ロケフリTV商用サービスは、アメリカでも難しかった。


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今朝(現地2014年6月25日)、アメリカの最高裁判所はアメリカでロケフリTVを2012年2月から提供しているAereo社の現行サービスに対してABC等番組配信チャネルから起こされた訴訟に対し、最高裁裁判官6対3の投票で、「番組制作チャンネルに対して著作権を支払わずに番組を再配信している」として違法判断を下しました。

Aereoは、同社のサービスの定期購読者一人に対して数センチ四方の「アンテナ」を供給し、それをデータセンターの屋上に据付け、そのアンテナから受信した空中TV電波をサーバー経由でそれぞれの定期購読者に番組を「転送」するサービスで、月$8から提供しています。付加サービス(録画、モバイル受信、など)に加入すると、月の定期購読料は高くなります。


争点となった問題は技術的な問題ではなく、「Aereo社は、元の番組配信会社(チャンネル)に著作権料を払っていない」という点です。この争点に対してAeroは、「顧客のアンテナや、番組転送・録画サーバーを含め、全て顧客の装置を預かっており、顧客が独自に装置を所有しており、Aereoはその運用代行をしているだけなので、Aereoは「一般公衆への番組再配信」をしておらず、番組制作会社(チャンネル)への著作権料支払いは不要」と争っていました。

しかし、アメリカ連邦最高裁判所は、「Aereo社の事業は、不特定多数の一般視聴者への番組再配信」であり、「CATV事業社が大型地上局(衛星パラボラアンテナ)で番組配信会社(チャンネル)から番組を受信し、それを周辺地域の加入者に有線(CATV)で再配信しているのと、変わらない」という判断から、Aereoも番組配信会社(チャンネル)に著作権料(番組アクセス料)を払わないといけない、と判断しました。

番組再配信のための著作権料はチャンネルにより一人の視聴者あたり月数セントとから数ドルになりますが、これを加えると月$8、または、低価格でAereoがサービスを継続することは難しく、現行の有料TV(CATV、光TVや衛星TV)との価格優位性が保てないため、Aereoはこれにより「事業撤退」を余儀なくされる、とAereoのCEOは判決後にコメントを発表しています。

なお、アメリカで最も著名なロケフリ・ボックスを2005年7月1日から販売しているSling Media(SlingBox)は、2007年秋に衛星TVのEchoStarに買収され、EchoStarの有料衛星放送TVブランドであるDish NetworkのSTB(セットトップボックス)にインテグレートされました。その後、2012年3月より「DISH Hopper」サービスとして、このSlingbox内臓のSTBを自宅に取り付けることによって、自宅で受信または録画した番組を、外出先でネットを介して視聴できるサービスを提供しています。
Aereo社のサービスと違うところは、転送装置が各加入者の自宅に設置されていることです。自分で合法的に受信・録画したコンテンツを、自分で楽しむ(または、自分が同伴して、家族や友人と一緒に楽しむ)のは自由であり、著作権法に抵触しません。自分で受信・録画したコンテンツを、第三者に「配信・配布」する場合には、著先権法が適用されます。



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