WalmartのScan & Go iPhoneセルフチェックアウトシステムが、200店舗に拡大。


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「WalmartのScan & Go iPhoneセルフチェックアウトシステムが、200店舗に拡大。」
Walmart adds iPhone scan-and-checkout feature to 12 more markets – 2013年3月20日

・・・それはそれで、だからどうなの?

Walmartは全米で4000店舗、世界で9000店舗あるそうなので、そのうちの200店舗とはまだ少ないものの、それでも前回発表のScan & Go採用店舗70店舗から、200店舗に増えるということは、もう、Scan & Goがただの「(試験的)トライアル」ではなく、実際に実用可能性を認められて段階的拡大時期に入ったと見てよいでしょう。

おととい明らかになったこのニュースに関しては既に幾つかのサイトが日本語で紹介しているので、筆者は敢えて他のサイトが紹介しているニュースを書くつもりは無かったのですが、それらの紹介記事の中で細かいところで間違った記述があったので、書かせていただきます。

Scan & Goチェックアウトの詳しい手順は前の紹介記事
Walmartの「買い物中にiPhoneでバーコードをスキャンして、セルフチェックアウト」(Scan & Go)がデンバー周辺40店舗にトライアル拡大 – 2013年2月22日
を見て欲しいのですが、他の日本語解説記事で間違った説明をしている以下の点を、2つ取り上げたいと思います。

● 買い物を始めるときに、まず、自分がどの店で買い物をするかを最初に選択します。
アメリカは広いですから、州によって同じ商品でも販売価格が違うことがあります。
また、ローカル性の高い商品や生鮮食料品に関しては、場所によって販売されていたり、販売されていなかったりする商品があります。
したがって、商品のバーコードをスキャンしただけでは、その店での販売価格を特定できません。
よって、買い物を始める前(最初の商品のバーコードをスキャンする前)に、自分がどの店にいるのかを指定する必要があります。
iPhoneで購入商品のバーコードをスキャンすると、その店舗の商品価格マスターテーブルを検索し、商品バーコードから(その店での)価格をiPhone画面に表示します。

店を選択する手順は、GPSや地図の助けを借りて、比較的簡単に今、自分が居るGPS位置と同じ位置のWalmart店舗を地図上でタッチして選択することが出来ます。

● チェックアウト時には、「買い物かご」コードをQRコード化してiPhone画面に表示し、レジのスキャナーでその「買い物かご」QRコードのみを読みます。
チェックアウト時にレジが、iPhoneから購入全商品のバーコードを一つ一つ読むわけではありません。もしそうだとしたら、同じ商品の「購入数」は、どうやってiPhoneとレジとの間で送信するのさ!?
まあ、同じ商品を複数個購入したら、その商品バーコードをiPhoneからレジに複数回送る手もアリかと思うけど、「ヨーグルトを12個買う」なんて場合、12個も同じ商品コードを送っていたら、時間が掛かりますよ。
買い物客にとってレジでの時間を短縮するためのScan & Goシステムですから、時間がかかるような馬鹿なことをしてはいけません。

店内で購入商品を一個スキャンするたびに、Walmartのサーバー(クラウド)と同期し、同じ「買い物かご」のコピーがWalmartクラウド側に出来ます。

チェックアウト時は、「買い物かご」コードをひとつスキャンするだけで、クラウドからレジに全商品のリストが一瞬にダウンロードされ、品目別レシートが印刷され、購入者は通常のセルフレジでの決済の手順で現金/クレジットカード/デビットカードで決済できます。

で、考えてみると、このScan & Goを実行するには、店舗内でのiPhoneの通信が必須なのですが、これらのScan & Go採用のWalmartでは無料WiFiが提供されているのかな?
Walmartの店舗って広いですから、店内で携帯電波の弱いところもあると思うんですが、そのために店内のWiFiの整備も一緒にしているのだろうか?

たとえば食品スーパーのSafewayは、「JustForU」オンラインクーポンを実施するために、それに先立って店内無料WiFiを全店舗で整備しました。
「JustForU」オンラインクーポンとは、店内で商品を見ながら、スマホのアプリで割引クーポンを選択し、自分の会員コードに割り付けます。そうすると、その買い物のチェックアウト時に、自動的にレジでそのクーポンが適用される、というものです。レジで決済する数分前にスーパーの店内で商品棚を歩きながら通路で追加した割引クーポンが、その数分後にレジで適用されなかったら「クレームもの」ですから、買い物客に店内でのネット通信をできるだけ保証しないと、この仕組みは役に立ちません。

Walmartも、Scan & Goの採用されているお店では、無料WiFiになっているのかな・・・今度、探検に行かねば!



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「WalmartのScan & Go iPhoneセルフチェックアウトシステムが、200店舗に拡大。」への4件のフィードバック

  1. いつも拝見しています。
    素朴な疑問ですが、このシステムは万引き防止みたい仕組みってあるんでしょうか。

    管理人 返信:

    セルフレジの周辺にはセルフレジを監視している店員がいます。
    普通、セルフレジ4~6台につき一人の店員が配置されています。このセルフレジは、Scan&Goだけではなく、従来のセルフレジを含みます。・・・というか、その後まだ近くのWalmartを訪問していないのですが、Walmartは従来のセルフレジにQRコードも読ませることが出来るようにソフトをアップグレードして使っているようですね。特別なScan&Go用レジではないと思います。したがって、どのセルフレジを使ってでもScan&Go決済が出来ると思います。

    で、お客さんは、セルフレジを使った後、店を出るときに必ずこの店員のそばを通るように位置が設計されています。

    Scan&Goのお客さんが決済が終わって店を出ようとするときに、その店員はお客さんに話しかけ、レシートを店員に渡してもらいます。
    店員はそのレシートに書いてある内容と、買い物した商品とを目視チェックし、確認します。

    この目視チェックは、通常は、レシートの最後に書いてある購入商品合計点数(例:15個)と、袋や買い物籠の中の合計商品点数をチェックします。
    高額のものに関しては商品名が合っているかもチェックすることもありますが、主には商品点数をチェックするように店員は教育されています。

    あとは高額電子商品などは箱に盗難防止のアラームが付いていることがありますが、これはその店員に外してもらわないと店外に出せませんね。
    そういうのは、このセルフレジ監視店員の前の画面に何らかの通知が表示されるんでしょう。

    店員が目視チェックして満足すると、レシートをお客さんに返して、お客さんは店を出られます。

    この方法は従来から(つまり、何年も前から)会員制倉庫型大型ショップ(Sam’s ClubやCostco)や、家電量販店Fry’s Electronicsで(セルフレジではなく、普通のレジ通過後も)採用されている方法です。

    yuji 返信:

    早速ご返信いただきありがとうございます。

    そもそもの導入目的のひとつがキャッシャーコストの削減だということであったので、
    レジスルー防止には取り立てて人件費をかけていないものと思っていましたが、
    従来のセルフレジの監視の店員がそのままScan&Go決済のお客さんを見張っているんですね。
    突っ立ってて監視じゃなくて、きちんと目視チェックしていることに驚きました。
    勉強になりました。
    引き続き更新を楽しみにしています。
    ありがとうございました。

    管理人 返信:

    日本の食品スーパーも同じのはずですが、セルフレジはキャッシャーコストの削減に繋がります。
    それまで一人でレジを1台担当していたのが、一人で4-6台の担当になるので、レジ1台あたりのキャッシャーコストは減ります。

    セルフレジでも消費者が使い方がわからなくなったり、商品によってはセルフレジが誤動作をしたり、レシートペーパーが切れたり、特別なプライシングの商品は購入者がレジの打ち方がわからなかったり、クーポンの処理方法がわからなかったり、・・・などなどが発生しますので、必ずセルフレジのところには担当のキャッシャーが最低一人居ます。

    その人が、Scan&Goの点数チェックをして(簡単な手順ですが)盗難防止対策を兼務で行います。したがって、新たにScan&Goのためにスタッフ数を増やすわけではありません。

    前の返信でも書いたように、この出口前での購入点数チェックは、簡単な手順ではありますが、コストをあまり掛けずに盗難を減らすには有効であることは、アメリカでは長年の経験(20年以上)で試されています。

    もちろん、買い物客が自分のポケットに隠すとか、バッグに隠すとか、・・・そういうのはScan&Goに限らずどういう場合にもあり、別の盗難対策が必要です。

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