T-MobileがLTEを開始、ポストペイド2年契約を廃止、iPhone 5/4S/4を2013年4月12日から発売。
今日のニューヨークでのT-Mobile USAの発表会は、盛りだくさんの内容のようだったようです。
筆者は今日の日中は出張先から飛行機で移動中だったため、まだ全てを整理しきっていません。
一部、ツイートで既に発信していますが、その内容も含めて、ここにこれまで半ば整理できていることを書き出します。
■ iPhone 5周波数対応にに関して
T-Mobile用iPhone 5は2013年4月12日から出荷/発売開始。4月5日から予約開始です。
T-Mobile用iPhone 5は基本的にAT&T/カナダ・モデルのA1428 GSMモデルですが、既存モデルに3G/HSPA+/DC-HSDPAのAWS(Band 4)が加わります。
以下、赤字が「新」A1428 GSMモデルに追加される周波数でT-Mobile契約で使用できる回線、黒字はこれまでの「旧(今日現在、既存)」A1428 GSMモデルの周波数です。
また、青字は既存モデルと同じ周波数でT-Mobile契約で使用できる回線です。(つまり、青と赤がT-Mobileで使用する通信モードと周波数です。)
● Model A1428 (GSM model)
LTE Band 4 (AWS)、Band 17 (700b MHz)
UMTS/HSPA+/DC-HSDPA (850, 900, 1900, 2100 MHz, AWS)
GSM/EDGE (850, 900, 1800, 1900 MHz);
AT&T、T-Mobile USA
カナダ Bell (including Virgin)、Rogers (including Fido)、Telus (including Koodo)
※ 一部の米国オンライン記事では「既存(旧)A1428 GSMモデルはT-Mobileの今回開始のLTE周波数(AWS)に対応しない。」と書いている記事もありますが、これは当該記事執筆者の誤解と思われます。それらの記事には、コメントで反論も出ています。
既存(旧)A1428 GSM版は既に製造時にAWS周波数(Band 4、上り1700MHz/下り2100MHz)への対応のアンテナを持っており、したがって、ハード的にはAWS Band 4でLTEにもW-CDMA/HSPA+/DC-HSDPAにも対応しています。
しかし、既存版が昨年9月に発売された時点ではT-Mobile USAとの契約が無かったため、アップルはW-CDMA/HSPA+/DC-HSDPA AWS Band 4を無効(disable)にするように、OTA(iOSの更新)では更新できない部分のファームウェアでコントロールしています。今回、「新」A1428 GSM版では、このファームウェアのみを変更し、W-CDMA/HSPA+/DC-HSDPA AWS Band 4を有効化します。
既存のAT&T版(およびカナダ版)A1428 GSMモデルはこのファームウェアは更新できないため、どんなに頑張ってもW-CDMA/HSPA+/DC-HSDPA AWS Band 4には対応しません。しかし、T-Mobile USAのLTE AWS Band 4には対応するはずです。
既にT-Mobileが1900MHzでW-CDMA/HSPA+を整備しているところでは、1900MHzで3G/HSPA+でも使用できます。(ただし、本日のオンライン記事ではほとんどが、1900MHz DC-HSDPAではT-Mobileはサービスしていない、と言及しています。)
「新」A1428 GSMモデルは「既存(旧)」A1428 GSMモデルのリプレースになり、A1428モデルに関しては今後の製造は「新」A1428 GSMモデルだけとなります。したがって、店頭での在庫が無くなった時点でAT&T版やカナダ版も「新」A1428 GSMモデルに置き換わります。
■ iPhone 5 T-Mobile版価格に関して
iPhone 5 16GBモデルを例にとると、T-Mobileとポストペイドを結ぶ契約者への価格は
● 一括払い$649 $579(プラス消費税)
または、
● 購入時$99(プラス消費税)、その後毎月$20(プラス消費税)x24回払い = 合計$579です。
結果として、分割払いのほうが安くなります。
分割払いは、毎月の通信費と一緒に請求されます。
24回払いを完済する前に解約した場合には、
● 解約時に残債を完済する
必要があります。
更に、購入した端末はいつでも機種変更の目的で「トレード・イン(下取り)」してもらうことが可能で、その際には業界平均の下取り価格が適用されます。
なお、T-Mobile版iPhone 5はSIMロックされて販売されますが、
● 一括購入
または
● 分割払いの残債を全て払い終わった時点
で、SIMロック解除をリクエストできます。
■ iPhone 4/4Sの販売
iPhone 4/iPhone 4SのGSMモデルも、T-Mobile用に販売されます。
iPhone 4/4SははじめからAWS周波数に対応した設計になっていないので、これらをT-Mobile USAで使う場合には
● 2G 1900MHz
または
● 3G(iPhone 4SはHSPA+)1900MHz
でしか使用できません。
このため、3G/HSPA+ 1900MHz整備が完了していない地域では、iPhone 4/4Sは発売されないそうです。
■ 新ポストペイド携帯契約制度の開始
既に週末の2013年3月24日から新規加入者に対して適用されていますが、新規T-Mobile USAポストペイド携帯契約は
● 2年契約は不要・・・というか、無い。Month-to-Month契約しかない。早期解約ペナルティー無しで、いつでも解約可能。
● したがって、いつ解約しても、早期解約料は無し($0)。
● 通信費は以下の通り
- アメリカ国内通話発信と着信は、使い放題プランのみ。
- SMSも、使い放題プランのみ。
- - 月$50プランは、データ通信が月500MBまで高速。500MB以上は2G速度に速度制限。テザリングは500MBまで追加料金無しで可能。
- - 月$60プランは、データ通信が月2.5GBまで高速。2.5GB以上は2G速度に速度制限。テザリングは2.5GBまで追加料金無しで可能。
- - 月$70プランは、データ通信が無制限高速。(速度制限無し。)テザリングは500MBまで追加料金無しで可能。それ以上のテザリングは追加料金が必要。
- - (月2GBテザリング追加【月合計2.5GB】は$10追加、月4GBテザリング追加【月合計4.5GB】は$20追加。)
なお、既存のポストペイド契約者は、現在契約中の2年契約が満期になったときに新ポストペイド契約に変更できます。
ポストペイド契約では超過分や国際電話などがあとで請求されるため、
● 与信履歴のチェック
● アメリカ国内に請求書が送れる住所があること
が加入条件として必要です。
■ プリペイド携帯プランの改定
同じく週末の2013年3月24日から新規加入者またはプラン変更者に適用されているプリペイド携帯契約のうち、
(1)Monthly(月極め)プリペイド契約は、新ポストペイド携帯契約に準じて改定(基本的に、データ通信量が増量)されました。つまり、
● 月極めプリペイドプランは
- アメリカ国内通話発信と着信は、使い放題
- SMSも、使い放題
- - 月$50プランは、データ通信が月500MBまで高速。500MB以上は2G速度に速度制限。テザリングは500MBまで追加料金無しで可能。
- - 月$60プランは、データ通信が月2.5GBまで高速。2.5GB以上は2G速度に速度制限。テザリングは2.5GBまで追加料金無しで可能。
- - 月$70プランは、データ通信が無制限高速。(速度制限無し。)テザリングは不可 テザリングは2.5GBまで追加料金無しで可能。
または
● 月$30.00プラン(Walmart実店舗/オンライン、および、T-Mobileオンラインのみ加入可能)
- アメリカ国内通話発信と着信は、100分まで
- SMSも、使い放題
- データ通信が月5GBまで高速。5GB以上は2G速度に速度制限。テザリングは5GBまで追加料金無しで可能(?)。
● 月$30.00プラン(T-Mobile実店舗のみ加入可能)
- アメリカ国内通話発信と着信、および、SMSが、合計1500分/通まで
- データ通信が月30MBまで。
ただし、最後の2つの月$30プランへは、既存のプランからの変更は出来ません。
(2)Daily(日払い)プリペイド契約は、$1/Dayの通話だけのプランが無くなりました。つまり、
● 1日$2で通話/SMS/データ(2G速度)が使い放題。
● 1日$3で通話/SMS/データ(1日200MBまでは高速、それ以上は2G速度に減速)が使い放題。
だけになります。
(3)Pay-as-you-goはそのままの料金で継続です。
● 通話はトップアップ金額によって、1分当たり$0.33~$0.10.
● SMSは1通あたり$0.10
● データ通信は不可
です。
なお、プリペイド携帯プランでLTEが使用できるかどうかは、発表されていません。(ま、普通はだめでしょうけど、しかし、T-Mobileのことだから・・・)
■ ファミリープラン(ポストペイド)
ファミリープランは、一人の加入者で一枚の請求書の中に、2~5台の携帯(電話番号)が契約できるものです。
家族の携帯を一人(普通はお父さん)で契約し、家族が使用できます。
もちろん、ルームメートや友達一緒にファミリープランに入ることも出来ますが、支払い責任者は一人なので、信用できる人を加入者にしましょう。
また、友達数人でファミリープランに加入したときには、支払い責任者(加入者)が卒業や引越しでファミリープランから抜けないといけなくなったときにどうするかも考えておく必要があります。(引き継ぐ人の与信履歴が良好であれば問題無く引き継げますが、引継ぎ手続きには両方の人間が必要です。)
T-Mobileのポストペイド・ファミリープランは、2年契約が無くなり、いつでも解約できるようになります。
通話は、全てのプランで(米国内および着信が)使い放題です。テキストも国際SMS/MMS送信以外は、使い放題です。
()内は一台平均の月料金です。
1台あたりの 速度制限適用までの データ使用量 |
1台 | 2台 | 3台 | 4台 | 5台 |
500MB テザリング可 |
$50 ($50) |
$80 ($40) |
$90 ($30) |
$100 ($25) |
$110 ($22) |
2.5GB テザリング可 |
$60 ($60) |
$100 ($50) |
$120 ($40) |
$140 ($35) |
$160 ($32) |
制限無し テザリング500MBまで可 |
$70 ($70) |
$120 ($60) |
$150 ($50) |
$180 ($45) |
$110 ($42) |
※ 速度制限後は、2G速度で請求月の月末まで使い放題で使えます。
なおT-Mobileのサイトでは、ファミリープランの加入端末ごとに速度制限までのデータ使用量を変えるような場合は考慮されていないようです。
つまり、ファミリープランで、1台はフィーチャーフォンなのでデータ使用量は0バイトまたは500MBバイト、2台は2.5GB、残り1台はUnlimited(制限無し)・・・というような組み合わせは、オンラインでは出来ません。ショップで「そうしてほしい」とリクエストしたときに出来るかどうかは、不明です。
■ ポストペイドモバイル通信プランの改定
タブレット端末やポケットWiFi/USBモデル用のポストペイドモバイル通信プランは、2013年3月24日より以下のようになりました。
2年契約束縛無し(いつでも解約可能)、タブレットはテザリング可能、データ通信使い放題(一定量以降は速度制限適用あり)。
● 月500MBまで高速、その後は2G速度に速度制限・・・月$20
● 月2.5GBまで高速、その後は2G速度に速度制限・・・月$30
● 月4.5GBまで高速、その後は2G速度に速度制限・・・月$40
● 月6.5GBまで高速、その後は2G速度に速度制限・・・月$50
● 月8.5GBまで高速、その後は2G速度に速度制限・・・月$60
● 月10.5GBまで高速、その後は2G速度に速度制限・・・月$70
● 月12.5GBまで高速、その後は2G速度に速度制限・・・月$80
■ プリペイドモバイル通信プランの改定
タブレット端末やポケットWiFi/USBモデル用のプリペイドモバイル通信プランは、今回の発表では変更がありませんでした。
● Week Pass:1週間300MBまで・・・$15
● Month Pass-1.5GB:30日1.5GBまで・・・$25
● Month Pass-3.5GB:30日3.5GBまで・・・$35
● Month Pass-5.0GB:30日5.0GBまで・・・$50
※ 注意:残高が足りない場合には、残高が$0になるか、トップアップして上記プランに加入するまで、$0.20/1MBで課金されます。
プリペイドモバイル通信プランでLTEが使用できるかどうかは、発表されていません。
また、iPad/iPad MiniはT-Mobileプリペイド携帯プランでは使えなくなったようです。プリペイドモバイル通信プランが必要になったようです。この件に関しては、近日詳しく検証報告したいと思います。
■ LTEの正式開始
2013年3月25日よりAWS(Band 4)で公式に以下の7ヵ所でLTEを開始しました。
Las Vegas,
Kansas City,
Houston,
Washington D.C.,
Baltimore,
Phoenix,
San Jose
2013年夏までに人口カバー率33%(1億人)、2013年末までに66%(2億人)をカバーする予定です。
アメリカでは現在のところ端末がLTE Advanedに対応するものは発売されていないため、T-MobileのLTEが昨年の発表通り「初期からLTE Advancedインプリ」なのかどうかを確認するすべがありません。
管理人様、
詳しい内容ありがとうございます。新プランは、契約上はまだ、ポストペイドとなることがわかり、大変ありがたく思います。ところで、ポストペイドということは、通常のT-mobileのプリペイドではないので、回線契約したときに、911、携帯用の高いTAXが毎月必要となるということですね。Tmobileのプリペイドだと、消費税のみでOKですので、同じ価格のプランでも、実際には、新ポストペイドプランの方が少し、月額料金が高くなると考えられますね。
管理人 返信:
2013年4月1日 3:32 AM
そういうことですね。
ただ、プリペイドのトップアップに消費税が掛かるかどうかは非常にイレギュラーで、州によっても違うし、同じ州でもトップアップカードを買う店によっても違います。たとえば、同じNet10のトップアップカードでも、Walmartで買うと消費税が取られるが、BestBuyだと消費税が掛からない(連邦通信税の一部、数10セントは掛かる。)、とか。
この判断基準は、私も良く判りません!