規格外野菜/果物の放出告知サイト利用で、無駄を無くす運動:CropMobster.com


- Old Counter



スーパーの店頭には並べられないようなキズ物や形がいびつ、またはサイズが小さ過ぎるなどの規格外野菜を無駄にしないで利用しようという動きは日本でもあるようですが、なかなか大きな動きにはならず、個別に生産農家にコンタクトするしか無いようですね。

アメリカでもまだまだ状況はそれほど変わりませんが、SNSやポータルサイトを通じて規格外野菜・果物や、ファーマーズマーケット(直販市場)で売れ残った青果を、安く売って処分し、無駄を無くそうという運動が起こり始めています。

国連の報告では、世界の農場生産青果の三分の一が、家庭の食卓に届く前に廃棄されていると言われています。アメリカでは、小農家の農場生産の半分近くが市場に流通されないことがあるそうです。

カリフォルニア州サンフランシスコの北、ワイン製造でおなじみのソノマカウンティ(Sonoma County)で30年間、家族で野菜栽培しているBloomfield FarmsのNick Papadopoulos氏は、毎週行われる地域のファーマーズマーケット(駐車場や公園などの屋外で行われる生産者直販市場)で売れ残った野菜がトラックに積まれて農場に帰ってきては、それが廃棄場に捨てられ、腐って堆肥に変わるのを見てきました。

Nick氏はある日、その売れ残り有機野菜「$500分を、一番高値をつけてくれた人にお売りします。」と自社のFacebookで告知し、引き取り手を探してみたところ、一人のレスポンスがあり、$100で引き取ってもらいました。引き取った人は、食べ物が買えない恵まれない人たちにその野菜を配布してくれたそうです。

また、FacebookにはNick氏のこの実験に、いくつかのアイデアやコメントも集まりました。そこで、このアイデアを更に広げるため、ウェブサイトCropMobster.comを今年(2013年)3月に立ち上げました。
「Crop Mobster」は、「作物泥棒」とでも言う意味でしょうか。悪い意味ではなく、お店のおじさんが「え~い、持ってけ、ドロボー」的な、親しみをこめて言う様な感じです。
CropMobsterホームページ

このホームページにはフォーム入力の投稿ページがあり、農家は誰でもいつでも自由に、市場には売れない野菜や果物の「引き取り手、求む」案内を投稿できます。場合によっては、市場に出す収穫期を過ぎた野菜や果物を、農場が農園を開放して、消費者に直接、自分で収穫に来てもらう「xxx狩り(Gleaning)」を通知することもあります。

その案内を見た個人や団体は、自由に農家とコンタクトして、規格外野菜や余った野菜を安価または無料で引き取れるというものです。


サイトオープン直後の2週間で3トンの野菜や果物が無駄に放棄されず、CrobMobster.comを通して必要な人やNPO団体の手に渡りました。2013年7月までの約4ヶ月で、20トンの規格外野菜や果物が、堆肥にならずに、人のために役に立っています。

CrobMobster.comサイトでの告知例としては、こんな感じです。
-----
Bloomfield農場は、14箱の有機野菜の、空腹の引き取り手を早急に捜しています。
この野菜は、人の口に入って欲しがっています。鶏の餌になったり、堆肥にしたくはありません。
小売価格$300を、$50でお譲りします。
Bloomfield Farms has 14 boxes of organic produce. This beautiful, nutritious food needs to find a hungry home ASAP! This organic produce needs to be eaten by people, not chickens or the compost pile!
The box break-down is:
•Chard – 2 boxes
•Salad Greens – 1 box
•Callard Greens – 2 box
•Broccoli – 3 boxes
•Squash – 30 Lbs.
•Braising Mix – 1 box
Retail Value: ~$300
Deal: $50
-----

生産者農家だけでなく、スーパーマーケットが買い過ぎた野菜や果物を、無料でNPOに寄付を告知する場合もあります。
-----
Bi-Rite スーパーマーケット:
$250分の甘い、地元の農場で採れた、甘いさくらんぼを、無料で寄付します。
DONATION: $250 Worth of Sweet, Local Cherries | Bi-Rite Market (San Francisco, CA)
June 18, 2013 By Bi-Rite Market
-----

これらの野菜や果物は、多くの食事を準備する必要の有るホームレス向けキッチン、低所得者へ食べ物を無料で配布している団体、などのほか、個人で引き取って近所の人と分けたり、ジャムや瓶詰めに加工する人も居るそうです。

紹介記事:
CropMobster Feeds a Hungry Planet – 2013年6月21日
Voice of America : Social Media Helps Farmers Avoid Food Waste – 2013年7月23日



――<●>――
関連すると思われる記事: