マイアミ子供病院が屋内位置情報システムで、患者や家族が病院内の移動に役立つiPhoneアプリを提供開始。


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アップル社が屋内位置情報システム関連開発会社を買収したというニュースを受けて、先週、屋内位置情報システム(インドアGPS)に関して以下のブログ記事を書き、屋内位置情報システムは実際の生活でどのように役に立つのかを書きました。
インドアGPS(屋内位置情報)システムは、どんなアプリに役立つのか? – 2013年3月28日

衛星電波を使ったGPSシステムでは、位置は3メートル(10フィート)程度の誤差があります。そして、屋内に入ってしまって窓から数十センチメートル以上離れてしまうと衛星電波は受信できず、衛星GPSでは位置が測定できません。

現在発売されているスマホはA-GPS(Assisted-GPS)機能を持っており、GPS衛星電波で一測定する速度を速めるために、携帯電波の基地局の情報から地理的位置を測定する方法はありますが、この精度は衛星GPSよりももっと悪いです。

Skyhookのように公道から電波を検知できる既知のWiFiアクセスポイントのデータベースを基にしたWiFi位置情報システムも、その精度は衛星GPSを基にした位置情報システムの精度よりも悪いだけではなく、大きな建物内の、公道から離れた奥のWiFiアクセスポイントは、自動スキャン用自動車からは電波が検知できないのでデータベースに含むことができません。

したがってショッピングセンター、博物館・美術館、屋内展示会場、大学やホテルや大きな事務所ビルなどでは、屋内WiFiアクセスポイントを利用した屋内位置情報システムが役に立ちます。そして、このシステムでは3つのWiFiアクセスポイントからの信号強度を測定し、室内で精度が1メートル以下の精度でWiFi接続端末の位置が判ります。

この室内位置情報システムは、既に昨年から北米やヨーロッパの博物館、空港、ショッピングセンターなどで利用され始めています。

フロリダ州マイアミで入院ベッド数289ベッドを持つマイアミ子供病院は小児の心臓移植などでも評判の高い子供病院で、日本人の子供もそこで心臓移植を受けたことがある病院です。更に、マイアミ市内で7ヵ所の分所があり、外来診療やリハビリを行っています。
この病院でも屋内WiFiアクセスポイントを使った三角測量原理で患者や家族が病院建物内の現在地を確認できて、目的の部屋への経路を調べられる機能を、先週2013年3月末にiPhoneアプリに追加しました。また、このアプリは今後、他のスマートフォンOSへも移植される予定です。

 

Miami Hospital Turns to Wi-Fi Triangulation for Smartphone Mapping App – 2013年4月3日

このアプリ(Fit4KidsCare)では、エレベーターに乗って垂直移動した場合にも、その高さを測定して、現在、自分が建物の何階に居るかも判断できます。
病院では患者は家族から建物内のいろいろな部署の場所を聞かれることが多く、それに対応するためにこのサービスを始めたということです。

この病院のCIOのEdward Martinez氏は、病院内には数100のWiFiアクセスポイントが配置されており、それを利用して屋内位置情報を1メートルの誤差で判断している、と言っています。同氏はニューヨークの自然博物館で同様な屋内位置情報システムを使って、恐竜や鯨の展示物の前に自分が立っているかどうかを自動判断して目の前の展示物の情報を流してくれるアプリを見て、「これと同様のシステムを、同じように大きな建物である病院にも利用できて、入院患者が自分の入院ベッドから、必要な病院内部署に簡単に移動できるアプリを作ったら便利だろう。」と思って、開発を指示したということです。

マイアミ子供病院は、同病院のシステム部門と外部開発者が共同で、Cisco Application Programming Interfaceを使ってこの屋内位置情報システムを1年掛かって開発。30人のユーザーで試験的に使用した後、先週、一般公開しました。
このアプリの開発費用は約3万ドルだったそうです。

Edward Martinez氏は、「将来はこの室内位置情報システムとロボットを組み合わせ、入院患者の体温や血圧などの毎日の定期健診などの日常回診はロボットに入院病棟を自動回診させて行いたい。」と話しています。現在は定期健診ロボットを医者や院内専門技師が院内誘導して、入院病棟を回っています。
しかし、室内位置情報システムと組み合わせれば、医者や技師がロボットに付き添っていなくとも、自分のオフィスの椅子に座ったままPCでロボットを制御して、患者の日常定期健診を行うことができるようになります。

また、患者の尿検査検体をロボットが入院病棟から自動回収したり、患者の食事を入院病棟にロボットが運んだりすることも、可能になります。

Edward Martinez氏「生身のスタッフを使わずに入院患者の日々の世話の一部がロボットでできるようになれば、ヘルスケア・コストの削減にも繋がる。」と、将来への夢を語ってくれたそうです。



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