AT&TがLTEサービスエリアを12ヵ所追加、Verizonは7ヵ所追加
● 新iPad(3rd generation)の発表のおかげで4G LTEが注目されていますが、AT&Tは4月からあと12ヵ所でのLTEサービス開始をする、と先日(2012年3月12日)発表しました。
新しくLTEが開始されるのは、
オハイオ州Akron、Canton、Cleveland、
フロリダ州Naples、
インディアナ州Bloomington、Lafayette、Muncie、
ルイジアナ州Baton Rouge、New Orleans、
ミズーリ州St. Louis、
テキサス州Bryan-College Station、
ニューヨークのStaten Island
です。
AT&T 4G LTE to hit 12 new markets beginning next month – 2012年3月12日
なお、AT&Tは最初のLTEサービス開始の2011年9月18日以来、これまで28ヵ所で既にLTEサービスを開始していて、人口カバー率7400万人(約24%)となっています。
今回の追加発表で、AT&TのLTEサービスエリアは40ヵ所となります。
AT&TのLTEサービスは700MHz (704-746MHz) Band 17で行われています。
AT&TはLTEとは別に全米の広い都市部地域でHSPA+でダウンロード最大21Mbpsのサービスを実施しており、同社はT-Mobile USAの4G HSPA+サービスに対抗する為に、これも『4G』と呼んでいます。
基本的にAT&Tの3Gサービスエリアの80%以上は、既に同じ周波数でHSPA+にアップグレードされています。したがって、HSPA+のサービスエリアは3Gのサービスエリアとほぼ同じと思ってください。
同社の1900MHzまたは850MHz周波数に対応したHPSA+対応携帯(例:iPhone 4S)やモバイル通信機器では、4-5Mbps(実測値)以上の速度での通信が可能です。
● AT&Tより先に2010年12月からLTEサービスを開始しているVerizonは、本日2012年3月14日の発表で7ヵ所の新規サービスエリア(3月15日開始)を追加します。
アラバマ州Dothan、Enterprise
フロリダ州Naples
ノースカロライナ州Greenville
オクラホマ州Altus、Durant
テキサス州Longview/Marshall
同時に既存の17のVerizon LTEサービス地域では、サービスエリアの拡大が行わる予定です。
今回の追加で、VerizonのLTEサービスエリアは203ヵ所に拡大されます。
Verizonは同時に、「2012年末までのLTEサービスエリアは400ヵ所以上、人口カバー率で2億6000万人(85%)を目標とする」事を発表しています。
Verizon Announces Seven New LTE Markets, Expansion In 17 More On March 15th – 2012年3月14日
VerizonはLTE 700MHz (746-787MHz) Band 13でのサービスを提供しています。
同社のLTE速度は現在、通常5Mbps(ダウンロード実測値)、一部の都市では15Mbps(ダウンロード実測値)で提供されています。
なお、VerizonはLTEサービスを自宅での固定インターネット接続サービスでも開始することを2012年3月6日に発表しています。
このサービスを受ける為には、Verizonの作業員に自宅に訪問してもらい、$199.99で専用アンテナを自宅に取り付ける必要があります。
Verizon Announces Fixed Residential LTE Service – 2012年3月6日
● Sprint社はBoostMobileのiDen通信方式契約者に、CDMA通信方式の端末に機種変更するように通知を送り始めました。
これによりSprintはiDen通信を最終的には停波し、iDenで使用している800MHz帯域を同社のLTEサービスに転用したい考えです。
その前に、Sprintは2012年前半~中頃には1900MHz帯域でのLTEサービスを最初の6都市で開始したい考えで、今年の秋に予想されているLTE版iPhone新機種の販売に備えたい考えです。
予定されている最初の6都市は
カンザス/ミズーリ州Kansas City
メリーランド州Baltimore
テキサス州Houston、Dallas、San Antonio
ジョージア州Atlanta
です。
SprintはClearwire(Clear)と2.5GHz帯域でTD-LTEのMVNO契約も結んでおり、Clearが資金集めに成功し(←ここが一番問題です。)、2013年中にTD-LTEの導入を開始すれば、それをSprintブランドで再販することも決定しています。
Clearは現在、Sprintへ2.5GHz WiMaxのインフラ提供をしていますが、その契約は2015年までしか結ばれていません。
なお、CDMA系プリペイド携帯会社Cricket(Leap Wireless)も本日のプレスリリースで、ClearとのMVNO契約を結んだことを発表しました。
Clearwire, Leap Wireless Reach LTE Wholesale Pact >CLWR – 2012年3月14日
● T-Mobile USAは2013年中にLTEサービスを開始すると発表していますが、AT&Tとの合併話がアメリカ合衆国司法省の反対から消えた2011年12月まではその計画は全く無かっただけに、現在、同社のLTE計画、および、周波数再編計画はまだ初期の段階と言えます。
T-Mobile USAは既に米国内の広い都市部地域でHSPA+(HSPA+21)およびDC-HSDPA(HSPA+42)でダウンロード21Mbpsまたは42Mbpsのサービスを実施しており、これを『4G』と同社は呼んでいます。
AT&Tと同様に基本的にT-Mobile USAの3Gサービスエリアのほぼ全域は、既に同じ周波数でHSPA+にアップグレードされています。したがって、HSPA+のサービスエリアは3Gのサービスエリアとほぼ同じと思ってください。21MBps(HSPA+)対応か42Mbps(DC-HSDPA)対応かは、地域によって違います。
同社のAWS(上り1700MHz/2100MHz)周波数帯域に対応した携帯やモバイル通信機器では、21Mbps対応地域で4-5Mbps(実測値)以上の速度での通信が可能です。
● 他にLTEサービスを既に開始しているアメリカのキャリアには、地域携帯会社MetroPCSがあり、AWS帯域(上り1700MHz/下り2100MHz)でサービスを行っています。
MetroPCSは、全米19の都市・地域に住んでいる人しか加入できません。
MetroPCS携帯電話会社について – 2012年2月17日
MetroPCSはSprintによる買収話にほぼ合意していましたが、Sprintの役員会の反対によりその話が消えた・・・という報告が2012年2月24日に流れています。
Sprint Deal for MetroPCS Said to Have Collapsed – 2012年2月24日
しかし、今後、アメリカの携帯マーケットが(実用上で、かどうかは別として、少なくてもマーケティング上で)LTE通信中心に移行し、キャリアが多額の通信設備投資を必要としてくることから、加入者数全米5倍目のMetroPCS以下の通信会社は、トップ4社との合併を一つの経営戦略として狙ってくることになるでしょう。
しかも、これらの会社は3Gは殆どCDMA2000系なので、合併相手はトップ4社のうちでもVerizonかSprintに限られてくるでしょう。