KDDIが、AT&TとLTEローミング契約・・・これが、何を意味するか。


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あんまりこう言うのって得意じゃあないんですよね、・・・・いわゆる、業界解説記事。
なんたって、日本やカリフォルニアには、いわゆる「業界コンサルタント」と称している人がが沢山いるじゃあないですか。
そういう人たちが、現地の生活基盤とはかけ離れたレベルで解説記事書いていて、お金貰っていますから・・・

私は検証記事、つまり、現地の事実報道が得意と思っています。事実報道は、解説記事とは違います。

KDDIが、アメリカでのLTEローミングを、AT&T回線で開始。

…これって、そんなに価値があるニュースなの?

そもそも、一日2980円(約$30)で使い放題、つまり、1ヶ月約$900でLTE使い放題、・・・って、経済的に見て価値があるだろうか?
現地のT-Mobile USのSIMを使えば、月$70でLTE使い放題だよ!
それほど現地通信を使わない短期滞在なら、T-Mobile USのSIMでタブレットなら200MB(月)まで無料!

AT&TのGoPhoneプリペイドだって、月$60で2GBのLTEまで。追加は1GBあたり$10で可能。

金額的に見たら、まったく価値が無い。どこが「画期的」なのさ!

・・・でも、このアナウンスメントで、実は日米キャリア・アライアンスの構図が見えてきました。

2012年、Sprintは資金難と(NextTelの買収後の)借金の重荷で、買収/提携先を探していました。
最初に白羽の矢を受けたのは、3G通信(CDMA2000)で互換性の有るKDDI。
しかし、KDDIはSprint建て直しは困難と、拒否。

そこで、3Gでは互換性が無いものの、TD-LTEで互換性があるソフトバンクが助っ人に。

また、ドコモUSAは2013年10月中旬から、T-Mobile USとのMVNO直接契約を開始。それまでは、T-Mobile回線ホールセールのCSkyとの契約でした。

あ、KDDIは3年半前の2010年春に、AT&TのMVNOであるH2O Wirelessの51%株式を買収し、子会社化しています。
そして、(今思えば、重荷でしょう・・・)ClearWireが売り上げ拡大でデスパレートだった2012年、”4G(WiMax)”のサービスでClearWire(Clear)のWiMaxデータ通信サービスの再販(MVNO)を開始。
でも、Sprintが今年7月にClearを買収、翌日にはソフトバンクのSprint買収が公式に成立。

KDDIさんとしては、ソフトバンク参加のClearとの継続が長続きするとは考えられない。そこで、代替案を模索・・・結局、AT&Tだ!
KDDIの3G通信の互換性からすると、Verizonとパートナーを組むべきだったんでしょうけど、・・・AT&Tと組んだのは、H2O Wirelesとの関係があるから?

ともかく、この発表で、こう言う構図が明らかに・・・

日本のキャリア アメリカ・パートナー 先の話
(あくまでも、推測)
ソフトバンク 3G・・・AT&T/T-Mobile(将来、いつかは解消)
LTE・・・Sprint(2.5GHz TD-LTE)
Sprintにパートナー集約。
(ソフトバンクのSprint買収総額は1.8兆円強。)
NTTドコモ 3G・・・AT&T/T-Mobile
3G(ドコモUSA経由)・・・T-Mobileとの関係強化
T-Mobileにパートナー集約?
でも、T-Mobileって、いつ、買収ターゲットになるか分からない。
ひょっとして、NTTドコモが買収?
T-Mobileの株式相場時価総額は、約2兆円。
うち、67%がドイツテレコム所有株。
つまり、約1.3兆円で買収可能。
KDDI au 3G(KDDIアメリカ経由)・・・Sprint=ソフトバンク(将来、いつかは解消)
3G(子会社のH2O経由)・・・AT&TのMVNO
WiMax(子会社のH2O経由)・・・ClearWire(Sprint)=ソフトバンク(将来、いつかは解消)
・・・ただし、KDDI子会社のUQのWiMaxアメリカローミングが頭痛の種。
LTE(たぶん、子会社のH2O経由)・・・AT&T
AT&Tにパートナー集約?

実は、KDDIアメリカはH2Oに事業企画・渉外担当を派遣したようで、H2O建て直し(たぶん・・・)のために、この夏にH2Oの通信プランの大幅改革をしています。
この点からも、KDDIはソフトバンク(Sprint/Clear)離れと、AT&Tとの関係強化を進めていることが推測されます。

しかし、KDDIがAT&Tとのアライアンスを求める(たぶん、何らかの理由でVerizonに拒否された後・・・)理由は分かりますが、まったく周波数の共通部分を共有しないAT&Tが日本のLTEアライアンスパートナーにKDDIを選ぶ理由が、分かりませんね。

まあ、AT&Tはどちらかというと今はヨーロッパに興味の中心が行っているので、単なる一つの収入源としてKDDIを考えているだけでしょうか?
また、別の立場から推測すると、AT&TのMVNOのStraightTalkとNet10が既にAT&T LTEサービスを開始していることから、H2OのAT&T LTEサービスも近いかな?それによって、H2Oの(Sprint=Clear)WiMaxサービスは徐々に廃止?

あっ、AT&TのLTEは、中心がBand 17(700MHz)ですよ。Band 4はまだ先ですよ(近いけど・・・)。それよりも、Band 2と5が先ですよ。
いずれにしても、KDDIのアメリカLTEローミングは、Band 17、そして、少ないけれどBand 4/2/5対応でないと、出来ません。
KDDIのアメリカLTEローミングが「グローバル」スマホのiPhone 5s/5c/iPad Air/iPad Mini Retinaにしか対応していないのは、そのため。

来年以降に発売されるKDDIスマホは、AT&TのLTE周波数対応になるのでしょうか・・・

あっ、昨日現在、AT&TのLTEカバレッジ都市数は471都市。
KDDIのプレスリリースの「全米約447都市」対応は、2週間くらい前の古い数字。
プレスリリース前に、最新情報に更新せよ、KDDI!
〈お知らせ〉 国内キャリア初! 全米約447都市で高速データ通信サービスLTEが利用可能に!
– 2013年11月14日



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「KDDIが、AT&TとLTEローミング契約・・・これが、何を意味するか。」への5件のフィードバック

  1. KDDIのAT&Tでのローミングの件ですが、日本人はローミングできることに価値を置いています。
    価格の2980円が安いとか高いということではないと思います。
    自分のスマホがアメリカでそのまま使えることに対して納得して2980円払っています。
    例えばSIMフリー端末を購入して現地のプリペイドSIMを購入して運用というのはまだまだ日本ではイレギュラーな人と思われています。
    ミドルクラスな人でルーターレンタルができる人です。
    いまだにSIMの存在すら知らない人が多いのが日本の現状です。

    管理人 返信:

    どの国の人でも、海外旅行したときに現地SIMを使う人は、少数派なのは同じですね。

  2. これと関係あるのかないのかわかりませんが、ドコモの海外パケ・ホーダイの米国での対象キャリアに、Verizonが含まれているのが気になります。

    管理人 返信:

    なるほど。
    https://www.nttdocomo.co.jp/service/world/roaming/charge/kaigai_pake_hodai/network/
    でも、Verizonだけが、「Verizon/ROAMING」と、「/ROAMING」が付いているのも気になりますね。他は「AT&T/Cingular」「T-Mobile/TMO」ですからね。通常、「ROAMING」というキャリア表示(アンテナピクトの横に表示)は、VerizonやSprintなどのCDMA2000キャリアのカスタマーが、田舎や僻地のRural Americaプログラムのマイクロ・キャリアの電波にローミングしたときに表示されるものですが。

    まあ、Verizonは「年末から来年に掛けて、LTEの国際ローミングを始めたい」と既に発表していますから、そのパートナーは探している(いた)のかもしれません。

    たとえば、現行のAT&Tのインバウンドの国際ローミングパートナーにドコモとSBがなっているように、あるいは、ドコモのアウトバウンドの(従来の)アメリカローミングパートナーにAT&TとT-Mo(プラスVerizon、Cincinatti Bell)があるように、一国で複数のローミングパートナーと共同することも、ありなんでしょう、契約金次第で。

    管理人 返信:

    でも、KDDIと同じで、使える機種が限られますね。日本国産スマホではアメリカでのLTEローミングは出来ませんね、今のところ。
    今後発売される日本専用モデルも、日本国内では必要無いけど、ローミングに備えて世界の10種類くらいのLTE電波に対応するようになるんでしょうかね。

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