2012 CES期間のラスベガスのモバイル通信状況
世界から15万人が集まると言われるラスベガス最大の展示会、CES(Consumer Electronics Show、家電ショー)が来週、2012年1月10日~13日の4日間、ラスベガス・コンベンション・センターで開催されます。
筆者もここ数年、ある日本の企業の「(業界に通じた)通訳」としてこの展示会と、その後の企業訪問に参加していますので、この期間のラスベガスの携帯事情・モバイル通信事情について書きたいと思います。
■会期中は、ほとんどのモバイル通信会社のデータ通信(パケット通信)は、まともに使えないと思って下さい。
多数の人が、しかも、ハイテク関連分野の人が、限られた場所に集中的に集まります。
それらの参加者のほとんどが、iPhoneやスマートフォンを持参してきます。
ラスベガスのストリップ沿いやダウンタウンのホテルの部屋では、iPadやアンドロイド端末やラップトップコンピュータで夕方~深夜に一斉にEメールをチェックしたり、ウェブをブラウズしたり、します。
結果的に、このCES期間中はラスベガス、特にストリップ沿いホテルでは、モバイル通信の接続は、限りなく不可能に近くなります。
特に、過去の筆者の経験から、
● AT&T(と、そのMVNO=H2O Wirelessなど)、
● Sprint(と、そのプリペイド部門=Virgin Mobile USA、Boost Mobileなど)
は、最悪です。
● Verizonも、日本企業の方が昨年はVerizonの3G ポケットWiFiを借りてきていましたが、ラスベガス滞在中はほとんど接続できなかったか、深夜~未明になって少し繋がるかなぁ・・・・的状態でした。
また、追加のお金が掛かるので自分は試しませんでしたが、ホテルの部屋の有線インターネット接続も、かなり混雑していたようで、深夜を過ぎるまでまともに使えなかったようです(同行者の感想)が、モバイル通信よりはまだ良かったようです。
筆者はVirgin Mobile USAの3GポケットWiFiをホテルの部屋で使おうとしましたが、接続が非常に難しく、「3Gに接続した」と思った瞬間、すぐに切断されてしまう状態でした。滞在中は一度もまともに使えなかったので、諦めの境地でした。
AT&T契約のiPhoneは、外(ストリップ沿い)で夜はGPSや地図はそれなりに使えた記憶がありますが、昼はウェブ閲覧などはページ閲覧は非常に遅かった記憶があります。Eメールは、それなりにダウンロードできていたと思います。
夕方から深夜までのホテルの部屋でのモバイル通信が、最も最悪でした。参加者全員が部屋に戻って、一斉にEメールとかダウンロードするからでしょうか。
他の参加者によると、
● T-Mobile USAのプリペイドSIMを使うと、速度は遅い(端末がT-Mobile USAの3Gに対応していないから・・・)が、安定して接続は出来る、
とブログに報告している人もいます。これは、米国外からCESに参加している外国人のスマートフォンや通信機器のほとんどが、T-Mobile USAの3G周波数(AWS、上り1700MHz/下り2100MHz、Band IV)に対応していないので、会場付近での使用者が少ないためでしょう。
したがって、T-Mobile USAの3G/4G(HSPA+)周波数に対応しているスマートフォンやポケットWiFiを持っている人は、CESの時は優位です!!!
筆者は今年は
● AT&T iPhone 4S 3G/4G(HSPA+)対応、(接続状況が良ければテザリングを有効化するつもりだが、期待はしていない。)、
● Sprint iPhone 4S 3G(EVDO Rev. A)対応、(通話専用。モバイル通信は期待していない。)、
● Verizon 4G(LTE)対応ポケットWiFi、
● Galaxy Nexus GSM/W-CDMA版3G/4G(HSPA+)対応SIMフリー機を、T-Mobile USAプリペイドSIMで使用(モバイル通信専用。接続状況が良ければテザリングを有効化するつもり。)、
を持ち込み、iPad 2とラップトップPCを繋いで見るつもりです。
Verizonは2010年12月1日からアメリカの数箇所の都市でLTEサービスを開始し、2011年1月のCESではラスベガスでもLTEサービスを使用できたのですが、サービスが新しすぎてVerizonのLTE対応モバイル通信機器を所有している人は少なかったです。しかも、VerizonはLTE対応の携帯は2011年3月まで発売していませんでした。
したがって、今回の2012年CESが、ラスベガスにおけるVerizon LTEサービスの実質的な最初の試験になります。どれだけの利用者がVerizon LTE対応のアンドロイド携帯やポケットWiFiを持ってきているか、そして、それが通信速度にどれだけ影響するか、楽しみです。
きっと、Verizon LTE対応ポケットWiFiは、レンタルで借りてくる外国人も多いかもしれないなぁ・・・また、アメリカ人でもVerizonのLTE対応のアンドロイド携帯を使っている人も増えているだろうし・・・LTE対応のタブレットも発売されているしなぁ・・・
最悪、T-Mobile USAのHSPA+通信で不便なく、接続できて欲しいです。
なお、AT&Tも2011年11月20日からラスベガスでLTEサービスを開始しています。筆者はAT&TのLTE対応機をまだ一台も持っていないので、テストできませんが。
また、ラスベガスはWiMaxのサービス地域にもなっています。UQ WiMaxまたはAU WiMax対応の携帯・通信機器を所有している人は、事前に必要な手続きをしておけばラスベガスでローミングできるでしょう。
■会場に向かう前に、事前に「公式2012 CES」アプリをiPhone/iPadやアンドロイド端末にダウンロードしておきましょう。
参加者は、無料アプリ「Official 2012 International CES App」を事前にiPhone/iPadやアンドロイド端末にダウンロードしてインストールしておきましょう。(iTunes日本アカウントでも、ダウンロードできます。アンドロイド用もアンドロイド・マーケットからダウンロードできます。)
このアプリは定期的に内容の更新やニュース・フィードがあり、更新内容がある場合はアプリのDashboardメニューの右上部分の「同期」マークが赤くなります。
その場合は、その赤い「同期」マークをタップして、WiFiまたは3G経由で同期することが出来ます。
しかし、それ以外は一切ネットに接続することなく使用できます。会場のブース地図などもPDFで手元の端末に保存されているので、展示会場内でネットに接続できなくとも、このアプリは使用できますので安心してください。
■ラスベガス空港は、WiFiが無料です。
ご存知の人も多いと思いますが、ラスベガス空港は、ターミナルや荷物引き取場所周辺でのWiFi接続が以前から無料です。
最近行った人のツイートによれば、このラスベガス空港の無料WiFiのスポンサーがグーグルに変わったようですが、無料であることは変わりないようです。
2012年1月6日 追記:
昨年2011年1月のCES期間中のインターネット接続状況を定量的に測定した報告が、見つかりました。
How Did Smartphone Mobile Data Speeds at CES 2011 Compare?
詳細はリンク先を見ていただければ良いですが、そこからいくつかグラフを抜粋します。
2011 CES会場における、期間平均の、キャリア別時間別ダウンロード速度信頼性(3G):
2011 CES会場における、期間平均の、キャリア別時間別ダウンロード成功率(3G):
2011 CES会場における、期間平均の、キャリア別時間別ダウンロード速度信頼性(4G):
T-MobileはHSPA+、SprintはWiMax(ClearwireのWiMaxの再販)。
今年はこれにVerizon LTE、AT&T HSPA+、AT&T LTEが加わります。
2011 CES会場における、期間平均の、キャリア別時間別ダウンロード成功率(4G):
2011 CES会場における、会場オープン時間帯の、キャリア別3G/4G別平均アップロード/ダウンロード速度(kbps):
Sprint 4GはWiMax(ClearwireのWiMaxの再販)、T-Mobile 4GはHSPA+。
これによると、WiMax通信機器が一番確実で信頼できそう。(おそらく、利用者も一番少ない。)
AT&Tが最悪。(注:この時点ではVerizonはiPhone 4をまだ出していなかった。)
T-Mobileは日中はダメだが、夜は安定していた!?
Verizonは一日中安定!?・・・しかし、今年はVerizon利用者は昨年のCES時期には発売されていなかったiPhone 4/4S、LTEアンドロイド端末を持ってくる人が増えるので、どうなるだろう?
WiMax対応端末があれば、それを使えるようにしておいて持って来るのが、一番良いだろう。
アナログの56Kモデムとか音響カプラでラスベガス以外の地域にダイヤルアップでメールくらいはいけそうですね。何やら楽しそうです。