バイリンガルが、通訳が出来るとは限らない。(通訳者に必要な能力)




まあ、ここ2ヵ月くらいフラストレーションが溜まっていますので、それを軽減するために吐き出したいと思います。

最近はネットで現地の人を探して現地の観光案内や通訳を依頼できます。私もトラベロコで既に10件ほど依頼を受けていますので、その便利さはよくわかります。

しかし、現地の言葉(と日本語)がわかるバイリンガルだからと言って、通訳、時に企業同士の会議の通訳が出来るとは限りません。

以下によく聞く問題と、通訳者に必要な能力を書きたいと思います。
通訳を依頼する方もこの点を考慮して、後悔しないように通訳者を選んでください。
また、通訳サービスを宣伝する方も、バイリンガルだからと言って簡単に「通訳が出来る」という表現を使わないようにして欲しいものです。

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【備忘録】世界のトップ15電話通訳会社(2008年現在の数字を基に)と、電話通訳者採用条件


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ちょっと古い情報ですが、世界のトップ15電話通訳会社(2008年現在)。
【Common Sense Advisory】Top 15 Telephone Interpreting Companies – 2008年7月24日
2014年版もあるのですが、会員限定なので筆者はアクセスできません。
【Common Sense Advisory】The Top 10 Telephone Interpreting Companies: 2014 – 2014年7月23日

「アメリカ(や、他の国)で通訳士を目指す場合には、こんな選択肢もあるよ」というお話。

電話通訳採用条件:
● 履歴書送付後、資格(医療通訳研修修了、など)査定、簡単なHIPAAテスト(医療通訳の場合)があり、その後電話でインタビューと、通訳(または言語能力)口頭試験があります。会社によってはコンピュータ(ウェブ)でのマルチプルチョイスの試験があります。
● 固定電話回線で、できるだけ通訳ラインとして専用に使える回線があることを要求されることがあります。

採用後の定期的な査定:
● 電話通訳の内容は録音され、定期的(平均3ヶ月に一回)にQC/QAチェッカーによって通訳品質チェック(評価・査定)が実施されます。その結果は自分にレポートされます。
(定期的に自分を査定されるのが嫌な人には、向きません。)

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【備忘録】アメリカの連邦政府系通訳資格リスト


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以下、備忘録としてアメリカの連邦政府系通訳資格リストをまとめます。

筆者は通訳を続けたとしても、せいぜいあと10年くらいしか出来ないだろうと思っているので、厳しい連邦政府の資格取得をトライするつもりは(NLSC以外は)無いですが、若い人でアメリカ国内でのプロ最高レベルの通訳を目指す人は、目標の一つにしてください。

なお、今後も新しくわかれば、追加していきます。

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(アメリカの)通訳料は、どのくらい?


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この記事を書くと、きっと通訳エージェントさんには嫌われること間違い無いですね。(笑)

「通訳料金が高い」と思っている方が多いようですが、一度、この件をよく考察してみましょう。
ちなみに、ここでは主にアメリカに住んでいる日本語通訳者を対象にして考察します。

■1.通訳者の仕事の量と、生活を考える

まず、そもそも、通訳者が一ヶ月にどのくらい通訳の仕事をするかを考えましょう。

通訳のような仕事は、通訳者と、それを利用する側(クライアント)の日程(スケジュール)が合わないと、成約になりません。

日本がバブルで、日本企業による訪米視察が頻繁にあった1990年代前半は、アメリカでの日本語通訳者ニーズも高く、1回の視察が10日から2週間あり、その間、通訳者も訪問団と一緒に訪問地を転々として一緒に行動していました。このころであれば、希望すれば月の半分は通訳の仕事で埋めることも可能、という状況でした。

当時(1990年代前半)、税込みで月5000ドルの収入を得ようと思えば、1ヶ月のうち半分(10日間)が通訳者の実稼働時間だとして、1日500ドルの実収入があれば、通訳者は生活できたことになります。

現在は、日本企業は通訳者を現地で探す傾向にあります。依頼する日本企業としては、通訳者のホテル代とか航空運賃を払いたくないんですよね。そんな実経費で節約しようと言う腹です。
通訳者の専門分野は、2の次です。

たとえば、「ここ(デンバー)へ来る前にダラスでIT企業を訪問したのだが、通訳の方が主婦のような方で、業界を良く知らなかった。あなたは、大丈夫でしょうか?」って心配そうに筆者に聞いてきます。それとか、ラスベガスの展示会で1~2日現地通訳を使った後、「やっぱり、ITの分野って、常時(毎年)その分野の最新の情報を追っていないと、通訳は難しいですね。」とか。

筆者はIT分野で30年近く現役で働いています(今は、「いました」と過去形かな?)し、IT関係の通訳をそれなりの数、毎年定期的にすれば、最先端の技術情報も回を重ねるごとに通訳を通して自然に得られます。
したがって、翌年や次回の通訳も、前年/前回の知識を生かした通訳が出来ます。

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アメリカの通訳の資格(医療通訳、法廷通訳)と、無料通訳サービス


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通訳の場に借り出されて、良く誤解されることがあるので、標題の件を一度書いてみたいと思います。

まず、
● アメリカでは通訳を職務として行うのに、基本的には資格は不要です。 エスコート(案内)通訳や技術通訳や同時通訳にさえ、資格も検定試験も、ありません。本人の通訳能力次第です。

※ 通訳専門の養成コースを持つコミュニティーカレッジ、4年制大学、および、修士課程大学院はあります。しかし、それを履修していないと通訳業が出来ないわけではありません。
また、これらのコースは通訳歴が短かったり、これまで職業として通訳をしたことが無い人に、向いています。大学院の場合には、同時通訳や国際会議通訳など、もっと訓練したい人が進むべきコースです。

※ 一部に「通訳者の認定は、ATA(American Translators Association)が行う。」と書いている記事がありますが、これは間違いです。ATAの認定には通訳能力検定は無く、翻訳能力検定のみです。したがって、ATAの検定には口頭試験はありません。また、ATAの翻訳能力検定試験は、ATAという民間団体による翻訳「能力検定」試験であり、「資格」試験ではありません。

しかし、
● 「Title VI of the Civil Rights Act of 1964」(1964年制定公民権法、第6条)により、連邦政府の資金援助を受けている施設は、その施設が提供するサービスを、全ての人に対して、人種や言語の差別をせずに提供しないといけない。
ことになっています。特に、2000年8月11日に当時のBill Clinton大統領が大統領行政命令(Executive order)
【アメリカ司法省】EXECUTIVE ORDER 13166 : IMPROVING ACCESS TO SERVICES FOR PERSONS WITH LIMITED ENGLISH PROFICIENCY
を発令し、「連邦政府の援助を受けている全ての施設は、英語の理解力が欠如している(充分ではない)人に対しても、その施設のサービスを平等に使えるようにしなければならない。(それをしないと、連邦政府の資金援助やMedicaid/Medicareの支払いが断ち切られる。)」ことになりました。

ここで、以下の施設が特にこの「大統領行政命令(Executive order)」の対象になります。
● 病院 (特に、連邦政府の医療厚生プログラムのMedicare、Medicaid等対象の患者を少なくとも一部、受け付けている病院。通訳サービスは、通訳を必要とする全患者に提供する必要あり。)
● 裁判所 (特に、郡(County)裁判所、州裁判所)
● 学校(K-12年生の義務教育施設)・・・学校では、Teacher’s Conference(親が先生と個別面談する)の時に通訳をリクエストできるようにしている学校区があります。

なお、アメリカでは「病院」は主に「手術と、入院する医療施設」であり、お医者さんに診察に行く場合の所謂「Medical Office、Private Practice」は、連邦政府医療援助プログラム(Medicare、Medicaid)の患者を受け付けていない場合には、この「大統領行政命令(Executive order)」の対象になりません。

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