アメリカで2番目に生徒数の多いLos Angeles学校区は、昨年夏に同区の64万人の小中高校生全員にiPadを配布する計画を発表したものの、
Los Angeles学校区が、2014年末までに64万人の小中高校生全員にiPadを配布 – 2013年7月27日
最初に配布した3高校の300人の生徒が簡単にセキュリティ対策を破り、「学校区の所有物で、生徒に貸し出している」ことになっているiPadに生徒が自分の好きなアプリをインストールする事件となり、この計画は一時中止されていました。
Los Angeles学校区の全小中高生徒へ64万台iPad配布計画、1週間で一時中止 – 2013年9月28日
Los Angeles学校区の配布iPadハックは、簡単だった – 2013年10月2日
2年目の今年度は昨年の限定的使用からの教訓を反映して、学区内27の高校で、iPadではなく、物理的にキーボードの付いたWindowsノートブックやSurfaceタブレット、Chromebookノートブックをも選択できるように変更します。
「生徒全員にiPadを配布」するはずだったLos Angeles学校区が、計画変更:今度はWindowsラップトップとSurface – 2014年6月30日
高校へのノートブック配布プログラムは最終的に今年は52高校に拡張される予定で、1万8000台のノートブックコンピュータが既に購入済みということです。
昨夜のLos Angeles Timesの記事によると、Los Angeles学校区は、この計画の落札業者Pearson社/アップル社との5億ドル(約500億円)の契約の執行を、再開未定で中止します。
【Los Angeles Times】L.A. Unified halts contract for iPads – 2014年8月25日
【Apple Insider】LA Unified School District suspends iPad deal, faces accusations that officials had close ties with Apple – 2014年8月26日
2013年に最終的にLos Angeles学校区にiPadと学校用教育カリキュラムの供給が決まったPearson社(元請け、教材アプリや試験アプリなどのカリキュラムの開発と供給担当)とApple社(Pearson社の下請け)の入札過程に「偏好(優遇待遇)」があった、という非難が最近出ており、それが「iPad全員配布計画中止」の大きな理由と言うものです。また、2013年にiPad 2を使用する計画でPearson/Appleに落札が決定したものの、その後、(時期的には当たり前ですが・・・)iPadの新モデルが発表されたにもかかわらず、古いiPad 2を2013年秋からの採用に決めていたことも非難の的になっていました。しかし、学校区はその後、Pearson/Apple社と再交渉し、同じ価格で、少なくともひとつ型落ちモデルの配布に変更した、と釈明しています。
Pearson/Appleの落札金額は最初の1-2年度で5億ドル(約500億円)、更に追加で学校内のネットワーク環境をアップグレードするのに5億ドル(約500億円)の予算を計上していました。
Los Angeles学校区はPearson/Appleとの契約を「停止」しますが、iPadまたはそれに変わる「生徒一人に1台」IT端末の導入を完全に諦めたわけではなく、計画を再度見直し、入札過程を見直して、新たに公正な競争入札を行いたい模様です。
昨年の秋の新学期から1年間で全学校区内の児童生徒64万人にiPadを配布するはずだったLos Angeles学校区は、
Los Angeles学校区が、2014年末までに64万人の小中高校生全員にiPadを配布 – 2013年7月27日
最初の300台を一部の高校に配布後、1週間でiPadのセキュリティーが破られ、生徒が勝手に自分の好みのアプリをインストールしてしまいました。
Los Angeles学校区の全小中高生徒へ64万台iPad配布計画、1週間で一時中止 – 2013年9月28日
Los Angeles学校区の配布iPadハックは、簡単だった – 2013年10月2日
そのため、Los Angeles学校区の壮大な「全生徒iPad支給計画」は見事に1週間で中止となり、計画の見直しが行われていました。
そのLos Angeles学校区は、今年の秋からの新年度に再度、IT端末の個人配布を再開します。
ただし、新計画ではiPadは無し。Windowsラップトップコンピュータ、または、Surfaceタブレットが支給されます。Surfaceタブレットでは、キーボードも支給されます。
また、今年、支給される学校は、学区内の27の高校(High School)のみとなっています。総予算は4000万ドル以内ということです。
【9to5Mac】Los Angeles school district revisits failed plan to give students iPads, this time without the iPads – 2014年6月29日
iPadをやめた理由は「スクリーンサイズが小さく、画面のソフトキーボードを使ってのタイプ(入力)がしにくい」という苦情が多かったからだそうです。
また、今年は5メーカーのWindowsラップトップと、Surfaceタブレット、が使用され、その評価の結果を踏まえて来年度以降の導入モデルを決定します。
ロスアンジェルス学校区が来年(2014年)末までに同学校区内64万人の小中高生全員にiPadを配布する予定で、最初の300数十台を学校区内3つの高校の高校生に配布したところ、1週間以内にセキュリティー(機能制限)が破られ、私物化されてツイッターやフェイスブックなどのアプリをインストールされてしまった、
Los Angeles学校区の全小中高生徒へ64万台iPad配布計画、1週間で一時中止 – 2013年9月28日
という件で、テクノロジー雑誌CIOのオンライン誌が続報を報じています。
【CIO.com】What’s Behind the iPad Hack at Los Angeles High Schools? (← 4ページあります) – 2013年10月1日
これによると、生徒が「機能制限」解除が可能なことに気付くのは簡単で、この配布(貸与)iPadにインストールされている「MDM(Mobile Device Manager)」アプリをiPadから削除しただけで、「ハック」というよりも、画面を指で2~3回ほどタップするだけで簡単に出来てしまったということです。
本来インストールされていたMDMアプリは、問題のiPadのインターネットアクセスを制御するために、アップル社のプロキシー・サーバー(Apple Global HTTP Proxy)を経由してネットにアクセスするように設定されていました。このプロキシー・サーバーは、ロスアンジェルス学校区が指定したインターネット・アクセスポリシーによって、どのサイトをアクセス許可するか、また、禁止するかを決めていました。特に、このプロキシーサーバ経由でのアクセスではFacebookやTwitterへのアクセスは禁止されており、YouTubeも教育コンテンツ以外は禁止されています。また、17歳以上向けのアプリやサイトへのアクセスも、フィルターされています。
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