ドイツ・テレコムは、SprintによるT-Mobile US買収が失敗した場合には、10億ドル(1000億円)を要求しているらしい。


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Wall Street Journalがリリースした漏洩情報によると、
【Wall Street Journal】T-Mobile Seeks Big Fee, Management in Sprint Talks – 2014年5月9日  (有料記事)
【TMoNews】Deutsche Telekom wants $1 billion in compensation if proposed Sprint/T-Mobile merger falls through – 2014年5月9日 (Wall Street Journalの記事の2次ソース)

T-Mobile USと、その67%の株を持つ親会社のドイツ・テレコムは、SprintがT-Mobile USの買収提案を出す場合、アメリカの規制当局がその買収を認可しなかったときのために「手切れ金(Break-up Fee)」として最低10億ドル(日本円で約1000億円)を要求していると、報道しています。

T-Mobile USの前身であるT-Mobile USAは、2011年12月にAT&TによるT-Mobile USAの買収が同じ規制当局(司法省と、FCC米国連邦通信委員会)に認可されなかった際、AT&Tから現金30億ドル、さらにAWS(Band 4)電波使用権の一部、約10億ドル相当の譲渡を受けています。

ソフトバンクの孫社長は、
● Sprint自体にBreak-up Feeを支払う健全な財政的な体質が無いこと(そんなことをしたら、その影響が数年間、長く尾を引く)
● T-Mobile USが現在、業績が盛り返しているのは、AT&TからのBreak-Up Feeを貰ったからであり、今回も買収が承認されなかったときにSprintからT-Mobile USへBreak-Up Feeを払うと、さらにT-Mobile USの業績改善に貢献する、
との2つの理由から、ソフトバンク/SprintによるT-Mobile US買収提案では、Break-up Feeは払いたくない意思を明らかにしています。

孫氏とドイツ・テレコム/T-Mobile US側が、これから数ヶ月以内にこの件に関して合意が達成できるかどうかは、不透明です。

また、T-Mobile USは、もし合併が承認された場合には、新会社にT-Mobileの名を残すよう要求しており、さらには新会社の経営チームは現T-Mobile USのCEOであるJohn Legere氏と、その主要経営チームが主導権を持つことも要求しているようです。

昨日も書いたように、別の動きとしては、AT&Tが衛星放送No.1のDirecTVと、買収交渉に入っているというニュースもあり、衛星放送で全米第1位のDISH Networkも「もしSprintによるT-Mobile USの買収が失敗したら、DISH NetworkはT-Mobile USに興味がある」と発言していることから、アメリカ国内では放送メディア会社と通信会社の協業や合併の動きが加速化しており、Sprintが下手な動きをして失敗すると、T-Mobile USがDISH Networkと対等合併したりしかねません。

既にVerizonは2011年12月にケーブル会社数社から電波使用権を購入(2012年8月にFCCより認可済み)し、その契約条件の一部としてCATV会社と事業パートナーを組んでいることから、
● AT&Tと、DirecTV
● Verizonと、Comcast/Coxなど
● T-Mobile USと、DISH Network
という合併やアライアンスができてしまうと、携帯会社としてはSprintだけが一社だけ取り残されてしまうことになります。



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