Lytro、撮影した後でピンボケを直せるカメラ、遂に出荷開始
昨年(2011年)10月の商品発表会、今年(2012年)1月のラスベガスでのCES(Consumer Electronics Show)でのガジェット賞を受賞したLytroカメラは、撮影した後に画像の焦点(ピント)を自由自在に変えられるカメラとして注目を集めていました。
その原理については他のサイトを参照していただくとして、(「Lytro」で検索してください。)
短く言うと、このカメラは「Light Field(光照射野)カメラ」と言い、カメラレンズを通る光線の方向をも記録することで、撮影後にソフトウェア処理で、撮影した画像の焦点を前の被写体にも後ろの被写体にも好きに合わせられるもの。
これまではLight Fieldカメラは大きな建物の中に設置された装置で、かつ、スーパーコンピューターを使って画像処理を行っていたようです。これを、一般消費者向けに製作された最初の製品が、このLytroカメラ。
このカメラは商品発表から予約販売が行われていましたが、遂にその予約者に出荷開始のメールが送られてきたようです。
価格は
8GB版(写真約350枚) ・・・ $399
16GB版(写真約700枚) ・・・ $499
サイズは写真1枚約23MByteになる計算ですね。
その撮影したLight Fieldデータを、ソフトウェア(現在はMac版のみ、Windows版は近い将来リリース。)で処理することにより、撮影した後の画像の焦点を自由に変えられます。
同社のサイトにサンプル写真があり、焦点を変えるのを実体験できます。例えば、
車の中からの写真
で、サイドミラーをマウスでクリックすると
サイドミラーに焦点が合い、中間の人にマウスをクリックすると
その人に焦点が合い、背景の人にマウスをクリックすると
背景に焦点が合います。
このカメラ、ピンボケは後処理で直せるものの、カメラを持った手のブレによる写真のブレや、動く被写体のブレは、直せないそうです。
また、最初のモデルではWiFi機能は有効化されていませんが、FCC認可通過版はWiFiモデルだったそうですから、このモデルでもファームウェアアップデートによって無線LANが使えて写真をPC(Mac)やLytroクラウドにアップロードできるか、次のモデルでそれができるようになるでしょう。(現状ではUSBポートから写真をアップロードするようです。)
カメラの後方部分(レンズと反対側)には、3インチのディスプレイが付いていて、撮影した写真をそこで見られるそうです。
家電量販店の店頭陳列はいつごろになるのでしょうか?
また、同社はこの技術を他カメラメーカーや携帯メーカーにもライセンスしていくとの事なので、Lytro以外からも数ヶ月以内に「Light Fieldカメラ」が発売されるかもしれません。
この分野のカメラとしては第一号の大衆向け商品となりますので、一般の人は改良版後継機種を待ったほうが良いと思いますが、どうしても新しいガジェットを手にしないといけない人、または、カメラ好きの人には、一日も早く手にしたい商品かもしれません。
なおこの製品は、スタンフォード大学コンピュータサイエンス学科博士課程大学院生Ren Ng氏の2006年6月の博士論文が製品化されたものです。
Lytro社のホームページは、
Lytroホームページ
です。