iPhoneユーザーでT-Mobile USAのプリペイドMVNOに移行するユーザーが増えるであろう、という期待があるようです。

Simple Mobileは月極めプラン
● 3G 月$40で通話・テキスト・データ使い放題、
または、
● 4G【HSPA+/DC-HSDPA】月$60で通話・テキスト・データ使い放題)

● 15日プラン : $25で通話・テキスト使い放題
のみのプリペイドSIM会社で、Pay-as-you-go プランは提供していません。
また、Simple MobileはBlackberry用にBISプランも提供しています。

同社はデータ専用プリペイドSIMも提供しています。
● 750MB/$25/月
● 2GB/$45/月

Simple Mobileの加入者数は約100万人で、T-Mobile USA発売のmyTouchアンドロイド携帯の利用者が多いそうです。

T-Mobile USAの回線を3G速度以上で使用するには、現在のところ AWS周波数(Band 4、上り1700MHz/下り2100MHz)に対応する携帯・ポケットWiFiでないと、意味がありません。年末までには1900MHz対応の携帯・ポケットWiFi(iPhoneを含む)にも対応するようになります。

買収金額は推定1億ドル(加入者一人当たり$100)買収手続きは6月末までに完了し、買収後もSimple Mobileブランドは独立して継続営業されるようですが、経費削減のためカスタマーサービス部門などの統合は予想されています。



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