T-Mobile USは、他社からのMNP転入者に、他社早期解約料を負担開始。


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予想通り、本日2014年1月8日のT-Mobile US発表会で、同社は、他社からのMNP転入者に1回線当たり$350までの早期解約料(ETF)実費と、$300までの端末下取りを開始することを、発表しました。
Family Plan加入者は、1アカウント当たり5台(5回線)まで、早期解約料(ETF)実費のリインバースメントが貰えます。

プロモーション開始は明日、2014年1月9日から、T-Mobile直営ショップで行われます。

T-MobileのMNP転入者に対しては、Simple Choice Planへの加入が、対象になります。Somple Choice Planでは長期契約の義務は無く、いつでも解約できます。
その代わり、端末は定価での購入になります。ただし、与信歴良好の加入者は、端末は少ない頭金で購入でき、残額は年利0%利子(つまり、利息無し)で24回月賦分割で支払いが出来ます。

今回のMNPプロモーションでは、端末代金が、他社からの端末を下取りすることで$300まで割引になります。(ただし、下取り価格は、市場公正価格を適用します。)
また、頭金は$0となります。

早期解約料(ETF)の返金は、実際に転入元キャリアからの最後の請求書が届いてから、そのコピーをT-Mobile USに送ることで、クレジット(返金)されます。

T-Mobile USは、このキャンペーンでMNPがしやすいように、MNP変更レターの雛形までウェブサイトに用意し、他社からのMNPを促進します。

この発表会では同時に、T-Mobileの加入者が昨年第4四半期で164万5000人増えたこと、昨年1年間で440万人増えたことを明らかにしました。
この勢いで、このキャンペーンで、更に加入者を増やして行きたいようです。

更に、T-Mobile USは、LTE速度ではAT&Tを抜いて、4大キャリアの中で一番速い事を強調しています。今後、同社が持つ200MHzの帯域で、LTEを帯域拡大し、更に速度を速めていくほか、最近Verizon社から獲得した低周波数700MHzを利用したLTEサービスを年内に開始し、ビル内での接続や郊外でのサービスエリアの拡大を進めていきます。

最後に、T-Mobile US社長、John Legere氏は、噂になっているソフトバンク/SprintのT-Mobile US買収に関しての質問に、噂を否定せず、
“I can tell you that the T-Mobile brand, attitude, and identity is here to stay. What we’re doing, in any [acquisition] scenario, will prevail,”
と答え、SprintがT-Mobile USを買収したとしても、買収後の原動力となる経営チームは現T-Mobile US経営チームが深く関与するか、場合によっては彼らが先導していくことを示唆しています。
【TheVerge】T-Mobile CEO John Legere refuses to deny acquisition by Sprint – 2014年1月8日

Sprint社長のDan Hesse氏は昨年9月にソフトバンクと「社長」契約を2018年まで延期したばかりであり、もし、SprintによるT-Mobile USの買収が実際に起こって、統合後の経営陣がT-Mobile US側から出た場合、逆にSprint上層部に不満が蓄積することが考えられます。
【FireceWireless】SoftBank extends Sprint CEO Hesse’s contract through 2018 – 2013年9月25日

投資アドバイスサイトのThe Motley Foolオンラインは2日前、「SprintがT-Mobile USを買収したら、当分は経営統合でゴタゴタして業績が悪化し、かつ、買収のための融資も含めて『負債額が売上げ』の1.15倍となり、利息返済優先のためにサービスの質が悪化して解約者が増える可能性が大きいとして、その”タナボタ”的恩恵を受ける可能性の高いAT&Tの株を買っておいたほうが良い。」と薦めています。
【The Motley Fool】If Sprint and T-Mobile Merge, Buy AT&T – 2014年1月6日

また、Verizon CommunicationsのCEO、Lowell McAdam氏は昨日、「もし、SprintとT-Mobile USが合併した場合、合併後の統合会社はVerizonとAT&Tに比べて幅広い帯域の周波数利用権を持つことになるため、不公平を是正するために合併前に周波数の売却を迫られる」と予測しています。
【FierceWireless】Verizon’s McAdam: Regulators would demand spectrum sales for merger of Sprint, T-Mobile – 2014年1月7日
同様な「不当競争優位地域での、合併前の事業売却」は、2007年の自然食品スーパーの業界トップ2社の合併(Whole Foods Market、Wild Oats Markets)でもFTC(公正取引委員会)が要求しており、前例があります。



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