【保存版】アメリカのステーキの種類、一覧




アメリカのステーキの種類を保存版として書いてみたいと思います。
なぜなら、わざわざアメリカまで来て「サーロインステーキ」とか食べて、「あれ(サーロイン)が、アメリカの代表的なステーキだ」と思われたら、困るからです。
サーロインステーキなんて、家庭で庶民が食べるステーキです。アメリカにはもっとおいしいステーキがあるんだから、せっかく旅行に来たのにサーロインステーキなんかで満足(不満足)して帰らないで欲しい。

注意:筆者は肉の専門家でも、レストランの専門家でもないので、記述に間違いがある可能性もあります。あとで読む人のために、間違った記述は指摘してください。調査の上、必要箇所を訂正します。

■ アメリカの牛肉の等級

まずは、アメリカの肉の等級です。日本だと「A5」が最高級らしいけど・・・
アメリカの牛肉は、主に「霜降りの度合い」と「牛肉の成熟度(aging)」で決められます。
アメリカの肉の等級はアメリカ農業省(USDA)の規格で正確には8段階で等級が付けられていますが、一般消費者が目にするのは太字の3種類です。
● プライム(Prime)
● コマーシャル(Commercial)
● チョイス(Choice)
● ユーティリティ(Utility)
● セレクト(Select)
● カッター(Cutter)
● スタンダード(Standard)
● カナー(Canner)
つまり、「Prime(または、USDA Prime)」と名の付く肉が、一番「霜降りの度合い」が高く、肉も柔らかく、上等です。
アメリカの一般の総合スーパーの肉部門では、「Prime(USDA Prime)」級の肉は殆ど見ません。せいぜい「Choice(または、USDA Choice)」級止まり。高級スーパーか肉専門店でないと、「Prime(USDA Prime)」肉は入手できないでしょう。

このページではレストランのメニューに出る名から、それぞれを簡単に説明していきます。

なお、筆者は記載しているレストランには全て行ったことがありますが、中には20年前だったりしてディジタル写真が残っていないので、ここに掲載している写真は主に各レストランのホームページから引用しています。

■ プライム・リブ Prime Rib Roast (Prime Rib Steak)、Roast Prime Rib Steak

アメリカの家庭ではもっともごちそうのステーキの食べ方の一つ。お祝い事などにステーキレストランでこれを注文するのが楽しみだったり、クリスマスの料理として自宅で料理することもあります。
リブ(Rib)は、日本で言うロース(リブ・ロース)肉のことです。プライムクラス(最上級)の牛の背中の中ほどの骨付きの、比較的脂肪分が多い(霜降り度合いが一番高い)「柔らかいリブ(リブロース)肉」を使い、基本的には大きな肉の塊をオーブンで3時間以上(肉の重さによって違う)加熱(ロースト)して、完成後、それをスライスして食べます。通常のレストランでは午前中に時間をかけてこれを準備することが出来ず、ロースト・プライム・リブをメニューに出していない(提供していない)ところもあります。また、有名ステーキハウスではその夜の遅い時間に行くと、その日の分が売り切れてしまう場合があります。
イギリスのローストビーフと違うのは、アメリカでは厚さ2~3センチにカットして食べます。アメリカのステーキの中で一番ボリューム感があって、柔らかいステーキです。一度も食べたことが無い人は、是非一度、あの世へ行く前に食べてください。
肉の両側を焼いていないので、柔らかく食べられます。柔らかさを楽しむためには、日本人でも「Medium Rare(ミディアム・レア)」の焼き方をお勧めします。アメリカのステーキ、特にPrime Ribは日本の「ステーキ」に比べて厚く、「Well Done(ウェルダン)」だと中まで熱が入って、分厚い堅い肉を食べることになります。
ソースは肉汁を濃くしたもの(Au Jus、「オージュー」と発音)、ステーキソースやバターの他、ホースラディッシュ(西洋からし大根)をおろしたものをクリームやサワークリームやマヨネーズと混ぜた白いソースが美味しいです。

プライム・リブ・ステーキの有名店は「Lawry’s The Prime Rib」で、ロスアンゼルス(ビバリー・ヒルズ)、ラスベガス、シカゴ、ダラスにお店があります。他にはシンガポールと東京(恵比寿、赤坂)、大阪(梅田)、香港、台北、ソウルにもお店がありますが、日本で食べるよりはアメリカで食べる方が安く食べられると思います。Lawry’sではPrime Ribを頼むと、わざわざカートでテーブルまで切る前のローストビーフを運んできて、テーブルの横で切ってくれます。
【Lawry’s The Prime Rib】ホームページ

Prime Ribのメニューの下に、切るときの厚さ(と肉全体の重さ)によって、3~4種類に分けているところが多いです。例えば、Lawry’s のビバリー・ヒルズ店では、
– CALIFORNIA CUT (6オンス、170グラム)
– ENGLISH CUT (8オンス、227グラム、薄く3枚にスライス)
– LAWRY’s CUT (10オンス、283グラム)
– THE DIAMOND JIM BRADY CUT (16オンス、454グラム)
– THE BEEF BOWL CUT (24オンス、680グラム)
の5種類があります。名前はお店によって違います。が、名前が肉の重さ(厚さ)と値段の違いを示しています。
ラスベガスのホテルの食べ放題Buffet(バイキング)にあるローストビーフも料理方法としては同じものですが、薄くしか切ってくれないので、満足感が全然不満足です。バイキングのローストビーフに満足せず、是非、ベガスにもあるLawry’sで厚切りのPrime Ribをミディアム・レアで食べてください。

Lawry’sの無い地域でもPrime Ribは中大都市の著名店で提供されていますが、料理時間の関係で全てのステーキハウスで提供されているわけではないので、予約前に「Roast Prime Rib」があるかどうか確かめた方が良いです。


ホースラディッシュ・ソース(Horseradish Sauce)

ホースラディッシュ・ソース(Horseradish Sauce)をプライム・リブ・ステーキに付けて食べる。

■ リブアイ(リブ)ステーキ、デルモニコ・ステーキ Ribeye Steak(Grilled Ribeye Steak)、Rib Steak (Grilled Rib Steak)、Delmonico Steak

前記のPrime(最上級)の、霜降り度の高い(・・・と言っても、日本の霜降りには負けますが・・・)リブ(リブロース、リブアイ)肉を、生のまま1人前用に切ったうえで、グリルで焼く料理法です。リブ(リブロース)肉の中でも、リブの真ん中辺の柔らかい肉をリブアイ(Rib-Eye)またはデルモニコ(Delmonico)と言い、日本の「上ロース」にあたります。
アメリカのスーパーではPrimeクラスではないもののChoiceクラスのRib肉は1ポンド(約454グラム)当たり$13-15程度で販売していますので、これを購入して自宅で焼いていただいても、美味しいです。
やはり、リブアイ・ステーキも日本の「ステーキ」の何倍も厚みがあるので、柔らかく頂くには「Medium Rare(ミディアム・レア)」(肉の内部がまだ少し赤い状態)で食べることをお勧めします。通常のアメリカのレストランであれば、ステーキソース、バター、ホースラディッシュ(西洋からし大根)ソースはあると思いますが、ポン酢で食べるのもなかなかいけます。
ステーキレストランのほか、Chili’s、Texas Roadhouse、Outback Steak Houseなどのファミレスでも提供していますが、ファミレスでは肉のクラスが「USDA Prime」ではなく、「USA Choice」の事が多いです。

Texas RoadhouseのRibeye Steak

■ フィレミニョン(フィレメダリオン)、シャトーブリアン、テンダーロインステーキ、フィレステーキ、トルネード Filet Mignon(Filet Medallion)、Chateaubriand、Tenderloin Steak、Filet Steak、Tornado

細長いテンダーロイン(フィレ、ヒレ)肉のうち、腹部内側(前側)の比較的細い先の部分を3~4センチの厚さに切って、切り口の表面を軽く焼いたあと、オーブンで切り口を水平に置いて(肉の繊維を垂直にして)加熱(ブロイル)したものがフィレミニョン(Filet Mignon)。
同じテンダーロイン(フィレ、ヒレ)肉のうち、後部の比較的太い部分を長くそのまま横に置いて(切り口を垂直=肉の繊維を水平にして)、オーブンで加熱(ブロイル)して焼くのがシャトーブリアン(Chateaubriand)。焼いた後に1人前の長さに切ったり、薄く切ったりしてお皿に出します。
(※ このページ最下部の部所図参照。)
オーブン内でのフィレ肉の置き方が違うため、肉の内部への熱の伝わる速度が違うそうです。
テンダーロイン(フィレ)は肉の中では一番柔らかくて高級と言われますが、細いので、ボリューム感が無いのが物足りないです。
シャトーブリアンの有名店はフロリダ州タンパにあるBern’s Steak Houseがあります。地下のワイン貯蔵庫のツアーをオプションで選べます。
【Bern’s Steak House】ホームページ


■ Tボーンステーキ、ポーターハウス T-Bone Steak、Porterhouse Steak

Tボーンステーキとポーターハウスは基本的には同じ部所の骨付き肉を使い、グリルで焼いて料理します。
骨がTの字のように付いているのでTボーンステーキと呼ばれますが、Tの片側(小さい方)はテンダーロイン(フィレ)肉で、反対側がショートロイン(または、ストリップと言う)と呼ばれる、胴体の真ん中辺の背の肉です。
テンダーロイン(フィレ)の側の幅が1.25インチ(3.2センチ)以上あるものをポーターハウス・ステーキと呼ぶことが出来て、それ以下のものはTボーンステーキと呼ばれます。
「一つのお皿で、2種類(テンダーロイン(フィレ)と、ショートロイン)の肉の味が楽しめる」というのが売り文句ですね。(でも、筆者には違いが判りません。)
通常、塩コショウとバターで味付けし、食べます。

ポーターハウスの有名店はニューヨークのマンハッタンからWilliamsburg橋を越えてブルックリン側にあるPeter Luger’s Steak House。
【Peter Lugar’s Steak House】ホームページ

■ サーロインステーキ、トップサーロインステーキ Sirloin Steak、Top Sirloin Steak

これらのステーキは高級レストランではなく、ファミレスレベルで提供されるステーキです。特にリブ(リブロース)肉と比べて、霜降り度が低い(アメリカの牛肉は1990年中頃以降、消費者の健康意識が変わったことにより、脂質が少ないので、サーロインは霜降りが殆ど無い)のが決定的な違いです。したがって、リブ肉に比べると固くて、噛み応えのある肉です。
生肉でも普通のスーパーで1ポンド(約454グラム)当たり$6-7程度ですから、「庶民の日々のステーキ」と言えるでしょう。
主にアメリカのファミレスや、庶民クラスのステーキハウス(Outback Steak House、Texas Roadhouse、Applebee’s、Chili’s、など)で提供されていることが多いです。
わざわざアメリカに旅行や出張に来て食べるなら、サーロインステーキではなく、プライム・リブかポーターハウスを滞在中に一度は食べてくださいね。

Texas RoadhouseのUSDA Choice Sirloin Steak

■ バーベキューリブ Barbecue Rib、Barbecue Baby Back Rib、Baby Back Rib、Spare Rib

よく「Prime Rib」と「Barbecue Rib」がどちらも「Rib」という単語が入っているので、誤解して同じものだと思っている人を見かけますが、2つは全く違うものですから気を付けてください。コメントでも指摘されたように、本来は豚のあばら骨の部分です。
仔豚のあばら骨付き肉にソースをかけて時間をかけて焼いたもの。ソースの種類がお店によって違ったり、何種類かから選べるようになっています。
写真は豚の「ハーフ・ラック(片側胸のあばら骨の半分)」ですが、「フル・ラック(片側胸のあばら骨の全部)」も注文できるところがあります。
ソースがおいしいですね。
ファミレスでは、多くのレストランでこれはあります。骨と骨の間をナイフで切って、あとは指でそのまま掴んで肉をしゃぶるように食べてください。加熱に時間をかけていればいるほど、肉はポロリと簡単に骨から外れます。これを食べる時には濡れタオルやペーパータオルが沢山必要になります。
サイドメニューに良く出るのは、リンゴをスライスして煮たアップル・ソースが出ます。
Chili’sレストランのHouse Baby Back Rib’s

■ フィリー・チーズ・ステーキ・サンドイッチ、フィラデルフィア・チーズ・ステーキ・サンドイッチ、フレンチ・ディップ・ステーキ・サンドイッチ Philly Cheesesteak Sandwich、Philadelphia Cheesesteak Sandwich、French Dip Steak Sandwich

フィラデルフィアのレストランが最初に創作した、ということで有名。
すき焼きのように牛肉を薄くスライスしたものを鉄板で焼いて、鉄板上で炒めた玉ねぎのスライスと、プロボレーネ・チーズ(provolone)を熱で溶かして、長いパンに挟いだものが基本形。レストランによって他のチーズを使ったり、炒めた西洋マッシュルームやトマトやレタスなど他の野菜を挟むこともある。
「ステーキ」という言葉に、厚いステーキが挟まっていると誤解することがあるが、肉が薄いので期待八ズレとなる事が多い。
でも、味は美味しい!
主にファストフード店で販売しているが、ファミレスでも定番メニューの一つ。
このまま食べても良いし、肉汁ソースが一緒に出てくれば、それにパンの先を一口ぶんだけ浸し(ディップし)ながら食べていくのも美味しい。

ファストフードのチェーン店では、空港内によく見かけるStake Escapeがある。
【Steak Escape】ホームページ

フレンチ・ディップ・ステーキ・サンドイッチも基本は同じであり、一緒に出てくる肉汁ソースにディップし(浸け)ながら食べるステーキサンドイッチ。ファミレスTGI Fridaysの定番メニュー。
【TGI Fridays】ホームページ

★★ 以下はマイナーなステーキ(あとで説明を追記します。)

■ Strip Steak、Strip Sirloin Steak、Bone-in Strip Steak、New York Steak、New York Strip Steak、Kansas City Steak、Kansas City Strip Steak

■ Flank Steak

■ Flat Iron Steak

■ London Broil

■ Tri-Tip Steak

■ Round Steak

■ Chuck Steak

■ Brisket

■ Shank

■ Bistro Steak

■ Skirt

■ Hanger

★★ 牛肉の部所名、アメリカ式




――<●>――
関連すると思われる記事:

「【保存版】アメリカのステーキの種類、一覧」への3件のフィードバック

  1. こんにちは。NYの肉屋で働いているものです。
    Porter HouseとT-Boneの大きな違いですが、画像からもわかるようにNYストリップ側が、
    よりお尻に近い(筋が増える)Porter Houseと、よりリブに近い(柔らかくてさしがはいる)T-Boneて感じかと思います。
    ご使用になられている画像のShort Loinについては上側は通常Strip Loin/Sirloinかと…。
    あと実をいうと一般的に流通しているprime/choice/selectの中でもBMS(beef marbling score:3-12)という日本の1-5の等級に似たような基準もあります。
    一般的なお店ではBMSは区別していませんが、逆に区別していないということはBMSが12に近いものも流通しています。
    CostcoのPrimeは時々BMS10-11ぐらいのものがあったりしますよ。

    Peter LugerやほかのNYの有名なステーキハウスや、無名なステーキハウス、はてはShake Shackのようなハンバーガー屋でも、
    圧倒的なシェアを誇るのがPatLaFriedaというお肉屋さんです。
    http://www.lafrieda.com/
    ご家庭で(通販でもいいなら)いい肉を焼きたいのであれば直販で購入できますのでご参考まで。

  2. こんにちは、
    BBQ RIbですが、普通は牛ではなく豚の肉です。実際に写真に写っているBaby Back RIbも 豚のRibです。牛のRibは大きさもかなり大きく、バーベキューの専門店のようなレストランでしか提供していないと思います。https://www.google.com/search?q=bbq+beef+rib&client=safari&rls=en&source=lnms&tbm=isch&sa=X&ved=0ahUKEwifx7KsyvvVAhWK7YMKHbqpAO4Q_AUICigB&biw=1262&bih=749 もちろん、違う形でカットされた牛のリブは韓国料理などでも使われていますが。

コメントは受け付けていません。