ドコモ新料金「カケホーダイ&パケあえる」は、アメリカのキャリアの料金がモデル


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2日前に情報が漏れ、ドコモより即日「同社が出したものではない」という釈明案内がウェブページに掲示されたものの、翌日には緊急記者会見で公式発表されたNTTドコモの新料金「カケホーダイ&パケあえる」は、2年前からのアメリカのキャリアのポストペイド料金がモデルとなっています。

音声定額料金はアメリカではプリペイド携帯会社が最初に提供開始。いつごろからなのか筆者も記憶が定かではありませんが、少なくともNet10が2010年2月には「月$50で通話・テキスト・データ使い放題」プランを出していた記事が、ネットでは探すことができました。

ポストペイド契約では2011年ころまでは、
● 月450分まで $40
● 月900分まで $60
● 通話使い放題 $70
(データ通信料金は別途選択)
などといったような料金が主要な流れでした。そして、1家族で5台まで加入できる家族(Family)プランでは、この通話分数を共有することが出来ました。

それが、2012年6月11日にVerizonがデータ通信の共有プランを発表、同年6月28日からの新規契約に実施しました。このとき、Verizonは音声通話とテキストを「通話・テキスト(バンドルで)使い放題、月$40。フィーチャーフォンは月$30」のワン・プランだけに絞りました。(使い放題なので、家族で通話分数を共有する必要はありません。)
【Verizon】News Release:Verizon Wireless Unveils New Share Everything Plans For Basic Phones, Smartphones, Tablets And More – 2012年6月11日
Verizonはこの新料金適用と同時に、従来の音声段階的定額料金を完全撤廃しました。(旧プラン契約者は、継続契約可能。)

Verizonに追随し、AT&Tは同様な共有プランを2012年7月18日に発表し、同年8月末から提供しました。ただし、AT&Tは加入者の「値上がり感」懸念を心配し、これまでの音声段階的定額料金のサービスも並行して提供を継続していました。しかし、2013年10月25日には音声段階的定額料金を(新規契約者に対して)完全廃止しました。
【PhoneDog】AT&T Mobile Share data plans due to arrive in late August – 2012年7月18日

T-Mobile USが2013年3月26日から提供開始しているSimple Choiceプランも、音声通話に関しては「通話・テキスト(国内)使い放題」の選択肢しかありません。
【T-Mobile US】T-Mobile Makes Bold “Un-carrier” Moves – 2013年3月26日

SprintのVerizon/AT&Tへの対抗プランで、2013年7月11日発表の新プランUnlimited、My Way、および、2014年1月7日発表のFramily Planも、同様です。
【Sprint】Sprint Launches Unlimited Guarantee and New Unlimited, My Way Plan – 2013年7月11日

これらの音声定額+データ共有プランはその後、各社とも何度か細かい調整(改善)が行われており、現在のプラン内容に至っています。また、中小企業用法人契約用にはデータ共有の制限バイト数が50GBまで提供されています。法人で50GB以上必要な場合には、50GBプランを複数契約するか、大企業の場合にはまったく個別のカスタム契約になります。

アメリカでもVerizonが共有データプランを最初に提供したときには、これまでのプランに比べて毎月の総合通信料金が増えるのではないかという不安が加入者側にはあったと思います。
しかし、2年後の今は、もう、音声通話料金は音声定額が当たり前になっており、多少不満はあるものの、「仕方が無い」感があります。
それに、データ通信だけの端末は、タブレットが月$10、ポケットWiFiは月$20でデータ共有分(別料金)が使え、通話だけのフィーチャーフォンは月$30が基本料金ですから、端末を複数所有している人や家族は、いろいろ組み合わせると総合的にメリットを得られることになります。

今回のドコモの新料金はこれらアメリカの料金体系を充分に調査し、その長所と短所を改善し、さらに、長期契約者向け「ずっとドコモ割」や若者向け割引「U25応援割」という日本的割引要素を追加しています。
また、法人向け共有データプランでも、日本の法人契約を踏まえた超大量サイズの共有データ枠が提供されている点が注目されます。

したがって、加入者側からすると、最初はこの「音声定額・データ共有プラン」は「結果的に値上がりになるのではないか」という不安があったとしても、1~2年でこのプランは定着するでしょう。
また、実際に共有プランは「高い」と思う人用に、最初には無かった「低バイト数容量」の「エントリーレベル」共有データプランが後で(アメリカでも)出てきたことも、事実です。これによって、ハードルを低くする努力をキャリアがあとでしてくるでしょう。

ついでながら、アメリカでは2年前に開始されたこの「音声定額・データ共有プラン」の後に来たものは、「端末代金補助金のキャリア負担廃止。端末代金は定価で買って、必要な人は割賦支払い。」です。
当然、「端末代金補助金のキャリア負担を廃止」するなら、「『端末代金補助』前提の毎月の通信料金は、安くしてくれても良いだろう」という声が加入者から上がり、「端末を定価で買うか、定価で買って割賦支払いするか、自分の端末を持ち込むなら、毎月の通信料を$10~$20割引します。」という方向に進んでいます。



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