電波法改正案が議会を通過して昨年(2015年)5月22日に公布され、総務省はこれを受けて運用上の細則を公布後1年間の間に決めるように勧告されていました。何度かの意見募集を行った後、総務省「海外から持ち込まれるWi-Fi端末等の利用」の施行を2016年5月21日から実際に運用する予定であることを発表しました。
【総務省】電波利用に関する制度> その他の制度> 海外から持ち込まれるWi-Fi端末等の利用
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これによると、海外から日本へ持ち込む電子端末で、日本の技適(技術基準適合検査通過)マークの無い端末に関しては、以下の条件で日本国内で短期間(長期滞在ビザの不要な90日以内)使用できます。
1. 対象は、Wi-Fi、または、Bluetoothの電波を発生する電子機器(ノートパソコン、スマートフォン、タブレット、モバイルゲーム機、等)。
- 使用可能なWi-Fi周波数は、2.4GHz(屋内外)、5.2GHz帯(屋内)、5.3GHz帯(屋内)、5.6GHz帯(屋内外)。
2. 本体に米国のFCC認証や欧州のCEマークが付いており(または本体で表示でき)、かつ、Wi-Fi Allianceの認証ロゴが本体または取扱説明書でWi-Fi Allianceの認証を受けていることが確認できる端末であること
※ 端末ごとのWi-Fi Allianceの認証有無は、
【Wi-Fi Alliance】Product Finder
でも確認できる。
3. Bluetoothを使用する場合には、Bluetooth SIGのロゴが付いているか、取扱説明書等でBluetooth SIGの認証を受けていることが確認できること。
4. この端末での通信は、以下のWi-FiまたはBluetooth接続に限る。
(1)この端末から、公衆WiFiへ接続する場合
(2)この端末から、技適マークが有ってテザリング機能のある通信機器(他のスマホ、無線LANルーター(ポケットWi-Fi)、等)にWi-Fi経由で接続する場合
- (ただし、周波数は2.4GHz Wi-Fiのみ使用許可。日本では5GHz WiFiは屋外使用は認められていない。接続周波数の確認は、自分で事前に調べること。)
(3)この端末から、同様にBluetooth SIGの認証を受けているワイヤレスホン、小型スピーカー、自撮り棒等に接続する場合
5. 使用期間は、入国から90日以内とする。
6. 他国から持ち込んだ無線LANルーター(ポケットWiFi)は、技適マークが付いている場合にのみ、日本国内で使用できる。
7. ちなみに、技適マーク無しの機器による日本国内での有線LANの接続も、イーサネット(10Base-T、100Base-TX、1000Base-TX)での接続を今回、明確に許可。(これも、入国から90日以内に限る。)
8. 入国から90日を超える場合には、技適マークが付いた機器を使用する。(90日以上滞在はVISA必要だから、VISAを見せれば役所で外国人登録ができて、携帯も日本のサービスに合法的に加入できる、という理由?)
今回の総務省の発表で許可されていない(明確に「許可されている」と記述されていない)使用は、以下のようになります。 海外から日本へ持ち込む電子端末で、日本の技適マークの無い端末に関しては、 ■ この端末に日本の通信会社のSIMを挿入して、日本の3G W-CDMA/CDMA2000または4G LTEに通信接続すること は、これまで同様に違法のままです。 ただし、分かり易く親切に書かれている(はずの)総務省の海外からの短期旅行者へのパンフレット(最初の写真とリンクを参照)には、「(海外からの)無線LANルーターは、(技適マークが無いと)ダメ」との表示があるものの、「(海外からの)スマートフォンでは、(技適マークが無い場合には)日本国内では携帯電波を出さないように、機内モードをオン(データ通信をオフ)にしてください。」とは書かれていません。したがって、これまでの慣例通り、 つまり、海外居住者が日本国内で「海外携帯・スマホ・タブレット・ポケットWiFi、等」を使用する場合には、 |
結局、今回の総務省決断では訪日旅行者に対してMVNO SIMは全く規制緩和されていないのだけど、昨年5月からの1年間の意見募集期間にMVNOさん達は総務省にどういうご意見を出したんだろう?
技適マークとは、以下のマークのことを言い、
端末本体(通常、本体裏側、またはバッテリーコンパートメント内)に印刷または刻印されているか、または、端末内で表示できる必要があります。
iPhoneでは、「Settings(設定)⇒General(一般)⇒About(情報)⇒Legal(法律に基づく情報)⇒Regulatory(認証)」で、端末の電波使用許可検査を受けている国の認証印が表示されます。
※ 技適マークの有る海外iPhoneモデル
※ 技適マークの無い海外iPhoneモデル
アンドロイドでは、(Android 6.xの場合)「Settings(設定)⇒System:About phone(システム:端末情報)⇒Regulatory information(規制情報)」で、端末の電波使用許可検査を受けている国の認証印が表示されます。
※ 技適マークの無い北米Nexus 6モデル
遅いコメントで恐縮です。電波法第103条の5の改正により、いわゆる「第1号包括免許人」(例えばdocomo)が総務大臣の許可を得ていることを前提に、同じ設備を使用するMVNOのSIMも利用可能になる…ということのようです。
A Yoshida 返信:
2016年7月26日 2:40 PM
そのような内容は、5月21日当日の日本の記事に出ていましたね。
ただ、その根拠となる法律(修正電波法)の該当箇所を調べてから・・・と思ったまま、まだ調べていないので、報告していません。
もし、そのような(日本国内SIM+技適無し端末が90日間有効)修正電波法の箇所、または、政府刊行の案内書が見つかれば、教えてほしいです。
既にお読みになっているかとは思いますが、私の知る限りでは以下の記事の解説が一番詳しいかと存じます:
海外で買ったスマホはそのまま日本で使える? – 電気通信事業法などの一部改正(マイナビニュース)
http://news.mynavi.jp/articles/2016/05/21/denpaho/
“今回、この第103条の5も改正。「第1号包括免許人は、第2章、第3章及び第4章の規定にかかわらず、
総務大臣の許可を受けて、本邦内においてその包括免許に係る特定無線局と通信の相手方を同じくし、
当該通信の相手方である無線局からの電波を受けることによつて自動的に選択される周波数の電波のみ
を発射する外国の無線局(当該許可に係る外国の無線局の無線設備を使用して開設する無線局を含む。)
を運用することができる。」とあり、丸括弧内の文面が追加されている。”
残念ながら改正後に政府から出た案内については存じ上げないのですが、電波政策ビジョン懇談会の
最終報告書(58-59ページ)には以下の記載があります。
http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01kiban09_02000151.html
“同様に、海外から訪日観光客等が日本国内に一時的に持ち込むスマートフォン等の携帯電話端末のう
ち、我が国の技術基準を満たすことが予め確認されていないものについても、国際ローミングによら
ず国内発行SIMカードにより、国内電波利用環境を維持しつつ円滑な利用が可能となるよう、制度整
備に向けた検討を行うことが適当である。具体的には、携帯電話端末のうち、我が国の第一号包括免
許人が開設する携帯電話基地局に制御され、我が国の技術基準に相当する技術基準に適合していると
認められ、他の無線局にその運用を阻害するような混信その他の妨害を与えない範囲のものについて、
国内での一時的な利用を可能とするよう検討を進めることが適当である。”
これに対するMVNO事業者等からのパブコメについては以下の16ページにまとめられています。
http://www.soumu.go.jp/main_content/000334202.pdf
以上、ご参考になれば幸いです。