AT&T、Vodafoneに(少なくとも6ヶ月)買収提案をせず。
昨日、標題のニュースが報道されて、すぐ書くべきだったのですが、バタバタしておりました。
先週末、AT&TのCEO、Randall Stephenson氏が、EUの規制当局関係者と会談を行ったことから、AT&TのVodafone買収提案の噂がさらに強くなり、ロンドン証券取引所は「噂によって株価の上下が急速に進む」のを懸念し、AT&Tに対して噂の信憑性に対して質問状を出していました。
AT&Tはその質問状に対して、昨日、公式に「AT&Tは、Vodafoneの買収提案を出す予定が無い」ことを、ロンドン証券取引所に回答したそうです。
【Reuters】AT&T rules out Vodafone bid for now – 2014年1月27日
イギリスの規制によると、このAT&Tの正式回答により、AT&Tは少なくとも今後6ヵ月は、自主的なVodafone買収提案を出せなくなります。
ただし、6ヶ月を過ぎた場合には、AT&Tは自由に再度、Vodafoneへの対応を選択することが出来ます。
また、Vodafone側がAT&Tに対して合併提案を持ち込んできた場合には、6ヶ月以内でもそれを受け入れることが出来ます。
AT&Tが現状ではVodafone買収を諦めた理由は、いくつかの推測が挙げられています。
その一つは、アメリカのNSAが、AT&Tを含むアメリカ国内の通信会社やインターネット関連会社を利用してスパイ活動を行い、その諜報活動体操範囲がヨーロッパ諸国やヨーロッパのトップ政治家にも及んでいることが昨年夏に暴露され、その影響から、AT&Tなどアメリカ通信会社への「反発」がヨーロッパ諸国では強いことが挙げられています。
もう一つは、現在のヨーロッパの通信事業者は、100以上の(世界的には)中小の企業が競合して通信サービスを提供しており、AT&T/Vodafoneの合併により超大企業がヨーロッパ市場に生成され、特にその合併のパートナーがEU外からEU市場内へ進出してくると、EU内通信企業からの風当たりが強いであろう、という理由です。
AT&Tは今後、Vodafone以外で企業サイズ的にも小さく、認可の降り易いEU圏買収対象企業を探すか、6ヵ月後にVodafoneへ再度買収アプローチをするか、のどちらかの動きを取る、と多くのアナリストは観測しています。