ソフトバンクがSprintに投資した216億ドルの内訳


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ソフトバンクによるSprintの買収が、本日2013年7月10日に完了しました。
これにより、Sprintの株式の78%を、ソフトバンクが所有します。
買収後の新しいSprintの株の上場は、2013年7月21日からになります。

ソフトバンクが費やした216億ドルの内訳は、以下のように成ります。

● 166億ドル・・・既存のSprint株主からSprint株78%を、一株$7.65で購入する費用。つまり、このソフトバンク投資金は、Sprintには全く残りません。潤ったのは、Sprintの株主。
※ ただし、この166億ドルでソフトバンクはSprintの株78%を所有し、Sprintが儲かれば(儲かればの話ですが・・・)、配当が入ります。更にSprintの業績が良くなって、将来、株価が上がれば、その株を28%までは売って、利益に還元できます。

● 17.5億ドル・・・ClearWireの株の49.8%を1株$5.00で購入し、Sprintの100%子会社にする費用。これも、Sprintには残りません。同じく、潤ったのは、ClearWireの株主。

● 32.5億ドル・・・13.5億ドルを、買収発表からこれまでに既にSprintに投資。19億ドルを買収完了時(本日)に追加投資。合計、32.5億ドルが、資金難で遅れているSprintのLTE設備投資などに利用されます。

この結果、ソフトバンクはSprint株の78%を所有し、残り22%はニューヨーク株式市場で一般取引されます。

買収前Sprint社名:Sprint Nextel Corporation
買収前のNYSE Ticker:S
買収後のSprintの社名:Sprint Corporation
買収後のNYSE Ticker:S (変更無し)

Sprintの新役員構成は、
Sprint会長・・・孫 正義(ソフトバンク株式会社代表取締役社長 兼 会長)
Sprint副会長・・・Ronald Fisher(ソフトバンク取締役 兼 ソフトバンク・ホールディング社長)
Sprint CEO 兼 取締役・・・Dan Hesse(買収前Sprint CEO)
Sprint取締役・・・Admiral Michael G. Mullen(買収前Sprint会長)
Sprint取締役・・・Robert Bennett, Gordon Bethune、Frank Ianna(買収前Sprint取締役)
追加Sprint取締役・・・未定

Sprint本社所在地・・・カンザス州Overland Park(カンザスシティの南隣接都市)(変更無し)

ソフトバンク/Sprint 両社合計の売り上げ(2012年上半期の数字を基にした予想)・・・320億ドル
(世界通信事業社では、China Mobile 430億ドル、Verizon 370億ドル、に次ぎ、AT&T 320億ドルと世界第3位タイ。)
※ 筆者注:これって、たぶん、携帯事業だけの売り上げではないですよね!?

合併後の携帯加入者数(2012年10月現在の数字)
Verizon 1億1100万人
AT&T 1億500万人
ソフトバンク/Sprint合計加入者数 9550万人(ソフトバンク 3950万人、Sprint 5600万人)
ドコモ 6153万人(2013年4月現在)

参考リンク:
Softbank’s $21.6 billion acquisition of Sprint is complete – 2013年7月10日
Clearwire shareholders agree to Sprint buyout – 2013年7月8日
SoftBank CEO: Sprint combination would tie as world’s No. 3 carrier – 2012年10月15日



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「ソフトバンクがSprintに投資した216億ドルの内訳」への4件のフィードバック

  1. 日経か何かの記事でsprintでも新しい販売方法を取り入れたいと孫さんは発言しました。
    スパボを取り入れるかもしれませんね。
    あとSoftBankはことあるごとにdocomoと比較しておりますが、決算発表の時はガンホーやソフトバンクテレコムを含めたグループ全体の数字とdocomo単体との比較をしており、それならNTT東西やデータも入れないと公正な数字じゃないのになあと思っております。
    おそらく次の決算時はsprintの数字も入れて「docomoを加入者数も利益も含めて追い抜いた!」と宣言するんでしょうけど。
    sprintにSoftBankのうさんくささが影響されなければいいのですが・・・

    管理人 返信:

    T-Mobileも今年になって新しいプランを導入していますので、ソフトバンクがSprintにあまり変なプランを導入させると、異質のものを嫌うアメリカ人はそれだけで解約しますから、問題になります。
    T-Mobile新プラン:
    ● 2年契約廃止(ポストペイドでも、いつでも解約料無しで解約可能)
    ● 携帯割引廃止(2年契約廃止したから、長期契約を前提とした携帯割引きが意味を成さない)
    ● 希望者は携帯本体の24ヶ月の分割払いは可能
    ● 月$10払い続けると、1年に2回新機種に交換できる(古い機種は返品しないといけないし、最初の機種交換はこのプラン加入から6ヵ月後)
    ● プストペイド契約でも、クレジット審査の無いプランを導入開始
    など。

    また、Sprintは明日12日から”Unlimited, My Way”と“My All-In”新プランを導入するといううわさがあります。これによると、データ使い放題以外に、データバイト数制限のデータ通信プランもできて、あまり使わない人は少し安くなりそうです。

  2. アメリカに分割で購入させる代わりに、利用料を値引きするという方法で販売しているキャリアはあるのでしょうか?
    SoftBankはT-Mobileとも交渉していたということは近い将来Sprint+T-Mobileという組み合わせもあるかもしれませんね。

    管理人 返信:

    >アメリカに分割で購入させる代わりに、利用料を値引きするという方法で販売しているキャリアはあるのでしょうか?

    無いです。
    そもそも、分割払い自体がT-Mobileが今年3月下旬に始めるまで、どこもやっていません。他社は端末は購入時に一括購入のみです。分割したければ、クレジットカードで払って、クレジットカード会社にリボ払いすれば良いだけですから。

    また、通信料を割引するという商習慣も、ありません。
    2年契約すれば、(通信料割引の変わりに)端末が購入時に割引(半額以下)されます。2年契約しなければ、端末は定価で買うことになります。
    2年契約しても、2年契約しなくても、毎月の通信料金は同じで、差がありません。

    最近、プリペイド携帯会社では、「毎月の通信料を自動支払いにすると、通信料が割引になる」というサービスは始まっています。

    >SoftBankはT-Mobileとも交渉していたということは近い将来Sprint+T-Mobileという組み合わせもあるかもしれませんね。

    ソフトバンク自体はこれ以上社債を発行することは無理でしょうから、T-Mobileを買収することは無いです。2社買収する借金は、捻出できません。どちらか1社だけです。T-Mobileと交渉していたのは、万が一、Sprintを買収できなかったときの場合のバックアッププランとして、です。

    ただし、将来、SprintとT-Mobileが対等的な立場で合併することは、可能性として全く無いことではないと思います。しかし、Sprintもソフトバンクの資金が入ってこれからLTEを拡大しようと意気込んでいるときであり、T-MobileもLTE拡大に専念している時期ですから、当分はそれは無いです。SprintとT-Mobileが対等合併するときは、どちらかが拡大戦略に翳りが見えてくるときです。

    また、現在の4社体制は、GSMキャリア同士(AT&TとT-Mobile)、および、CDMA2000キャリア同士(VerizonとSprint)でそれぞれ内部競争関係にあることが、消費者にとって有利に働きます。この状態が続く限り、連邦政府は2社+2社の均衡関係を崩すような合併は認めません。2社+1社、または、1社+2社では、消費者の保護にならないのです。

    しかし、VerizonはゆくゆくはCDMA2000電波を停波し(現在の暫定計画では、2012年)、LTEでデータ通信も音声通話(VoLTE)もする計画です。現に、今年に入って初めてサービスを行っているアラスカ州では、VerizonはLTEのみのサービスです。

    このように、ゆくゆくはVerizonもSprintもCDMA2000を停波し、LTEだけになれば、アメリカ国内に同じような通信方式のサービスをする全米レベルの携帯通信会社は4社は不要になり、3社、または2社だけが残る可能性はあります。まあ、まだ5-10年先の話ですが。

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