WiFiホットスポットプロバイダーBoingo Wirelessが、シカゴO'Hare空港でWiFi Hotspot 2.0の運用開始


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1990年代後半、インターネットの商用化黎明期に格安ダイアルアップインターネットプロバイダーEarthlinkを創設したSky Dayton氏が2001年に創設したアメリカのWiFi専門プロバイダーBoingo Wirelessが、今週からシカゴO’Hare空港内全域での同社のWiFi Hotspotに、Hotsport 2.0 互換「Boingo Passpoint」を追加します。

Hotspot 2.0はWiFi業界標準化団体WiFi Allianceによって2012年6月にリリースされた「次世代WiFiアクセスフレームワーク」で、今年2013年4月26日に出荷開始されたSamsung Galaxy S4がサポートし、来週リリースされると予想されているアップル iOS 7.0でもサポートされることになっています。

Hotspot 2.0互換の端末では既にWiFiアクセス認証が何らかの形で端末内に保存されている場合、使用者にとってまったく新しい地域のWiFiスポット・カバーエリアに入った場合に、もしそのWiFiホットスポット事業者の使用許可が事前に許可されていれば、その新しいWiFiホットスポットでもユーザーがSSIDを選択したりログインID/パスワードを入力しなくとも、自動的にそのWiFiに繋がってしまいます。

ここで「(使用認証を持った)何らかの形」というのは、SIMであったり、WiFi使用プランの電子的な「トークン(パス)」だったりします。

たとえば、AT&Tポストペイド国際データローミング加入者は現在、日本を含むアメリカ国外のBoingoのWiFiホットスポットを月1GBまで無料でアクセスできます。イギリスBTの加入者は、アメリカへ旅行したときにアメリカ国内のBoingo WirelessのWiFiホットスポットを利用できるローミング契約があります。

しかし、現在のところ、それぞれの利用者がアメリカ国外または国内のBoingo Wirelessのホットスポットを利用する場合は、現地のWiFiホットスポットで、事前に与えられたローミングIDとパスワードでログインするか、特別なログインアプリを起動して接続する必要があります。

Hotspot 2.0ではこのログイン手順が不要で、AT&TやBTのSIMカードの認証情報だけでHotspot 2.0互換WiFiホットスポットへの接続が自動的に行われます。

携帯キャリアとWiFiホットスポットプロバイダーとの間でローミング契約が既に結ばれていれば、AT&Tの利用者が成田空港やロンドン・ヒースロー空港でスマホをポケットから出して電源を入れると、自動的に現地のWiFiに接続出来る。BT(British Telecom)の加入者がニューヨークJFK空港に到着してスマホをポケットから出して電源を入れると、自動的に現地のWiFiに接続出来る。・・・ということが、可能です。

携帯利用者は、無料または安いWiFi接続を、自動的に利用できるわけです。

更に言えば、それぞれの国内においても、携帯利用者は自宅や会社や学校以外でも、付近に「国内ローミング契約している」WiFi信号があれば、ユーザーが切り替え操作をしなくとも、自動的に無料または安いWiFi接続に切り替えられるようになります。

現在、アメリカでは既に2年前からWiFi優先で使用することによって毎月の通信費$19で通話もテキストもデータ通信も使い放題で提供するプリペイド携帯会社、Republic Wirelessがあります。(Republic WirelessはSprintのMVNO。)しかし、Republic Wirelessのサービスを受けるには、Republic Wireless専用アプリをインストールしたスマホのみ使用できます。現在、Republic Wirelessが提供するスマホは、アンドロイド2.3のMotorola DEFYTM XT一種類しかありません。

しかし、Hotspot 2.0互換の端末と、同じく互換のWiFiアクセスポイントを使用したWiFiホットスポットが広く普及すれば、同様なWiFi優先サービスを携帯電話でも自動的に行うことが出来ます。

残念ながら、これまでは「鶏が先か、卵が先か」でなかなかHotspot 2.0互換の公衆WiFiホットスポットが無かったわけですが、Boingo Wirelessはこの状況を打開するため、シカゴ O’Hare空港で今週から公開実験の場を提供し、世界の携帯キャリアに参加を求める・・・という状況となります。

Boingo WirelessはシカゴでのHotspot 2.0 WiFiネットワーク網構築にCISCOのWiFiルーターを使用し、802.11acにも対応します。

リンク:
Boingo Wirelessホームページ
【Gigaom】Boingo turns Chicago’s O’Hare Airport into the world’s biggest Hotspot 2.0 testbed - 2013年9月5日



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