Verizon、留学生にも簡易条件で携帯契約を提供。ソーシャルセキュリティ番号不要。




AT&TやVerizonは以前(ポストペイド2年契約必須時代)から大学と提携し、特定の大学に入学した留学生に携帯電話のポストペイド契約を与信履歴チェック不要/ソーシャルセキュリティ番号不要で提供してきました。

そもそも、アメリカでは既に2年契約は事実上、廃止されています。
今でもあちこちの「掲示板」や「知恵袋」で、「アメリカのポストペイド携帯契約は、2年契約」と語っている回答者は、時代遅れです。

現在のアメリカのポストペイド携帯契約は、
1.契約束縛無し。いつでも解約金無しで解約できる。
2.(その代わり)端末は、定価で購入。⇒ 一括払い、または、最大24か月の分割払い。
 - 解約する場合には、残額を全額支払い必要有り。
3.与信履歴調査。
 - 与信履歴はソーシャルセキュリティ番号(社会保障番号)で管理されているため、与信履歴を受ける場合には、ソーシャルセキュリティ番号が必要。
 - 与信履歴に落ちた場合や、(留学生のように)ソーシャルセキュリティ番号が無いために与信履歴を受けられない場合には、保証金を契約時に支払う。(保証金の額は、ケースバイケース。)
 - 保証金は最低1年間預かられ、1年を過ぎて本人に未納や支払い遅延が無ければ、本人が申し出れば小切手で返金される。または、最後の請求書に適用され、余った金額は小切手で戻ってくる。

さて、Verizonは今年(2016年)秋から留学生(International Student)向けポストペイド携帯契約を簡素化し、一新します。
【Verizon】The Verizon International Student Program
【Verizon】Record class of international students prepares for U.S. campus life

これによると、Verizonショップにパスポートと、F-1ビザのスタンプを見せれば、留学生は次の条件でVerizonの携帯(スマートフォン)、タブレットなどを購入し、契約できます。
1.契約束縛無し。いつでも解約金無しで解約できる。
2.端末は20%頭金を購入時に支払う。残りは24か月、無利子の分割払い。
 - 解約するときに残債がある場合には、残債を完済する必要があります。
3.回線契約は、2回線まで。
 - 「スマホと、タブレット」または「スマホと、ポケットWiFi」と言った契約ができます。
4.与信履歴調査やソーシャルセキュリティ番号(社会保障番号)は必要無し。保証金も必要無し。

VerizonのLTE対応スマホやタブレット、ポケットWiFiは、全て販売時からSIMフリー端末です。SIMロック解除をリクエストする必要がありません。
(ただし、日本のLTE周波数や3G周波数に対応しているかどうかは、端末によって違います。iPhoneなら日本でも使えるのは、ほぼ間違いありません。)
したがって、日本へ一時帰国の際には最大90日まで日本の格安SIMで使用できます。
(技適マークが付いているかどうかは、端末次第です。技適マークが付いていない端末は、技術的には使えますが、法律的には日本へ入国してから90日を超えては使用できませんので、注意してください。)

また、Verizonの電波は現在のところ、アメリカで一番カバレッジが広く、電波も安定しています。

したがって、留学生はこの制度を利用して携帯電話(スマホ、iPhone)をVerizonでポストペイド契約をするメリットがあります。

■ 端末基本料金:
 - 通話の出来る端末(スマホ、iPhopne)1台当たり 月$20
 - 通話の出来ない端末(タブレット、ポケットWiFi)1台当たり 月$10

プラス

■ データ通信共有料金:
 - Sタイプ 月2GBまで、$35。超過分は$15/1GB、または、月$5で超過分は2G速度で使い放題。
 - Mタイプ 月4GBまで、$50。超過分は$15/1GB、または、月$5で超過分は2G速度で使い放題。
 - Lタイプ 月8GB(+2GB増加プロモーション中)まで、$70。超過分は$15/1GB、または、月$5で超過分は2G速度で使い放題。
 - XLタイプ 月16GB(+2GB増加プロモーション中)まで、$90。超過分は$15/1GB、または、月$5で超過分は2G速度で使い放題。
 - XXLタイプ 月24GB(+2GB増加プロモーション中)まで、$110。超過分は$15/1GB、または、月$5で超過分は2G速度で使い放題。
どのプランも、未使用高速データ容量は翌月にキャリーオーバーします。
また、XLとXXLタイプは、カナダメキシコでも追加料金無しで通話とテキストが使用可能で、データ通信もアメリカ国内データ容量が適用されます。

なお、Verizonのもう一つの特徴は、データ通信や国外ローミングを使い過ぎた場合(または、ローミング割引契約を有効にせずに使ってしまった場合)に、月初めに遡ってプランを変更することができます。
「今月はデータ通信を使い過ぎてしまった。」ー 大丈夫、Verizonポストペイド契約なら当請求月初めに遡って契約データを増量出来ます。

Verizonの欠点は、アメリカ国外(XLタイプとXXLタイプはアメリカ・メキシコ・カナダ国外)でのローミング料金がT-Mobile USやSprintやGoogle Project Fiよりも高価なことです。Verizonの契約のまま、日本など海外で使用する場合には、注意してください。



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「Verizon、留学生にも簡易条件で携帯契約を提供。ソーシャルセキュリティ番号不要。」への4件のフィードバック

  1. いつもブログ楽しく拝見させていただいております。とても勉強になります。

    さて、2016/8/18、T-mobileとSprintが同時にUnlimited planを発表いたしました。
    本件に関して、いくつかお考えをお伺いできれば幸いです。

    ① 両社が当新プランを”同時に”発表したことに、何か意味があるのでしょうか。
    ② 当新プランは、今後の米国携帯業界にどのような影響を与えるのでしょうか?
    当新プランは、その動画制限等を背景に、一部ユーザーから「exactly not unlimited plan」と揶揄されております。したがって、当新プランの導入がVerizon・AT&Tに与える影響は限定的になるでしょうか。あるいは、携帯4社の競争はますます激しくなるのでしょうか。

    お忙しい折大変恐縮ですが、コメントいただけますと大変助かります。
    何卒、どうぞよろしくお願い申し上げます。

    A Yoshida 返信:

    ① 新iPhone発表前であるのでiPhone買い替え層に対してキャリア変更チャンスも同時に提供すること、大学の新年度が始まって高校を卒業して親元を離れて大学に通う新入生が新しい通信プランに加入/アップグレードする前であること、から、例年5月~9月初めに各キャリアは新通信プランの発表をします。
    今年は、
    2016年7月6日発表、Verizonが新プラン発表・・・各Tierのデータ容量を増加し、かつ、データ容量限度後の低速度使い放題を「有料(月$5)でオプション化」・・・実質値上げ。新規加入者はこのプランのみ加入可能。
    2016年8月17日発表、AT&Tが新プラン発表・・・各Tierのデータ容量の見直し。低容量で実質値上げ、高容量で実質値下げ。新たな機能として、データ容量制限後は2G速度で使い放題。新規加入者はこのプランのみ加入可能。
    2016年8月19日発表、T-Mobile USが新しい「廉価版データ無制限オプション」を発表。(既存のSimple Choiceプランも継続。)T-Mobileは2015年11月12日に使い放題プランを月$80から月$95に値上げしているが、ビデオストリーミングの画質(速度)とテザリングの速度を2G速度に落とす代わりに安くて使い放題(月$70)のプランを新設追加。これまでのプランも新規加入者に提供。
    2016年8月19日発表、SprintがT-Mobile USと同じく制限付き使い放題プランを追加。T-Mobileと同じく、これまでのプランが無くなるわけではありません。これまでのプランも新規加入者に提供。

    どの新プランも、既存ユーザーは選択(Opt-In)しなければ、旧プランのままで継続します。新プランに自動的に変更になるわけではありません。


    今年のVerizonとAT&Tの新プラン発表は新規加入者に対してすべて適用のため、実質値上げになります。T-Mobile USは同じ「値上げ」を2015年11月12日に既に行っているため、VerizonとAT&TはT-Mobileを追っているだけです。

    T-MobileとSprintが今回発表したプランは、既存のプランは廃止されるわけではなく、廉価版オプションが追加されただけです。

    サービスの質はあまり気にせず、価格に対してセンシティブな消費者に対して、この後者2社の「追加」の廉価版プランはアピールするでしょう。VerizonやAT&Tの「値上げ」に対してキャリア変更を考えている「スマホ/iPhoneのカジュアル使用者」へは多少影響力があると思います。
    加えて、MVNO(プリペイド)からの移行もかなりあると思います。

    アメリカではここ2-3年、キャリアのプリペイドのサービス条件もポストペイドと殆ど変わらなくなり、キャリアのプリペイドが通信料も安くなり、MVNOの加入者が減ってきています。T-MobileやSprintがポストペイド廉価版使い放題プランを出すことにより、MVNOの加入者は更に減るでしょう。

    今後、アメリカ4キャリアの携帯の通信プランは、基本的には値上げ傾向になっていくと思います。これは、各社の巨額の設備投資を考えると、当然です。しかし、契約上、既存契約者は必ずしも新プランに「強制移行」されることは無いので、新プランは「値上げしても入りたい」魅力的なオプションが追加されていないと、既存ユーザーは新プランに移行しません。(つまり、キャリアとしては増収になりません。)なので、その魅力的機能をキャリアが見つけてどう訴求していくかが、今後の課題です。
    と同時に、「新しい機能やフル機能は不要だが、安いほうが良い」という客層も居ますので、機能をストリップダウンした廉価版オプションの同時並行提供が必要になってくる・・・というのが、今回のT-Mobile/Sprintの発表から見えてきます。
    しかし、この廉価版オプションは、MVNOのビジネスモデルに大きな打撃を与えます。

    ※ 現在、生き残っているアメリカのMVNOは、特定の国や地域への国際電話を格安または無料にするか、「通話とテキストが主体で、データ通信はほとんど不要」という層への格安サービスで生き残っていますが、MVNOのビジネスモデルは年々難しくなってきています。

    Analyst 返信:

    お忙しい折、ご丁寧にありがとうございました。
    大変助かりました。非常に勉強になります。

    T-mobileの戦略通り、今後は
    ①「値上げしても入りたい」魅力的なオプションを追加して価格を上げる
    or
    ②できるだけ機能を落として安価なプランを提供する

    という二極化のトレンドが見込まれるのですね。そしてこの二極化に対し、Verizon・AT&Tがどう対処するか、が注目すべきポイントということですね。

    一方で、Sprintの新プランは、動画速度制限解除オプション無し+テザリング追加オプション無しであるため実質値下げ(上述の②)に注力した戦略であり、ARPUは今後低下基調になるということでしょうか。

    A Yoshida 返信:

    SprintもT-Mobileも、今回の動画速度制限条件の廉価版プランの発表で、これまでの制限無し使い放題プランを廃止するわけではないです。継続して制限無使い放題プランを提供していきます。

    どちらも「実質値下げ」ではなく、「スタンダードな通信プランは高い」というユーザーに対し、条件付きで廉価版も提供し、従来プリペイドやMVNOに流れていた「安ければ良い」消費者層も取り入れていこう、ということです。
    低価格版通信プラン導入によりARPUは確かに減るかもしれませんが、加入者増を目指しています。

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