T-Mobile USの業績躍進は、固定化傾向。
ソフトバンク社長でSprint会長の孫 正義氏は、SprintがT-Mobile USを買収する理由の一つとして、昨年(2013年)3月以降のT-Mobile USの業績躍進は「一時的なもの。そのうち失速する。」と言い放っています。
しかし、本日FireceWirelessがリリースされた業界証券アナリストのレポートによると、
【FireceWireless】Analysts: T-Mobile Uncarrier momentum accelerating into Q1, handset financing programs catching fire – 2014年4月4日
T-Mobile USは2014年第1四半期の契約数も、ネットでポストペイド契約の加入台数増は110万台に達すると予想されています。これは、事前予想を10万台上方修正した数字です。情報を提供した証券会社Jefferiesのアナリストは、T-Mobile USの2014年年間ポストペイド契約台数を、プラス320万台と上方に予想修正しました。
他の証券会社のアナリスト(New Street Research)も同様の数字を発表しています。
このT-Mobile USの業績躍進は、2014年1月日にT-Mobile USが発表した「T-Mobile USにMNPすれば、他キャリアのETF(早期解約料)を1回線当たり最大$350までリベート。他社の端末下取りで最大$300クレジット。合計最大$650までのクレジットを転入者へクレジットする。」プロモーションでさらに加速されていると分析されています。
T-Mobile USへの転入加入者は、Sprintからの加入者が多いだろう、とアナリストは予想しています。
前々期(2013年第4四半期)のSprintの業績は、予想以上にプラス5万8000件の加入台増が報告されましたが、これはクリスマスシーズンとiPad Air/iPad Mini Retinaの販売開始の影響で、タブレット(iPad/iPad Mini)の加入者が多かったためで、携帯(スマホ)の純加入台数は減少したと考えられています。そして、大都市でのLTE普及がいまだに充実できていないSprintの直近前期(2014年第1四半期)の業績は、大きく減少するであろうとアナリストは予想しています。
ただ、Sprintは年頭(2014年1月7日)に新しいFramilyプランを発表し、このプラン内で最大10人まで、加入者数が多いほど1端末あたりの月料金が安くなるプランを提供しました。このプランでは、端末おのおの月1GBまでのデータが使用出来て、1台では月$55。家族・親戚・友人・会社の同僚などと組んで7-10台で加入すると、1台当たり月$25に月料金が下がります。
しかし、通信の質が良ければ喜んで参加するでしょうが、4キャリア中一番通信の質が悪いSprintに喜んで加入する利用者はそれほど多く無く、「質の悪い『商品』を薦めあう」親戚や友人、会社の同僚との間で人間関係の問題も発生する懸念もあります。
事実、Sprintは直近前期終了直後の本日2014年4月4日より、T-Mobile USのETFリベート・プロモーションをそのままそっくり真似て、Sprint FramilyプランへのMNP転入者へ「他社のETF(早期解約料)クレジット最大$350、端末下取り最大$300、合計で最大$650まで負担する」キャンペーンを2014年5月8日までの期限付きで開始しました。(T-Mobile USの他社ETFリベートは、期限がありません。)
このSprintのキャンペーンの開始のタイミングは、前期(2014年第1四半期)のFramilyプラン加入者が予想を下回ったため、それへの「テコ入れ」ではないか、とも考えられます。
Sprintは加入者数でアメリカ第3位のキャリアで、2013年末現在の加入総数は5390万件。T-Mobile USは第4位で、2013年末現在の加入総数は4670万件。その差は720万件です。
T-Mobile USの2014年第1四半期(暦期)業績発表は2014年5月1日午前9時(東海岸時刻)、Sprintの同期業績発表は2014年4月29日午前7時(東海岸時刻)の予定です。