下半身不随者が補助ロボット装置を付けて、自宅でも歩ける日が来た。
本日のこのニュースの一つに目が触れて、たまたまこの装置をリハビリ病院で練習で使っている光景を昨年、実際に筆者も見せて貰ったことがあるので、皆さんにも知っていただきたいと思い、取り上げます。
ReWalk 2.0 exoskeleton technology helps paralyzed veteran walk – 2013年1月23日
このロボットは一般にexoskeletonと呼ばれ、日本語訳では「外骨格」または「外骨格ロボット」、「外骨格ロボットスーツ」などと呼ばれているようです。事故や運動中に脊椎への大きなダメージで脊髄損傷などを受けたことが原因で下半身不随になり、本来ならば一生、車椅子生活をしなければならないような人が、このロボットを両足にベルトで装着し、バッテリーと制御回路の入った「バックパック」を背負って歩くことによって、椅子に座ったり立ったり、かつ、歩いたり出来るようになるという補助装置です。
このロボットを装着して患者がちょっと前かがみになると、その動きを察してロボットは足を交互に前に出すように、写真中の赤い丸の部分(つまり、腰関節と膝関節部分)が一定テンポで曲がり、患者の前進歩行を助けます。
戦場や派遣地で怪我をしたアメリカ軍人や元軍人のリハビリを行うVA(退役軍人)病院ではArgoというイスラエルのメーカーのRewalkという装置を使っているようです。しかし、アメリカ・北カリフォルニア州にあるメーカーEkso Bionics(前身の会社名はBerkeley Bionics)はUCバークレーのBerkeley Robotics and Engineering Labから生まれた医療機メーカーで、11箇所の病院で10ヶ月の試作期間を経て、2012年2月14日に商用第一号機をコロラド州デンバーのCraig病院に12万5000ドルで納入しました。
Ekso Bionics Sells its First Set of Robot Legs Allowing Paraplegics to Walk – 2012年2月27日
これを使ってリハビリを行うことによって、将来いつかexoskeleton無しで歩けるよう・・・には成らないのですが、本来ならば下半身不随で不便な車椅子でしか生活できない人が、このexoskeletonロボットの補助を受けることによって、(その時だけですが)立って歩けるようになり、活動範囲や生活活動の自由度が広くなる・・・というのがこの装置のメリットです。
Argo Rewalkは現在、1台6万ドル~7万ドルの「パーソナル・モデル」があり、イギリスでは自宅での使用も認可されています。この写真のクレア・ロマス(Claire Lomas)さんは昨年2012年5月16日のロンドン・マラソンで、マラソンコースをこのArgo Rewalkを装着して17日間で完走(完歩?)したそうです。
アメリカではまだFDAが病院での使用しか認ておらず、自宅での使用許可は現在、審査中だそうです。
ロボット技術が、実際に医療に役に立っている例です。