最近の株市場の中でも世界最大のIPOとなると予想されている、中国Eコマース市場の80%の売り上げを占めるAlibabaが、2014年9月8日の週にアメリカで上場、早ければ2014年9月18~19日ころからニューヨーク証券市場で取引されるとの噂が流れています。
【Wall Street Journal】Alibaba Plans IPO Launch Week of Sept. 8 : Shares Could Begin Trading as Soon as Sept. 18 or 19 – 2014年8月30日
ソフトバンクはAlibabaの株を34.4%所有しており、上場時に新株発行となるため、この株所有率は上場後に下がりますが、それでも500億ドル(約5兆円)以上の株評価になると予想されています。
ソフトバンクの孫社長は2000年にAlibabaの創始者のJack Ma氏と会い、2000万ドル(現在の価値で20億円)を投資。その後投資を繰り返して来たものの、累積投資額はその10倍の2億ドル(200億円)と言われています。
200億円が250倍以上の5兆円に増えたわけで、孫氏のこれまでの投資の中で最も成功した案件でしょう。
ソフトバンク社長の孫氏は5月のロイターへのインタビューで、「Alibabaが上場しても、ソフトバンクがAlibaba上場時にAlibabaの株を売却することは考えていない。」と答えていますが、上場で所有株の簿価額が確定することで、それを担保に金融会社から更に融資を受けるなど、キャッシュを準備することが出来るようになるでしょう。そして、更なる「世界制覇」の野望の元に、通信・ネット・ロボット技術関連企業の買収案件が増えていくような気がします。
【Reuters】Japan’s SoftBank won’t cash in Alibaba stake on market debut – 2014年5月7日
【Reuters】Mega-IPO to rekindle the ‘bromance’ behind Alibaba’s rise – 2014年8月27日
Bloomberg誌が内部の事情に詳しいドイツテレコムの上層マネージャーからの情報として昨日報告したところによると、T-Mobile USの66%の株を所有するドイツテレコムは「一株$35以上でT-Mobile US買収の提案があれば、話に応じる」と考えているようです。
【Bloomberg】Deutsche Telekom Said Open to T-Mobile Talks at $35/Share – 2014年8月29日
ソフトバンク/Sprintが「アメリカ規制当局の承認を得られる見込みが無い」として断念したT-Mobile USですが、ドイツテレコムはT-Mobile USの評価額を「一株$35~$40を妥当」と考えている様子で、この金額での買収提案があればいつでも交渉をオープンする用意があるようです。公表されていないソフトバンク/SprintのT-Mobile US買収提案は、一株当り約$40だったと推測されています。
T-Mobile USに対しては先月後半、フランスの第4位の通信会社Iliad(イリアド)社が、T-Mobile USの全株のうちの57%を一株$33(合計150億ドル)で購入する提案を提示しましたが、ドイツテレコム/T-Mobile USは買収価格が低いとして拒絶しています。
このドイツテレコムの情報がリークされたことにより、Iliad社は前よりも高い買収提案を準備したり、または、DISH Network(アメリカ第2位の衛星TV会社)など他社が対抗する買収提案を準備してくる可能性も出てきます。
T-Mobile USの昨日(2014年8月29日)の株価は終値$30.08で取引されており、株価総額は240億ドルとなります。
ドイツテレコムはT-Mobile USとMetroPCSが合併した2013年5月1日に「合併後のT-Mobile USの株を、1年6ヶ月は部分売りしない(一括売りの可能性は否定していない)」とMetroPCSの株主に自主的に約束していましたが、その自主規制が2014年11月1日から解禁となり、ドイツテレコムが必要と思えばいつでも市場でT-Mobile USの株を売却することが出来るようになります。
また、同社を満足させるような買収提案が無い今は、T-Mobile USの所有周波数の獲得のために資金を準備し、2014年11月13日から開始される予定のAWS-3周波数帯の入札に参加し、来年の低周波数(600MHz)の入札にも独自参加する予定で、T-Mobile USのLTE周波数充実を計って行きます。