アメリカのWiMAXは、いつ停波するのか?


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標題の件に関して、実はSprintも、Clearwireも、公式には何も発表していないんですよね。

まず第一に、Clearwireは資金の保全を図るため、2010年10月ころからWiMAXの新設と追加設備投資を一切行なっていません。

そして、ClearwireがSprintにまだ100%買収されていない時期(それでも、そのときはSprintはClearの51%株主だったんですが・・・)である2011年12月1日に、Clearwireの社債の利息不払いを防ぎ、破産を防ぐため、Sprintは、ClearwireのMVNOとしてClearwireに支払う通信料のバックペイと前金一部を払い、新しい契約を結びました。そのときの内容としては、
● Sprintは2012年末まで、WiMAX対応端末を販売する。(それ以降は、Sprintポストペイドブランドでは、販売しない。)
● 2012年と2013年は、SprintからClearwireへの支払いを、固定で9億2600万ドルとする。(2014年以降は、回線使用量に応じての支払いとする。)
● Sprint WiMAXポストペイド契約の最後の契約者の2年契約が修了する2015年(through at least 2015)まで、WiMAX回線使用(再販)の契約を行う。
となっています。
【Sprint】Sprint and Clearwire Announce New Agreements – 2011年12月1日

この文章の「through at least 2015」という言葉の解釈が、2015年1月1日なのか、2015年12月31日なのかは、一般の解釈が分かれています。
「Sprintポストペイド契約のWiMAX兼用端末最終日の2012年12月31日に2年契約をしたユーザーは2014年12月30日には契約が切れるので、WiMAXの停波は2015年1月1日では?」と解釈する人と、「英語文章的にthrough at least 2015というのは、2015年一杯を意味するから、2015年12月31日までだ。」と解釈する人と。

これとは別に、SprintはClearwireを買収するメドが立った2013年5月22日にWiMAX互換端末の利用のSprintポストペイド契約者への利用規約を静かに変更し、WiMAX互換の端末を使用している人は、早期解約料を免除されて解約できるか、無料でLTE端末へ機種変更できるようにしています。
【FierceWireless】Sprint changes terms of service to give WiMAX customers more flexibility to switch to LTE – 2013年6月14日
この規約変更のタイミングを読む限り、Sprintは予定よりも早くWiMAXの停波があることを想定していたのかもしれません。

その後、Sprintはソフトバンクに買収され、そのときの条件としてClearwireの残りの株をSprintが買収し、ClearwireはSprintの100%子会社となりました。

その後、ソフトバンクの資金をバックにSprintのLTE設置は急速に加速されるはずだったのですが、されていませんねぇ。
一つの理由は、Sprintが所有または賃貸している基地局がバックボーンの固定回線と繋ぐのに、その多くがマイクロウェーブ(短波)を使っており、そのままではいくら空中電波をLTEにしても、バックボーンの速度が上がらない・・・ということだったんです。
Clearwireの基地局は、そのほとんどが解体か – 2013年8月4日
つまり、2005年にSprintがNextelを買収した後、買収時の負債に悩まされ、設備投資が出来ていなかったんですね。
SprintによるClearwireの100%子会社化は、電波使用権以外には何も目的が無かったんです。子会社化後にClearwireの基地局さえも使えないって、いったい、・・・・

もう一つの理由は、SprintのLTE設備投資計画が、最初の「1900MHz Band 25で広くサービス開始する」ことから、「800MHz/1900MHz/2.5GHzのトリプルバンドのSparkで、数が少なくとも良いから速いLTEを提供する」に変わってしまったからです。当然、2.5GHz周波数に大きく重点を置いているソフトバンクの影響ですよね。

Sprintは同社の「Network Vision」インフラ改善計画の中で、2013年末までに人口カバーで2億人(カバー率で約64%)をカバーする計画を公に発表していたんですが、
【Sprint】Sprint Reports Third Quarter 2013 Results – 2013年10月30日
たぶん、達成できていないのではないかと思います。
もし、この計画が達成されていれば、「through at least 2015」を待たずに、将来的に役に立たないWiMAXの基地局は早目に解体されていくはずだったと思います。

問題は、SprintのLTE拡大計画が、今後、どこまで予定にキャッチアップするかですね。

キャッチアップすれば、メインテばかり金が掛かかって、将来的に役に立たないWiMAXの基地局は、早めに解体。
キャッチアップできなければ、LTEサービス開始出来ていない地域では、アップグレードもされていないボロボロのWiMAX基地局を、それでも残しておく必要がある。

Sprintは先月、「2014年は、Sprintは躍進の年だ!」って声明出していますが、どうなんですかね。
2013年末のLTEサービスエリア拡充目標達成が出来ていないことも含めて、Sprintの掛け声って、大体裏切られることが多いので、実際に行動で示してくれない限り、信用できませんね。
【Sprint】Sprint Poised for 2014 Breakthrough Following Year of Network Advances – 2013年12月16日

今のところは、分からない。
でも、2015年中にはアメリカのWiMAXは停波するでしょう。

2015年のCESにはWiMAXはまだ使えるかもしれないが、2016年のCESの時には無いでしょう。

で、大体、やめることは明らかになっているサービスに対して、内部投資なんてしませんよね。
技術者なんて、もう、メインテ要員しか居ませんよ、きっと。
Clearwireは少なくとも以下の3回、破産宣言(負債の利息払いが不能になる)直前を経験して、そのたびにSprintに助けられているのです。
●2011年3月
●2011年12月
●2013年5月

だから、WiMAXの技術改善やサービス改善は、期待したって、ダメ。まともな技術者は残っていないはず。



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