Google社員の「20%自由時間」が、事実上消滅


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これまでグーグルのイノベーションを作り上げてきたグーグル社員の「20%自由時間」制度が、事実上消滅しているそうです。

(2013年)6月にシリコンバレーに住んでいる息子からも「以前の様ではないようだ。」とチラッと聞いていたのですが、本日のオンラインQuartz誌(qz.com)がグーグル元社員や現社員へのインタビューを基に詳しく報告しています。
【Quartz qz.com】Google’s “20% time,” which brought you Gmail and AdSense, is now as good as dead – 2013年8月16日

グーグルの全ての社員は、伝統的に就業時間の20%を自分の好きなプロジェクトや研究に費やすことが出来ることで有名でした。
この自由時間のサイドプロジェクトのおかげで、 AdSense、Gmail、Google Transit、Google Talk、Google Newsと言うようなプロジェクトが生まれ、商用サービス化されていきました。特に、グーグルAdsenseは、現在のグーグルの年間500億ドルの売り上げのうち、その四分の一にまで貢献しています。

しかし、グーグルが成長していくにつれ、他社との競争に勝って新サービスや商品を市場に提供していくためにはプロジェクトの締切りが厳しくなり、日々のプロジェクトから離れて独自の「自由課題」に費やす時間が無くなった、と社員は話しています。
現在、商用ペースに乗っているメインのプロジェクトの進捗を確保するため、上司からの許可が無いと「20%自由時間」プロジェクトはしてはいけなくなった、とのことです。

更に最近では各商用プロジェクトの内部査定と評価が厳しくなっており、プロジェクト・マネージャーは自分のチームメンバーに自由時間を与える結果として商用プロジェクトの成果が悪くなると、自分の社内評価にも影響するため、なかなか「20%自由時間」プロジェクトの許可自体が降りなくなってきているようです。

Larry Page氏が2011年1月にグーグルCEOになって以来、利益の上がらないプロジェクトやサービスを廃止し、以前よりも少ない商品やサービスに社員の時間を集約させるようになったのも、グーグルの社風が変わってきた現象の一つである、とQuartz誌は分析しています。この流れの一環として、グーグルの実験的プロジェクトを育んできたGoogle Labsも廃止されました。

そして、代わりに「Google X ラボ」が管理部が選んだ新規のプロジェクトごとに作られ、そこでそれらのプロジェクト専任のフルタイムの社員が配属されてグーグルGlassや無人自動車のプロジェクトに携わっています。

グーグルが企業として成長するにつれ、会社として決定したプロジェクトに会社の人的リソースを集中し、管理することで、株主に対して企業の収支の帳尻を合わせることが必要となってきているのでしょう。

しかし、グーグルの特徴であった「社員全員が創造的に働く職場」が、「ごく一部の選ばれたエンジニアだけが、創造的なプロジェクトに関わる」ことに変わってしまったことによって、グーグルは何かを失うのではないか・・・との懸念もあります。

グーグルが「20%自由時間」を事実上廃止することによって、アップル、LinkedIn、3Mと言うような同様な「新しいものを創る時間」を奨励している会社も、グーグルや他の競合会社との競争のためにその活動を止め、独創的なプロダクトが減ってくるのではないか、とも心配されます。

逆に、このような「新しいものを創る」創造活動は新しいベンチャー企業に役割が分散され、大企業はベンチャー企業の買収で新しいアイデアを社内に取り込んでいくような時代に戻るのでしょうか。であれば、これからベンチャーを立ち上げようとしている若者たちには、逆にチャンスが増えてくるかもしれません。

※ 追記:
【続報】Google社員の「20%自由時間」が、事実上消滅・・・に関して – 2013年8月17日
も続けてお読みください。



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