ニューヨーク市が、11000ヵ所の市内公衆電話ブースの再利用アイデアを市民から募集。
ニューヨーク市は現在、市内に11000台の公衆電話ブースを持っています
この公衆電話は、現在契約中の公衆電話オペレーターと1999年に15年契約で契約され、2014年10月に契約が切れます。
ニューヨーク市はこの公衆電話ブースを全部または一部をこのまま契約更新するか、携帯電話時代になって用を成さなくなった公衆電話ブースを解約するか、の判断をする前に、これらの公衆電話ブースのスペースをいかに利用していくべきかを市民にアイデアを出してもらうことにしました。
昨年2012年12月のNY Tech Meetupでこの募集を発表し、120以上のアイデアが集まりました。
2013年3月5日夜、この中から11のアイデアが選ばれ、主催する市のDepartment of Information Technology and Telecommunications (DoITT) 他の選考委員の前でアイデアを発表し、アピールしました。
そして、選考委員会は5つのカテゴリーからそれぞれ一つずつのアイデアを選びました。・・・ただし、コミュニティー・インパクト部門において2つのアイデアが同点という結果となり、最終的に6つのアイデアが選ばれました。
この6つのアイデアは、市のFacebookページに紹介され、2013年3月6日から14日までの期間、Facebook上で市民の投票が行われ、「人気賞」が選ばれました。
ビジュアル・デザイン賞
ビジュアル・デザイン賞は、Frog Designのアイデアで、12フィート(3.6メートル)の高さのブースを公衆電話に置き換え、音声認識やジェスチャー操作で点滅するLED電灯を装備しています。更に、タクシーを呼ぶためのボタンや、緊急サービス(警察、消防、救急車、など)を呼ぶボタンが備えられています。
ブースの上部の電球は夜は歩道を照らし、公告スペースもあります。LED電球は太陽電池によって充電され、停電の際でも歩道が照らし続けられます。
コネクティビティ賞
コネクティビティ部門では、「NYFi」と名付けられたアイデアが選ばれました
ステインレススチール製のブースに、iPhoneアプリに似たようなアイコンを写し、タッチスクリーンでそのアイコンに触れると、それぞれの機能が画面に表示されると言うものです。市内観光案内や、旅行者向け情報が、このブースで得られます。
更に、ニューヨーク地下鉄のメトロカードや、路上駐車券も、このブースで販売できます。
ブース上部のLED電球列には、各種情報やシンボルが表示できます。
更に市の職員が屋外で作業する時に、ブースの下部の電源コンセントから電源を供給したり、オフィスと通信するためのポートを装備します。
「NYFi」ブースは無料WiFiの電波を発信し、市民や旅行者は路上でもWiFiが使えます。
クリエイティビティ賞
クリエイティビティ賞は、FXFOWLEのNYC Loopというアイデアが選ばれました。
オープンタイプのデザインは、内側の壁にタッチスクリーンを備え、市内情報を検索したり、電話(公衆電話)を使ったり出来ます。
公衆電話を使用するときには防音壁を引いて、外部の交通の音を遮断することが出来ます。
外側の壁には広告を流します。反対側には人が座れるベンチを置いて、歩行者が座って休むことが出来ます。
また、携帯電話などを充電できるように、電源コンセントも備え付けます。
コミュニティ賞
コミュニティ賞には同点で2つのアイデアが選ばれました。
NYC I/Oが提案したアイデアは、映画「Minority Report」スタイルのブース。
Windchimesのデザインは、必要最小限のデザインと気象測定装置、そして、レトロ調の押しボタンスイッチ(公衆電話機能用)で選考委員の心を勝ち取りました。
機能(ファンクショナリティ)賞
機能賞は「Smart Sidewalk」と名付けられたアイデアで、太陽電池を2方向に向けて発電し、ジェスチャー制御でWindows Phoneに似たGUIのスクリーンで電話が出来ます。更に点字キーボードも備え付けられ、目の不自由な人でも利用できます。電話だけでなく、地域情報や地図を検索することが出来ます。ブラウザーも利用でき、ネットの検索が自由に出来ます。必要に応じてアプリを追加して、機能を増やすことが出来ます。
充電のためのUSBポートも装備しており、WiFiもこのキヨスクの周りで接続できます。
Facebook投票の結果は・・・
Facebookの投票は、2013年3月14日午後5時(ニューヨーク時間)で締め切られましたが、公衆電話をWiFiのアクセスポイントにして市内の路上でも無料WiFiを提供する「NYFi」のアイデアが人気賞を勝ち取りました。
これらのアイデアは必ずしもそのままニューヨーク市が採用するわけではありませんが、2014年秋の市内11000個の公衆電話ブース契約更新前に今後の方針を決める材料に使われます。
提案されたアイデアそのものも楽しいものが多いですが、市が一般市民から公衆電話スペースの再利用アイデアを公募し、Facebookで人気投票を行うあたりが、イキな試みだと思いました。
参考リンク:
NYC awards six Reinvent Payphones finalists, asks public to select favorite via Facebook – 2013年3月6日
High-tech payphone concept with free Wi-Fi wins NYC design challenge – 2013年3月15日
Congratulations to Reinvent Payphones Popular Choice Winner NYFi! – 2013年3月15日
NYFi wins NYC’s Reinvent Payphones ‘Popular Choice’ award, would serve free WiFi (update) – 2013年3月17日